1月 19, 2019 05:30 Asia/Tokyo
  • タイム
    タイム

今回は、しそ科の多年生植物に属するハーブの一種、タイムについてお話することにいたしましょう。

独特の芳香を放つ薬草は、数千年前から現在までイランに生息し続けてきました。地域社会も、こうした植物の食用的、及び医学的な効能について認知しており、この天然資源を採取していました。

現存する薬草のうち、イランではおよそ450種類が販売されていますが、そのうちの1つが今回ご紹介するタイムです。この薬草は、イランの伝統医学関連の書物にも回数多く登場しており、イラン各地でそれぞれ違った名称で呼ばれています

タイムは、奇跡を起こす植物とされ、薬用としてのほか、イラン人の間では調理にも多用されています。しかし、この稀少植物はさまざまな理由により絶滅の危険に瀕しています。

タイム

 

 タイムの中でも最も一般に広まっているのは、地中海沿岸地域とアフリカの一部の地域に自生しているシトラスタイムです。この種のタイムは、枝の多い低木で、薄手の葉が互いに向かい合ってついており、傘のような白い花が咲きます。

イラン国内では、タイムは特に南部ブーシェフル州とファールス州エグリード行政区の山ろくをはじめとする山岳地帯、そして西部ハメダーン州やコルデスターン州、そして東西アーザルバージャーン州の各地に自生しています。

最も一般的なタイム


タイムには、非常に多くの薬用効果があり、食品や医薬品、化粧品などに利用されています。この植物のうち、薬用効果のある部位は枝先のほか、摘み取って乾燥させた葉にあります。

中世のフランスやイタリア、スペインでも、タイムは咳止めのほか、消化不良を解消し腸内の寄生虫を殺すために使われていました。それは、この植物に抗菌作用があることによるものです。現在でも、アメリカなどの一部の国では、タイムを煎じて飲むことは咳止めや風邪を引いた際の善後策として、広く一般に知られています。

 

 

タイムは、イランの伝統医学においても多用されており、痙攣を鎮める鎮痙剤としてのほか、咳止め、呼吸困難や消化不良、百日咳、気管支炎、肺の感染症、風邪やインフルエンザの治療、さらには胃の膨満感や筋肉の痙攣の解消にも利用されています。

また、この植物には寄生虫やバクテリア、各種の細菌を殺す作用があり、チモールと呼ばれるモノテルペン誘導体を含んでいることから、過剰に摂取すると食中毒を引き起こします。

2014年に、イランの薬草であるタイムや、ヨモギ族の多年生低木セメンシナ、ラベンダーの効能について行われた調査では、この3種類の植物のエキスに病原菌を抑制する効能があるとされています。しかし、中でもザタリア属に属するタイムのエキスは、ほかの種類のタイムのエキスよりもさらに強い抗菌作用があります。

タイムに含まれるビタミンCは、体の免疫システムを強化するとともに、体の第1の防衛ラインともいえる白血球の増産を促します。ビタミンCはまた、コラーゲンの生産に重要な役割を果たしています。コラーゲンは、筋肉や細胞、血管の増強や修復に欠かせないものです。

タイムの薬草の特徴

 

今日、タイムをはじめとする様々な薬草の加工品が生産され、病気の治療に幅広く利用されています。しかし、妊娠・授乳中の女性がこれを服用する事の安全性については、まだ証明されていません。

タイムはまた、血液の浄化作用にも優れ、さらに不眠症や消化器の疾患の治療にも効果があります。ほかにも、この植物には脱毛を防ぐ効果もありますが、尿中のアルブミンの量の増加を招かないよう、過剰摂取は控える必要があります。

 

タイム

 

現在、イラン国内の地域の多くにおいて、稀少植物としてのタイムが絶滅の危険に瀕しています。その理由として、降雨量の減少や気候の変動、登山愛好家の人口の増加、過剰な放牧などによりこの植物が打撃を受けやすい状況にある事が指摘できます。

こうした危機的な状況においては、薬草の商業取引や、これを根こそぎにする過剰な採取が、タイムをはじめとする全ての在来種の植物を絶滅させる重要な要因となっています。

こうした状況に注目し、近年ではタイムの自生する地域において、環境保護関連の組織による特別な措置が講じられています。ほかにも、この稀少植物の人工栽培の普及一般化や教育、その加工品の製造における新技術の利用などが検討されています。

これについて、イランの薬草研究部門で活動するバーゲル・レザーイー氏は次のように述べています。

「薬草を保護する必要性が叫ばれていることから、国内各地における薬草保護区を設定する計画が実施されている。この計画では、稀少な薬草の絶滅を防ぐため、その保護を目的とした特別区域が設定されている」

次回もどうぞ、お楽しみに。

タイム

 

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