12月 30, 2023 15:35 Asia/Tokyo

皆様こんにちは。現在のイランで使われている生きたペルシャ語の慣用表現をご紹介する「ペルシャ語ことわざ散歩」、今回は動物にまつわる表現をご紹介してまいりましょう。

今回のことわざは「雑草はヤギの口にとっては甘いはずだ」です。

ペルシャ語での読み方は、Alaf baayad be dehaan-e boz shiiriin baashad となります。

このことわざが意味しているのは、「人は誰でも自分の趣向や好みによって何かを選び、行動する」という概念です。

日本語でも「蓼食う虫も好き好き」ということわざがありますが、例えばある人にとっての好みの食べ物や生活様式などが、他の人にとっては全く論外、ということもよく聞かれるかと思います。

また、イランにも生息するラクダは、とげのある植物を好んで食べますが、牛や馬などの他の動物は、そうではない青草を好んで食べ、さらには大都会での暮らしを好む人もいれば、田舎暮らしを好む人もいるなど、人間やそのほかの動物の趣向は実に様々ではないでしょうか。

さて、今回ご紹介したことわざが実際に使われている例としては、第3者から見て全く釣り合わないと思われる男女が結婚した場合が挙げられます。まさに「美女と野獣」のような組み合わせで、周りの目からすればどう見ても似合いそうもないと思われるカップルが、本人たち同士は熱々、ラブラブという場合に「雑草はヤギの口には甘いものだ」と表現します。

このような2人に対し、いくら「あなたたちの結婚はまともじゃない」などと口出ししても、本人同士は互いを愛し合いうまくいっている以上、そのような忠告は無用ということになります。

このことから、何かを他人に勧めたり、他人が抱える問題を解決するのに、いくら相手のためを思って言ったとしても、人それぞれ考えるところや方策、自分でよいと思う方法はそれぞれ違うため、単なる外部からの押し付けと見なされ、相手から拒否されることもあるでしょう。

まさに、ヤギにとって雑草は甘くおいしいものであり、人間がとやかく言う意味もないと思われます。

私達が他人に何かを提案したり、アドバイスをしたりするときは、それはあくまでも提案であって、押し付けではいけない、また自分の考えを強要するのではなく、あくまでも個人的な意見や見解、提案という形にとどめておき、最終的な決定は本人に任せるというのが、角を立てることなく、相手も耳を傾けてくれるのではないでしょうか。それではまた。

この番組は、IRIBイランイスラム共和国国際日本語通信パールストゥデイがお送りしています。

 


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