11月 15, 2016 16:11 Asia/Tokyo
  • コンピュータ・ゲームが青少年に及ぼす悪影響
    コンピュータ・ゲームが青少年に及ぼす悪影響

前回は、コンピュータ・ゲームが子供に及ぼす悪影響について説明しました。今回は、こうしたゲームが青少年に及ぼすマイナスの影響について、考えていくことにいたしましょう。

デメリットも多いコンピュータ・ゲーム

コンピュータ・ゲームが出現して以来、その大きな魅力により、青少年は時間とエネルギーの多くをこの種のゲームに費やしています。彼らは、ゲームで遊んだ後は目や精神が疲労した状態で就寝し、翌朝はいつもより遅く起床します。こうした青少年は、学校でも眠気が覚めないまま授業に出ることになります。

コンピュータ・ゲームは、これまでにお話した特徴により、確実に学力低下の影響がある要因とされています。それは、学校に通う子供たちの時間が多くがコンピュータ・ゲームに費やされ、彼らの意識を勉強以外の事柄に仕向けてしまうからです。今日、親や教師、そして教育の専門家は、青少年がコンピュータ・ゲームに益々依存し、勉強しなくなることを懸念していますこうした状況が長期間にわたって続いた場合、今世紀における社会の情報のレベルや学力のレベルが下がることになります。

コンピュータ・ゲームは青少年にとってよい点もありますが、こうしたゲームに潜む影響は大きな弊害を生み出します。青少年は、コンピュータ・ゲームが娯楽であるために興味を持っているのであり、何時間もそれで遊んでもかまわないと考えています。このため、彼らはこうしたゲームから強い影響を受けます。

 

西側諸国の価値観の吹き込みを狙いとするコンピュータ・ゲーム

コンピュータ・ゲームの多くは、西側諸国の文化、社会の中で開発されます。これらのコンピュータ・ゲームは、ほかの社会の文化的な価値観とは相容れない価値観や規範、社会通念を青少年に吹き込みます。こうしたゲームの開発国は、特定の目的を追求しています。事実上、西洋的な概念や価値観による外国製のコンピュータ・ゲームの流入は、子供や青少年をはじめとする様々なユーザーの間に締りのなさや西洋的な生活様式、物質主義、消費志向、宗教の排除、宗教に反するプロパガンダを世界レベルで広めることが目的です。

青少年は、アイデンティティの獲得を目指しています。彼らは、コンピュータ・ゲームの魅力とともに、西側諸国の価値観や信条に触れ、それらの様々な規範を目の前にして自分を見失ってしまうのです。この点において、コンピュータ・ゲームは非常に影響力があります。青少年は、こうしたゲームにおいては主役となり、昼夜を問わず何時間も過ごします。彼らは、ゲームに出てくる人物のように行動したり、その服装を真似てみたいと考えています。こうした行動規範の受け入れは、青少年の言動にすぐ現れます。

 

ゲームにより無意識のうちに性欲をそそられる青少年

現代の西洋文化では、利益追求のためのコンピュータ・ゲームの宣伝を含めて、あらゆる分野で性的な刺激を伴う要素が、より多く使用されています。実際に、ユーザーはこうしたゲームにより、無意識のうちに性欲をかき立てられます。その結果、早熟や恥じらいのなさ、低俗な音楽やモラルの逸脱などに向かう下地ができてしまうことになります。

露出文化や非合法な関係の拡大も、コンピュータ・ゲームによる弊害の1つです。こうしたゲームでは、体の大部分が露出した少女たちの体の触れ合いや西洋の好ましくない音楽などが大々的に宣伝されます。一部のコンピュータ・ゲームは、単純なゲームで始まり、不適切な映像により終了します。これらのゲームの一部では、ゲームに勝ったときに、倫理上好ましくない画像が画面に現れます。

