バフティヤーリー族の詩や音楽(画像)(音声)
バフティヤーリー族の詩や音楽は、常に生活と関係があります。バフティヤーリー族のマガームと呼ばれる音楽体系は、ベイト、つまり詩の2つの句として知られており、全部で20から25のマガームがあります。もっとも有名なマガームは畜産業を意味する「ガレダーリー」、農業を意味するバルゼギャリー、アボルガーセムハーニー、シールアリーマルドゥンなどがあります。
バフティヤーリー族のすべてのグループは、その地方に特別の演奏家を抱えており、彼らはトゥショマールと呼ばれています。このトゥショマールは部族を持ち、ほかのバフティヤーリー族の居住地とは別の場所に住み、結婚式や葬式、さまざまな祝祭に参加して、1年分の費用を稼ぎます。彼らはまた、農業や畜産業にも携わっています。
結婚式では、トゥショマールは地方独特の歌を歌います。これらの歌謡曲のテーマは、ほとんどの場合、勇敢な部族の英雄か、あるいは愛です。これらの歌では、さまざまな事柄に関係する、地方の人々の精神や考え方が反映されています。
トゥショマールは、作物の収穫時に、儀式を行うために呼び出され、このときに、賃金を受け取ります。トゥショマールは、詩を作ったり、ことわざなどを作るのに、生活の時間の多くを費やしています。彼らはバフティヤーリー族の口語文学の出現に大きな役割を果たしたのです。
一部のトゥショマールは、移住生活を行う人々です。つまり、夏には夏営地に、冬には冬営地に移動します。彼らは驚くほど長時間にわたり楽器を演奏することができ、数時間も疲れることなくさまざまな曲を演奏します。現在、バフティヤーリー族の楽器は単純なもので、そのほとんどは、カルナーと呼ばれる吹奏楽器やドホルという打楽器で行われます。
イラン南西部のチャハールマハール・バフティヤーリー州では、祝祭において、歌やさまざまな踊りが催されます。これらの踊りで有名なものに、結婚式の踊り、ハンカチ踊り、ゆっくりした踊り、あるい早い踊りがあります。結婚式では、男性による棒踊りが有名です。この中で、一方の男性は長い棒を持ち、もう一方の男性はそれよりやわらかい棒を持ち、トゥショマールの演奏にあわせて、打ち合います。この棒踊りは、ガシュガーイー族やブーイェルアフマド族などのイラン南部の部族にも広まっています。
ロレスターンの音楽も、多様で、古い歴史を持っています。ロレスターン州に住むロル族の音楽は、歌の音楽、楽器の音楽に分けられます。考古学者によるこの地方の発掘調査により、陶器のかけらが発見され、そこには足踏みをして踊る絵がかかれており、この地の音楽の歴史は、紀元前4000年にさかのぼるとのことです。
また、この地域から発見された遺物を見ると、吹奏楽器やタンブールと呼ばれる弦楽器、あるいは打楽器のような、その時代の楽器の絵が銀の器の上に描かれており、これはサーサーン朝時代にこの部族の人々の中で音楽が広まっていたことを物語っています。今日も、部族の音楽体系に古い時代の名残が残っています。
現在も、ロル族の音楽は、歌謡曲の中で、7つに分けることができます。それは、豊かさや愛を歌う歌、英雄伝や戦いを語る歌や音楽、哀悼を示す歌や音楽、労働歌、勝利の歌、宗教歌です。
ロル族の音楽で使われる楽器は、ソルナーと呼ばれるチャルメラ系の吹奏楽器、ドホルという大きな両面太鼓、タールという革張りの撥で弾く弦楽器や、あるいは弓で弾くキャマーンチェという楽器、トンバクというグラス型の打楽器です。この中で、キャマーンチェだけが、ほかの部族の楽器とは違います。
ロル族の英雄伝を語る歌や音楽は2つの役割を持っています。一つは戦場で部族の士気を高めること、もうひとつは、ロル族の英雄伝における一部の人物を思い起こすことです。