視点;アメリカと中国の貿易戦争
(last modified Sun, 16 Aug 2020 09:17:01 GMT )
8月 16, 2020 18:17 Asia/Tokyo
  • アメリカと中国の国旗
    アメリカと中国の国旗

アメリカと中国が15日土曜に閣僚級協議を行い、中国が第1段階の通商合意を履行しているかを精査しました。

両国の間では、本年1月15日に成立した米中両国の合意に基づき、半年に1回の割合で高レベルの協議が開催されることになっています。これに基づけば、そのため今回の会議は、米中双方に対し通商合意の実施プロセスの進捗を査定する機会を与える、「変革を起こしうる重要な会議」となります。

この閣僚会議は、アメリカが中国に対し全面的な経済・政治戦争を開始し、中国の無責任さにより新型コロナウイルスがパンデミック化したとまで主張した観点からも、極めて重要なものとみられています。これらのアメリカの行動のため、多くの有識者の見解では、最近の緊迫化により通商面で得られる進展が減速する可能性があるとされています。ロシア・スプートニク通信もこれに関して、「有識者の見解では、双方の国内にある相手国の領事館の閉鎖要求、そしてその他のいくつかの問題により、通商分野での進展が阻害される可能性がある」と報じています。

米中による通商協議の結果の奏功如何が疑問視される中で、アメリカは数千億ドルにも上る米中間の貿易不均衡を、1つの「名誉のしるし」にのし上げることを希望しています。第1段階での通商合意において、両国は今後2年以内に2000億ドル相当分のアメリカ製品を中国側が購入することで合意に達しており、これによりアメリカの貿易赤字がある程度解消されることを見込んでいます。

もっとも、対中貿易戦争におけるアメリカ政府の数々の懸念はこの問題のみに限定されません。アメリカのビジネス雑誌フォーチューンに登場する、収益の多い世界の大企業500傑の最新リストからは、今回初めてこのランキングに入った中国企業の数がアメリカ企業を上回ったことが判明しています。フォーチューンのウェブサイトはこれに関して、次のように報じています。

「1995年に本誌による世界の大企業ランキング500傑が始まった当初から現在まで、このリストにランクインする企業の数がこれほど急増した国はなかった。従来までは、収益面でのこのランキングにはアメリカ企業が最も多くランクインしていたが、今や中国企業の数がアメリカは上回り、最大規模の企業の所属する国の座を奪っている」

さらに、ドイツの週刊誌デア・シュピーゲルのオンライン版によりますと、アメリカの挑発的な政策の続行は、極東アジアのアメリカの同盟国にも困難を生じさせています。同誌はこれに関して次のように報じています。

「貿易戦争、双方の領事館閉鎖を発端とする外交危機、香港情勢、中国通信機器大手ファーウェイの問題などは、米中関係の軋轢に追い討ちをかけており、この緊迫化は日々新たな様相を帯びている。しかも、こうした状況は日本をも非常に困難な立場に追い込んでいる」

明らかなことは、今年のはじめからアメリカと中国の関係において対立や紛糾が増大しているという事です。しかし、こうした緊迫化にもかかわらず、世界経済の流通が鈍化、あるいは麻痺するロコモティブ状態の寸前にある一方で、中国経済は急速に成長し、世界経済のけん引役になろうとしています。IMF国際通貨基金が最近発表した今年の経済関連の予測によれば、世界全体のGDPは5%、そしてアメリカ、ユーロ圏、日本、カナダ、イギリスといった、先進国の経済は8%の減少が見込まれる中、唯一中国は1%の成長が予想されています。

総括すると中国は、日米やユーロ圏などの世界に名だたる経済大国がまだ経済不況から脱却し切れていない中で、驚くべき速さで経済回復をしていることから、自らの主張によれば世界経済の指導者としての地位を確立し、世界と旧来の経済大国は、変貌しつつあるように思われます。

 

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