イマーム・レザーと生活様式(12)(優しさと慈しみ)
イスラムには、社会的に好ましいとされる行動の指標として、いくつかのモデルが存在します。
こうしたモデルのうち、最も重要なものとして、イスラムの預言者とその一門の言動を挙げることができます。イマーム・レザーも、ほかの清らかなイマームたちと同様に、美徳を備え、あらゆる道徳的な穢れからは遠い存在でした。彼の言動は常に、他の人々が見習うべき模範となっていました。
イマーム・レザーは、人々に対する情愛と優しさの象徴でした。このため、この偉人の特徴の1つとして、情愛と優しさが挙げられます。彼は困っている人を助け、身寄りのない人々の拠り所となっていました。多くの孤児たちが、イマーム・レザーの救いの手の温もりを感じ、抑圧されたり困難に遭遇している多くの人々が、彼の助けのもとでよい行いにいそしんでいたのです。
社会的に好ましいとされる全ての行動の基盤となりうる原則には、人々と折り合い、倫理に沿って愛情をかけ、優しく接することが挙げられます。このことから、イスラムはこの行動を人々への教示の筆頭に掲げ、人々にこの行為を奨励しています。イスラムの指導者たちは、社会において人々に最高の愛情を注いでいました。
コーラン第3章、アール・イムラーン章「イムラーン家」、第159節において、神は預言者に対し、次のように述べています。
"もし、汝が薄情で心が荒々しかったならば、人々は汝の周囲から離れ去ったであろう”
イマーム・レザーは、祖先の偉大なる預言者ムハンマドと同じような美徳を備えていました。彼は、人々と親しく付き合っていました。この偉人の住処には、大抵多くの人々が出入りしており、様々な階層の人々が彼と語り合っていました。歴史的な資料によれば、イマーム・レザーは決して他人を蔑んだりはせず、周りの人々への慈しみを惜しまなかったとされています。イマーム・レザーが慈しみにあふれた表情により他人を受け入れる気持ちを見せていたことから、人々は何の問題もなく、直接この偉人のもとに身を寄せ、自らの抱える悩み事を打ち明けていました。
イマーム・レザーは、人々に対する慈しみや友愛の表現を、知性の半分と見なし、常に人々の幸福と善、神の赦しを求めていました。
預言者一門は皆、第1の美徳として優しさをもっていました。しかし、イマーム・レザーの優しさは特によく知られており、この偉人はこの上ない慈愛と慈しみを持つ人物として知られています。彼が召使や使用人、貧しい人々とも対等な視線で語り合い、食事を共にしたことは、この偉人の美徳を示す重要なしるしであり、彼は社会的に自分より身分の低い人々にこそ、誰よりも優しく振舞うべきだと考えていたのです。
そう、現代社会の人々の誰もが、この優しさと慈しみを必要としています。どのような場合においても、他人の安否や状況を気遣い、自分の周りの人々に愛情を持って接するように心がけましょう。
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