実際に、こうしたゲームでは愛情や慈しみ、上品さや恥じらいといった女性の美徳は一切見られません。女性は、異常な服装のマネキンとして提示され、少女たちに無意識のうちにそうした服装や化粧、行動を模倣させるようにします。さらに、こうしたゲームの多くでは、開発者の動機に従い、女性は弱い存在とみなされます。このことは、男性のユーザーの内面に大きな作用を及ぼし、彼らが人生の様々な段階において、自分の母親さえも信用しなくなったり、いつの間にか母親や姉妹、そのほかの女性たちを問題解決に必要な能力に欠けた存在とみなすようになる、といった問題の一部です。

 

コンピュータ・ゲームにおける暴力的な要素とその悪影響の例

多数の議論や懸念を引き起こしているもう1つの問題は、コンピュータ・ゲームにおける暴力的な要素です。親や教師、精神科医は、ゲームで暴力や流血を見せることに反対しています。しかし、これらのゲームの開発者は、ユーザーの興奮をそそり、より多くの売り上げを得るために激しいアクションや恐怖感、暴力シーンなどを取り入れます。青少年はこれらのゲームにおいて、色々なパターンの殺害や暴力に触れることになり、彼らには苛立ちやすい性質が強まります。それにより、彼らの一部はゲームで教えられた暴力を、そのまま現実の世界で実行することになります。

残念ながら、これまで既に青少年の間では、コンピュータ・ゲームに影響による痛ましい事件が発生しています。例えば、1999年にはアメリカ・コロラド州でコンピュータ・ゲームのベビーユーザーの2人の少年が、同級生12名と教師1名を射殺し、24名を負傷させた後に自殺しました。こうした事件は、これまでに何度もアメリカで発生しています。また、イギリスのレスターでも、「マンハント」という暴力的なゲームに影響された17歳の少年が14歳の友人をハンマーで殺害するという事件が発生しました。ハンマーでの殺害はまさに、この少年がコンピュータ・ゲームで覚えたものだったのです。

コンピュータ・ゲームやテレビゲームは、視覚的な学習の機会をもたらします。実際に、ゲームの最中にある目的が青少年に吹き込まれ、暴力や恐怖感、性的な内容やポルノが、ゲームで遊んでいる間に、彼らの潜在意識に直接影響を及ぼします。このため、ユーザーの意識や考え方はゲームの開発者が望む価値観へと導かれます。多くの青少年がこうしたゲームを利用している現在、暴力やモラルの退廃は個人的なレベルを超えて、次第に集団的な習慣になりつつあり、ユーザーの中で1つの文化となってきています。

 

青少年の余暇の多くに当てられるコンピュータ・ゲーム

コンピュータ・ゲームは、大きな魅力を持つことから青少年を惹きつけています。このため彼らはもっと有意義な活動ができるはずの休み時間やパーティー、車に乗っているとき、自由な時間などの余暇の多くにおいて、ゲームに夢中になっています。これにより時間を浪費することになります。勉強やスポーツ、創作活動に使えるはずの貴重な時間が浪費され、しかもそれは有害なものとなってしまいます。青少年は、昔は余暇を読書や芸術活動、あるいは体を動かす遊びにより過ごしていました。

コンピュータ・ゲームがワンパターンで楽に入手できることから、青少年の趣向は次第に楽をすることと興奮を味わうことへと変化しています。もはや、読書や芸術活動は、彼らにとって魅力にあふれたものではありません。さらに、宗教的な集まりなどへの参加、また全ての人々が精神的な安らぎのために必要としている巡礼といったものは、偽りの興奮が根付いてしまった青少年にとっては、次第に苦痛で退屈なものとなっています。こうなると、青少年が精神性や祈祷、礼拝の素晴らしさを味わう機会は全く存在しなくなります。

コンピュータ・ゲームの悪影響の総合的な結果

アクションゲームの画面を一目見れば、こうしたゲームが果たして宗教的なものとし、人間的な美徳を奨励するものなのか、あるいはモラルの退廃を広める、悪魔の目的のためのものであるかどうかが判断できます。コンピュータ・ゲームで色々な暴力シーンや肌を露出した人間、不適切な画像に触れたり、凶暴で異常な性欲に駆られた無教養なデジタル上の人物と遊ぶ青少年は、次第に自らの人間的、宗教的な尊厳を失い、自分や他人の尊厳すらも尊重しなくなるのです。

 

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