4月 04, 2018 18:16 Asia/Tokyo
  • 相談すること
    相談すること

生きていく上で困難に遭遇しない人はまずいない、といっても過言ではありません。しかし、私たちの多くは問題の解決に時間をかけないことから、

表面的な要素にとらわれ、性急な決断を下すことは問題の解決の助けにはなりません。それは、そのような考え方では重要で根本的な問題から遠ざかってしまうからです。そこで、今夜はこうした状況に対処し、マイナスの結果を最小限にとどめ、より多くの肯定的な結果をもたらす技術について考えてみることにしましょう。

 

生きていくための重要な技術の1つに、自分を中心に考えず、他人に相談することが挙げられます。他人に相談することは、私たちが進歩し、よりよい生活を送る上で最も重要な役割を果たしてはいないかもしれませんが、少なくとも最も良い役割の1つを果たすことはできます。現代世界では、他人に相談し、一緒に考えるという行動が欠かせません。ペルシャ文学でも、他人によく相談する人は過ちも少ない、と言われています。

 

NASA・アメリカ航空宇宙局が有人宇宙飛行計画を開始したとき、彼らは小さな問題に遭遇しました。無重力空間ではボールペンのインクが下りてこないため、ものがかけないという問題です。NASAはこの問題を解決するため、あるコンサルティング会社を選びました。調査研究は10年以上にも及び、1200万ドルが費やされました。しかし、NASAは最終的に、無重力状態でも、水中でも、絶対零度でも使用でき、ガラスなど、どんなものにでも書けるボールペンを開発したのです。しかし、ロシアは学者たちに意見を求め、鉛筆を使うというもっと単純な方法を思いついたのでした。

 

これらの実例から、全ての人々が問題に遭遇した際に何らかの行動を起こし、その解決を求める場合、その際の行動は正しく賢明なものであるべきだということが分かります。この例は、問題の解決に当たって、2つの方法を比較しています。問題そのものに焦点を当てることと、その解決法にスポットを当てることは、互いに異なっています。もっとも、多くの人々は実生活において問題に遭遇した際には、大抵、問題そのものにとらわれてしまい、問題の正しい解決方法に注目できなくなってしまうのが普通です。

 

私たちは、様々な考え方に触れることで、よりよい対処法を見出すことになり、また決断力や選択力を身につけることができます。その結果、問題解決能力や成功をつかむ力が増えます。誰かに相談することで、特に専門家や有識者を初めとする色々な人々に考え方を活用し、他人のアイデアを自分の考えと組み合わせることで、思考の範囲や深さ、考える力が増すことになります。

 

イスラムの預言者ムハンマドは、神の啓示を受け、完全な理性の力や純粋さを兼ね備えていながら、常に宗教的戒律を除く全ての事柄について、教友に相談をもちかけ、最もよい方法を選んでいました。彼は、そうすることで、人々が生きていくうえで賢明な方法を選択し、退廃や破滅に陥らないようにしていたのです。

 

神は、コーラン第3章、アール・イムラーン章、「イムラーン家」第159節において預言者に対し、何かをする際には信徒たちに相談し、意見を交換し合うよう求め、次のように述べています。

 

彼らの過ちを許し、彼らのために許しを求めるがよい。また、様々な事柄において彼らに相談するがよい。しかし、何かを行なうと決めたら、確固とした決意で、神に頼ることである。まことに神は、頼る者を愛される”

 

コーランではまた、神の僕に相応しい人の特徴の1つとして、他人の意見を活用する人であることを挙げており、第42章、シュウラー章「相談」、第38節において次のように述べています。

 

エ;“また、本当に敬虔な人々とは、主の呼びかけに答えて礼拝の務めを守る者、互いに相談して行動するもの、我が授けたものから施す者たちである”

 

「生きるための技術」は、IRIB国際放送ラジオ日本語よりお送りしています。今夜は、相談することの重要性についてお話しています。

コーランにおける相談

 

コーランの文化では、どれほど経験を積み知識の量が増えたとしても、決して他人への相談が必要でなくなることはありません。他人の考えやアイデアは、自分を導くものとなります。心理学者の間では、他人から支持され認められることで自信がつき、自分を大切にするようになり、達成感が生まれると考えられています。個人的な経験からも、私たちが他人と相談しながら何かを行いたいと考えるときには、より大きな自信を持ち、それに成功できると確信していたことが分かります。

 

このように、本当に能力のある人とは、個人的に大きな能力を持つ人ではなく、他人の能力を活用できる人であると言えます。また、よりよく問題を解決し、物事を決定する人とは、そのあらゆる段階で誰かに相談し、正しい決断を下すことで、問題をより効果的に解決できる人を指します。物事を正しく行う上で、他人と一緒に考えることが重要であることから、この問題は家庭という最小の社会組織においても注目されています。これについて、コーラン第2章、アル・バガラ章、「雌牛」第233節では、乳児を持つ親に対し、夫婦で相談し合いながら子どもを離乳させる適切な時期を決定することが求められています。

 

しかし、他人に相談し、一緒に考えることの重要性に加えて、誰に相談するかということも重要なポイントになります。専門家は、経験が浅く十分な専門知識のない人や、相談者の秘密を他人に漏洩するような人には相談しないよう勧告しています。さらに、物事をマイナスにしか捉えられない、また悲観的な考えを持つ人々も、相談を行うのは危険だとされています。それは、そのような人は単に、忠告といいながら自分の悲観的な考え方を押し付けてくるに過ぎないからです。ですが、人生において大きなプラスの歩みを踏み出し、長期的な展望を持ち、有識者であれば、相談者が決断を下す際によき案内人となり、有益なアドバイスができると考えられます。

 

 

 

 

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