ラマザーン月、聖なる月(12)
(last modified Thu, 28 Apr 2022 21:01:00 GMT )
4月 29, 2022 06:01 Asia/Tokyo
  • ラマザーン月、聖なる月
    ラマザーン月、聖なる月

今回はまず、最近のイスラム諸国のイスラム教徒の様子をご紹介し、途中でコーランの教えをお話しした後、おしまいに、断食明けの祝祭、フェトルの祝祭の医学的、栄養学的な勧めについてお話ししましょう。

ラマザーン月が過ぎていき、まもなく終わりを迎えようとしています。ラマザーン月は、地上の人々が祈祷と罪の悔悟に勤しみ、天と結びつく月です。

 

ラマザーン月の存在により、日々の生活において、どれほどこのような機会が必要であるかが分かります。ラマザーン月は、道徳的、精神的な価値観にそれまで以上に注目し、神との結びつきと信仰により、普段とは異なった月である、ということを理解するための機会です。

 

ラマザーン月の試練の中で、自分のプラスとマイナスの行動について見なおす機会を得ることができました。善行、礼拝、祈祷、施し、善い行いに努めて悪い行いを遠ざけること、これらはそれぞれ、人間が神に近づくための手段でした。この1か月の試練により、断食を行った人は、神に近づくことができました。そして今重要なのは、この1か月の成果を、生活の中でずっと維持していくことです。

 

今年のラマザーン月は、残念ながら、一部のイスラム教徒にとって、非常に苦い出来事を伴うものとなりました。世界のイスラム教徒が、断食明けの祝祭・フェトルの祝祭を迎えようとしている中、アフガニスタンの人々は残忍なテロ攻撃を経験しています。サウジアラビアの東部に住むシーア派教徒は、この国の無知な政権の野蛮な攻撃にさらされています。イエメンの人々は、今なお、サウジアラビアの支配者による圧制的なミサイルや爆弾による攻撃を受けています。イラクとシリアのイスラム教徒も、テロ組織ISISの残存勢力を追い出し、自分たちの領土を守るために困難な日々を送っており、パレスチナとバーレーンの人々も、自分たちの理念と領土を守るために命を捧げた若者たちとの別れを悲しんでいます。

 

フェトルの祝祭を前に、戦火に巻き込まれているイスラム教徒のために、心からの祈りをささげ、彼らの土地に平和と安定が戻るよう、神に祈りましょう。

 

ここでコーラン第89章、アル・ファジュル章、「暁」、第27節から30節をお聞きください。

 

「敬虔さによって確信を得た魂よ、主のもとへと返りなさい。あなたは彼に満足し、彼もあなたに満足している。そこで、私の僕たちの中に入り、私の楽園に入りなさい」

 

ただ今お聞きいただいた節は、確信を得た魂に語りかけることで始まっています。確信を得た魂とは、神のことを思い起こし、愛情を抱くことにより、落ち着きを得、神から与えられたものに満足している状態です。このような魂の持ち主は、損得の全ては自分自身のためではなく、現世とそこにあるものすべては、来世のための下地であると考える神の僕です。その結果、自分の恩恵や能力を不信心や反抗に引き込むことも、貧困や困窮によって、感謝を忘れることもありません。それどころか、そのような状態にあっても、神に服従し、忠実に正しい道を守るのです。

ここで、神は直接、彼らに対し、神があなたに満足している中で神のもとへと立ち返るよう語りかけています。その呼びかけは、双方の満足を伴うものです。

ラマザーン月、聖なる月

 

世界のイスラム教徒は、1か月に及ぶ精神的な努力と礼拝を終え、断食明けの祝祭を迎えます。この時期、イスラム教徒の家には再び、精神性に溢れた空間が広がります。断食をする人々は、祝祭や宴の準備に取りかかり、特別なお菓子を作ります。この伝統は、多くのイスラム諸国に広がっています。この時期、人々は、断食明けの祝祭の盛大な礼拝を行った後、親戚や友人の家を訪問しあい、特別なお菓子や果物で互いをもてなします。

 

断食明けの祝祭の宴を飾る食べ物の中でも、最も重要なのは、菓子類です。フェトルの祝祭のでは、一般に菓子類がふるまわれます。しかし、残念ながら、菓子類の食べ過ぎは、健康を損ないます。

 

菓子類の食べ過ぎによる害の一つは、血圧の上昇や血中の脂質の増加です。これは最終的に、心臓や血管の健康を損ないます。また、肥満を促します。そのため、断食明けの祝祭の日の他、普段から、菓子類の食べ過ぎに注意する必要があります。

 

栄養学の専門家であるアリーレザー・ジャハーンニヤー氏は、次のように語っています。

「1か月間、断食を行い、長い時間、食べ物を口にしなかったことにより、消化器官はその状態に慣れている。そのため、ラマザーン月が終わった翌日に、突然、たくさんの食べ物を食べ、必要以上に冷たいものや熱いものを消化器官に流し込んではいけない。それは消化器官にダメージを与え、しばらくの間、不快感が残ることがある」

 

ジャハーンニヤー氏は、さらに次のように続けています。「朝食は節度を守るべきであり、昼食も、脂肪分の多いものは避けた方がよい。また、夕食には、ヨーグルトときゅうり、チーズやスイカといった軽い食事をとるのが適切と思われる」

 

1か月の断食により、体はそのような状態に慣れています。そのため、エネルギーの燃焼が大幅に減少しています。このことから、断食後の数日間は、たくさんの食事をとることを避け、断食明けの祝祭の日の精神的な恩恵を利用できるようにしたいものです。

 

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