タルビヤトモダッレス大学
今回の番組では、タルビヤトモダッレス大学についてご紹介しましょう。
タルビヤトモダッレス大学は、修士課程と博士課程のみを専門にした大学で、イランイスラム共和国の創始者ホメイニー師の指示により、文化的な革命の目的の一環として、イランの大学や高等教育機関の教授や講師を育成する目的で1982年に設立されました。
タルビヤトモダッレス大学の設立は、1981年、イラン文化革命本部によって、各大学や高等教育機関の教員養成機関と題する規定の承認によって計画されました。この大学の正式な活動は、1982年、一部の人文科学の学部に学生を受け入れて開始され、その後、1983年からは自然科学の一部の学部にも学生を受け入れるようになりました。その翌年からは、この流れが他の学部でも継続されました。
1986年は、大学設立の歴史における転換点と見なされます。なぜならこの年、文化革命最高評議会の会合で、モダッレス教育学校の最初の規定が完成され、そのときから、タルビヤトモダッレス大学に名称が変更されたからです。この大学は、その後、関係者や教授、学生の多くの努力により、イラン国内や地域で学術的な高い地位を獲得しました。
タルビヤトモダッレス大学の教育活動が始まってから、多くの著名人や有識者がこの大学で学び、また教育に当たってきました。ホセイン・ショクーイー氏は、タルビヤトモダッレス大学を代表する地理学者の一人です。彼は、人文地理の博士課程で学び、この大学の地理学博士課程の基礎を築いた人物だと言えるでしょう。
ショクーイー博士は、模範的な教授に選ばれ、彼の著書もイランの年間優秀図書に選ばれました。ショクーイー博士は、いくつかの点で、イランの地理学に深い影響を及ぼしました。その例としては、地理における哲学的な思想の提示、人間を中心にした地理学の提唱、計画や管理構造による地理学の新たな構造の構築などが挙げられます。ショクーイー博士は、イランの地理学に革新をもたらした第一人者であり、地理学を伝統からモダニズム、ポストモダニズムに移行させた活動家の一人でした。イランの地理学は、この人物の恩恵を受けています。
サーデグ・アーイーネヴァンド氏は、タルビヤトモダッレス大学の優れた教授の一人でした。彼はイスラム史の博士号を取得し、しばらくの間、この大学の人文学部の学部長を務めました。アーイーネヴァンド博士は、96本の論文と33冊の書物を記し、イランの模範的な教授のひとりとなっています。
タルビヤトモダッレス大学には、17の学部、4の研究学部、10の研究所の他、科学技術パーク、起業センターなどがあります。タルビヤトモダッレス大学は、医学部が直接、科学省の管轄下にある唯一の大学です。その他の大学の医学部は、保健・医療教育省によって管轄されています。タルビヤトモダッレス大学の多くの専攻コースは、農学と天然資源専攻コース以外は皆、テヘラン市の中心部にあるこの大学の敷地内に置かれています。
2009年に公開されたタルビヤトモダッレス大学の正門は、マダーイェンティースフーン(イラクにある古代都市の遺跡クテシフォンのアーチ型)の入り口を象徴したものであり、この宮殿の美しい特徴ゆえに、国内外の建築家の注目を集めて来ました。このデザインは、イラン・イスラム建築から取られたもので、知識習得の雰囲気を連想させるものです。一方で、建物の入り口にアーチとレンガが用いられていることは、イラン建築の特徴です。
OICイスラム協力機構の最新の大学ランキングにより、タルビヤトモダッレス大学は、イスラム世界の1700の大学の中で、上位10位までに、イラン国内の大学の中でも、教育や研究の質の点で、常に上位3校までに入っています。70年の歴史を持つ大学と対等に競い合い、このように高い位置づけを得たことは、設立から33年ほどの大学にとっては大きな成功です。この大学はイランイスラム革命の産物です。この大学は、イランの偉大な国民、この高等教育機関の関係者の努力の象徴であり、学術的に高い地位と栄誉の頂点に達するためのイランの優れた可能性を示すものです。
タルビヤトモダッレス大学は、これまで、修士課程と博士課程で2万7000年以上の学生を教育し、社会に送り出してきました。この学生たちは、教育・研究分野での活動の中で、常に学術的な努力と大学の向上を優先にしてきました。大学の学術団のメンバーの60%近くが、教授と助教授です。この学術団の数の多さは、イランの大学の中でも類を見ないものであり、教育と研究の向上に適した機会を整えています。教育と研究は、この大学の重要な柱となっており、17の学部、20の研究所で行われています。
タルビヤトモダッレス大学は、ナノ、バイオインフォマティクス、バイオテクノロジー、植物細胞、ES細胞、化学などの分野で常にイランの一般的な大学の中でトップに君臨しています。2015年のISIデータベースでは、この大学の10人の教授が、世界の学者の1%に入りました。さらに、この大学の医学部は、国内のランキングで、常に、上位3校までに入っています。
最新の統計によれば、2015年度には、タルビヤトモダッレス大学の修士課程と博士課程で、9273人の学生が学びました。学生数が多い専攻コースは順に、ペルシャ語・ペルシャ文学、経済学、哲学、考古学、イスラム学、イスラム法学、電気工学、通信、コーラン解釈学となっています。
タルビヤトモダッレス大学の学術的に高い位置づけや重要性により、多くの外国人留学生が、この大学で学んでいます。現在、イラン人以外の155人の学生が、現在、様々な国からイランにやって来て、タルビヤトモダッレス大学の各専攻コースで学んでいます。人気のある専攻コースは順に、言語学、コンピュータ学、電気工学、建築学、英語学です。これらの留学生の多くは、中東やコーカサス、ヨーロッパやアフリカの出身者です。
人文科学専攻には、最も多くの留学生が学んでいます。そのうち言語学科、つまり外国語としてのペルシャ語教育学科には、他の専攻コースよりも多くの留学生が在籍しています。現在、この大学のペルシャ語文学の博士課程に、セネガル人の1人の女子学生が在籍しています。この学生は、自国で学士課程を修了した後、修士課程で、英語とペルシャ語(間の翻訳でしょうか?)、ペルシャ語とペルシャ文学を選択し、さらに勉学を続けるためにイランにやって来て、シャヒードベヘシュティ大学の修士課程に留学しました。
この女子学生は、「タルビヤトモダッレス大学は、イランで最も信頼できる大学であり、世界でも高い地位を有している」とし、ペルシャ語とペルシャ文学は、その習得に非常に好ましい効果があるため、イランで学ぶべきだとしています。
また、この大学の教育・研究の環境は良好だとし、「この大学では学生のために非常に良好な可能性が整っている」と語っています。この学生によれば、教授が学生に親密に接していること、学生の要求を大学の幹部に伝えるためにクラスごとに責任者を置くこと、それがこの大学の肯定的な特徴だということです。