4月 17, 2022 02:47 Asia/Tokyo
  • イラン北東部聖地マシュハドにあるモスク
    イラン北東部聖地マシュハドにあるモスク

今回は、「人間はどうしたら、常に平穏を保つことができるか」とうい疑問について、コーランの節をご紹介しながらお話しします。終わりには、ラマザーン月の栄養や医学的な勧めについてお話ししましょう。

心理学者によれば、私たち人間は、愛情を受け取るのに多くの受け皿を持っており、それぞれを否定することで、不安や不足を感じます。そうした受け皿の中でも最も重要なのは、神の愛情によって満たされるもので、平穏という感情を抱くことができます。

 

平穏は、人類が失ったものです。実際、努力や満足、活力における人間の最大の目的は、平穏に達することです。富を蓄えて安心を得ようとします。家や土地を買うことで安心しようとします。華やかさを求めて平穏を得、神への崇拝によっても平穏を得ようとします。しかし、これらのどの場合に、人間は恒久的な平穏を得ることができるでしょうか。ドイツの心理学者は次のように語っています。

 

「物質的な福祉やすべての人の平穏が、喜びと安心を伴うものだと考えられていた。無限の生産、絶対的な自由、驚くべき進歩が、永遠の天国の代わりに、この世の天国を創ると思われていた。だが、実際、産業の時代は、その大きな約束を果たすことに失敗した。人々は、欲望の無限の満足が、喜びや安心に達する道ではないことを悟っている」

 

1952年にノーベル平和賞を受賞した医学者、アルベルト・シュバイツァーは、受賞の際に世界の人々に向かってこのように語りました。

 

「人間はスーパーマンになったが、そのようになっても、優れた知識や思想を手に入れていない。人類の力が増せば増すほど、人間は弱い存在になり、そのことが私たちの良心を震わせるはずである」

 

人間を創造し、人間の特徴や痛み、それを癒す方法の全てを知っている神は、平穏はたった一つのことによって得られるとしています。それは、神のことを思い起こし、神とつながりを持つことです。コーランは、第13章ラアド章雷電、第28節で次のように語っています。

「信仰して神を唱えることによって心を確信で満たした人たち、見なさい、神を唱えることによってのみ、心は確信に満たされる」

 

次に、コーラン第3章アール・イムラーン章イムラーン家、第14節をお聞きください。

 

「さまざまな欲望の追求は人々の目に美しく見える。女性たち、息子たち、莫大な金銀財宝、焼き印を押した馬、家畜や田畑。これらは現世の生活の楽しみである。だが神の御許こそはよい安息所である」

 

神は人間をこの世に創造し、人間が合法的な満足を得たり、人生を続けるために必要なものを、人間に与えています。人間は種を存続させるため、配偶者や子供を必要としています。豊かな生活を確保するために、富や財産を必要としています。そして食べ物や衣服を得るために、動物や植物を必要としており、神はそれらの全てを人間に与えています。

 

しかし、これらの全ては終わりのある、はかないものであり、それが続くのは、長くても、現世における人間の寿命が終わるまでです。そのため、神と最後の審判を信じる人々は、現世に魅了され、高慢になってはなりません。なぜなら最後の審判では、これらのいずれも、何の役にも立たず、価値がないからです。

 

先ほどご紹介したコーランの節には、非常に繊細な事柄が秘められています。それは、神が現世を紹介する際に、これらのものへの愛着を、現世の装飾だとしていることです。コーラン第18章アルキャフ章洞窟、第46節でも、「財産や子孫は現世の装飾である」とされています。これらはすぐになくなってしまうものであり、この現世の装飾は人々を試す手段なのです。

 

現世では、善と悪、幸福と不幸が共に存在します。人間は、そのどちらかを選ぶ権限を有しています。誰でも幸福になる人は、その人が選んだことであり、不幸になる人も、その人が自分で選んだことなのです。

 

女性や子孫、金銀財宝、優れた馬や家畜、畑への愛着もすべて、現世の一時的な生活の装飾です。しかし、悪魔はそれらを人類の目に魅力的に見せ、人間がそれらに心を奪われ、神のことを忘れ、すべてをそれらのために費やすように仕向けます。一方で敬虔な人間は、それらのうち、生活していけるのに必要な分だけを利用し、この世界を来世のための耕作地、土台と見なします。来世は永遠の生を得る場所なのです。

 

そのため、このコーランの節は終わりに、「よい結果は神の御許のみにある」と語っています。この言葉は、現世のはかない満足を、神の慈悲の御許における永遠かつ真の満足と取引しないよう、人間に教えています。

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コーラン

 

ここからは、ラマザーン月の食事に関する勧めをご紹介しましょう。

 

決められた時間に食事をとることは、ラマザーン月に断食を行う人が学ぶ最も重要な事柄です。決められた時間を食事のために選ぶことは、その人の健康にさまざまな効果をもたらします。

 

そうした効果の中でも重要なもののひとつは、一日のエネルギーを蓄えることです。不規則な時間に食事をとったり、一部の食事を抜いたりすることにより、人間の体は一日を通してエネルギーの不足に直面しますが、適切な時間に食事をとることで、血中の糖度がバランスを保ち、空腹によって弱さを感じるのを防ぎます。また、決められた時間に食事をとることで、常に何かを口にすることを避けることができます。

 

ラマザーン月は、この月の後にも良い生活を送るための準備であり、秩序を保つための訓練です。決められた時間に飲食を控え、欲望を抑えることで、その人の考え方も秩序だったものになります。

 

宗教の偉人たちの指示の中でも、健全な食事や衛生の原則、清潔さや健康を保つことについて、多くのことが述べられています。健全な精神は健全な肉体に宿ります。そのため、人間にとって有害なものや食べ物から遠ざかることが不可欠だとされています。

 

衛生や秩序、食べ物に関する宗教の偉人たちの勧めは、多くが、節度を守った食事と食べる時間の2つを軸としています。シーア派初代イマーム、アリーは次のように語っています。「誰でも食べることにおいて節度を守る人は健康を増し、考え方を改める」 このことがラマザーン月に守られれば、一日の断食が終わったとき、あるいは断食を始めるときに、食べ過ぎを避けることができます。

 

体は決められたメカニズムに従っており、それらは断食によって活発になり、この月には体の脂肪が効果的に燃焼されます。そのため、ラマザーン月に断食をする人は、活動や健康を保つために食事をバランスよくとることになります。具合が悪くなる人もいるかもしれませんが、それは特別な病気のためではありません。バランスの悪い食事をとったり、秩序のとれた睡眠時間を守らないことに原因があると考えることができます。

 

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