西側による対ロ制裁戦争の激化
(last modified Sun, 27 Feb 2022 14:16:55 GMT )
2月 27, 2022 23:16 Asia/Tokyo
  • 対ロ制裁戦争
    対ロ制裁戦争

ウクライナ紛争の激化および、ヨーロッパでの危機が続くとともに、欧米諸国は西側ブロック内の自らのパートナー国とともに、ロシアに対する制裁がらみの戦争を開始しました。

米英およびカナダ、そしてEUはロシアの複数の銀行をSWIFT国際決済システムから排除しました。

これに先立ち、ドイツハンガリーはSWIFTからのロシアの排除の影響への懸念を理由として、EUの要請を見送っていました。一方、米ホワイトハウスは声明を発表し、EUおよび一部の西側同盟国とともに、SWIFTからのロシアの一部銀行の締め出しを支持しました。

 

SWIFTは、世界レベルでの銀行間の取引における根本的な役割を果たしています。このシステムは、国際銀行間の送金や決済に利用される安全なネットワーク等を提供する非営利法人「国際銀行間通信協会」であり、ベルギーに本部が置かれています。今回、ロシアがこのシステムから締め出されることで、銀行間同士のやり取りができなくなり、同国にとって特に天然ガスをはじめとするエネルギーの輸出取引に深刻な支障をきたすことになります。

もっとも、ロシアの政府関係者はかねてから西側の制裁に備えたシナリオを用意していました。それでも、西側による今回の措置はロシアのエネルギー分野や通商経済に深刻な悪影響を及ぼすと思われます。

 

米CNNのケイトラン・コリンズ記者は、「ロシアをSWIFTから締め出すことは、ロシアのウクライナ攻撃に対して核でもって返答するに等しい」と語りました。

ロシアは以前から、西側による前例のない制裁の影響を最小限にすべく、一連の策を講じてきました。同国は6400億ドルの外貨備蓄を有しており、過去1年間に米ドルへの依存を大きく減らすと同時に、中国との経済・通商関係を拡大しています。

 

政治評論家のデイヴィッド・ピアソン氏は、「1.5兆ドルにも上る規模のロシア経済に打撃を与えることは容易ではないだろう。ましてや、同国が2014年にクリミア半島を併合して以来、国際制裁の諸悪から自らを守る一連の策を開始しているため、なおさらのことである」と述べました。

同時に、ロシアがEUに対する処罰的措置に踏み切ることも予想されています。EUは、自らの石油の4分の1、そして天然ガスのおよそ40%を、ロシアから供給しています。実際、ロシアはEUにとって最大のエネルギー供給元であり、ヨーロッパのエネルギー市場におけるこの圧倒的なシェアは、その削減を狙った画策にもかかわらず、依然として揺らいでいません。

EU諸国は、自国民の家庭用暖房や発電、産業用消費に関してロシアに依存しており、今後も中・短期間にわたってはこの依存を続ける以外に策はありません。

 

もちろんロシアにとっても、天然ガスの最大の販売相手はヨーロッパであり、天然ガス輸出による収入はきわめて重要です。しかし、ロシアが石油や天然ガスの輸出による外貨を得られなくなり、さらにSWIFTからの締め出しという制裁のために自らのニーズ確保に向けた銀行間の取引が不能となった場合は、ロシアが西側への圧力行使に向けた一連の手段を行使することが予想されます。石油とガスの2つのエネルギー市場への供給削減による価格高騰は、特にアメリカをはじめとする西側諸国に直接、インフレという影響を与えることになります。

このことから、現在のウクライナ攻撃の影響を受けているロシアと西側の関係は、今や予断を許さない緊迫した段階に達しており、更なる激化や全面対決の方向へと煽られると見られています。

 


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