米大統領選
視点;大統領選の結果を覆そうと奔走するトランプ大統領
2020年アメリカ大統領選挙の実施から2週間以上が経過したにもかかわらず、共和党候補として出馬し敗れたトランプ現大統領は、依然としてその結果を覆そうと奔走しています。
今回の選挙での激戦区の1つとされたジョージア州での再集計の結果、対抗馬のバイデン民主党候補の勝利が再確認された後、トランプ氏はツイッターに、「ジョージア州知事と同州務長官は、数十万票もの違法票を暴露し共和党候補たる私に一大勝利を与えうる書類票にあるサインの調査を検討しようとしない」と書き込みました。
ここで注目すべき点は、当のジョージア州務長官自身がトランプ氏と同じ共和党派であり、トランプ氏はホワイトハウスへのあと4年間の残留という自らの目標達成のためには、自らと同じ政党の仲間を非難することも辞さない、ということです。しかも、この件に対するトランプ氏の工作は留まるところを知らず、彼は今なお今回の選挙での鍵を握るいくつかの重要州での有権者の票を回避することで、重要州の票をよけて通ることで各州の全体票数を変えることに熱を上げています。
現在、鍵となる重要な9つの州のうち、8つの州の州議会は共和党が掌握しています。来月14日の選挙人投票への参加に向けた選挙人選出まであと2週間ほどを残すのみとなっていることから、トランプ大統領は、それらの重要州をはじめとした各州での選挙の合法性をないものとして、彼を支持する人々の中から選挙人を選び、それによって来月14日の選挙人投票での勝利を狙っています。このため、トランプ大統領はミシガン州議会の多数派の指導者らをホワイトハウスに招き、今回の選挙で大規模な不正行為が発生したという自身の主張に則り、彼らに対し市民の票とは逆の決定を下すよう説得を試みました。この場合、即ち彼らはトランプ氏に有利となるよう票を投じるか、或いは民主・共和のいずれの候補者も選ばないか、のいずれかを迫られることになります。こうした措置が行われたなら、バイデン氏はミシガン州の選挙人による16票を失うことになります。しかし、ミシガン州の幹部議員2名はトランプ氏と会談した後、同州での投票結果を覆すであろう情報については一切知らされていない、と語りました。
トランプ大統領はさらに、ペンシルベニア州やその他の複数の州においてもこれと類似したシナリオを実施し、それによってバイデン氏の獲得した選挙人の数を270以下に減らし、次期アメリカ大統領の選出を議会選挙にまで持ち込もうとしています。こうした状況になれば、各州は1票の投票権のみを持ち、民主党派の州よりも共和党派の州が多いことから、トランプ氏は自分が最終的な勝者になると考えているのです。
トランプ氏と同氏の法律家チームは、絶え間ない努力にもかかわらず、複数の州の連邦例で提起された今回の選挙をめぐる法廷闘争で芳しい成功を収めていません。あの選挙から現在までの17日間で、トランプ陣営はこれまで28の提訴で次々と敗訴しています。
さらに、アメリカ国内で大きな批判を呼んでいるもう1つの問題は、共和党派が依然としてトランプ氏への支持を継続していることです。実際に、幹部クラスの共和党関係者は2又に分かれた大きな岐路に立たされています。彼らが、大統領選での有権者の票を基準とみなすなら、対抗馬のバイデン氏の勝利が実現します。しかし、彼らが熱狂的なトランプ派の人々の満足を考えて今回の選挙での不正発生を事実として認めた場合、アメリカの選挙システムそのものと真っ向から対決することになりかねません。
無所属派のサンダース米上院議員はツイッターで、共和党派が依然としてトランプ支持を続けていることに言及し、「一大統領が選挙結果を覆そうと小細工を弄している姿は、涙ぐましいものだ。だが、それよりもさらに醜悪なのは、共和党がいくつかの例外を除いて、民主主義に対するこの圧政的な攻撃に関して沈黙を決め込んでいることである。共和党は今や主義を持つ政党ではなく、トランプ氏個人を推す一分派集団に成り下がっている」と語りました。
この問題は、共和党内で日増しにトランプ氏への非難を高めているだけでなく、同氏に対し選挙結果を認めるよう求めたり、さらには現在未曾有の危機のさなかにあるアメリカからの移住にまでつながっているのです。
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