May 14, 2018 21:07 Asia/Tokyo
  • ゴウハルシャード・モスク
    ゴウハルシャード・モスク

モスクは精神的、教育的な導きといった機能があると述べました。この導きは、集団礼拝の導師であるイマームの精神的な導きによって、秩序だったものとなります。

モスクでの集団礼拝は、秩序と調和における完全な規範となります。人々が特定の時間に集まることは、1日5回の礼拝のアザーンにあわせて時間を管理することにあたり、これにより、礼拝を行う人は、秩序に順応します。

礼拝をする人が整然と列を成すことは、集団礼拝の原則です。これは、敵に対するイスラム教徒の団結を示しています。

おそらく、秩序は、合意や共感に影響を及ぼすということができるでしょう。基本的にイスラムにおけるすべての戒律や指示は、義務であっても、望ましいことであっても、すべて緻密で論理的な計画を有しており、これによってイスラム教徒は特定の秩序下におかれることになります。

つまり、秩序の遵守は、集団礼拝の実施のときだけでなく、モスクのすべてのプログラムや活動において、大変大きな重要性を持っています。なぜなら、モスクは神の家であり、秩序と時間厳守の教育のシンボルとなっているからです。また、秩序は時間の有益な使い方の可能性を整えます。実際、秩序とは、時間の管理によって実現するものなのです。

イスラムにおける秩序は、シーア派初代イマーム・アリーが、殉教に際して、遺言を残したとき、息子やイスラム教徒に秩序を守るよう求めたほど、重要なものなのです。

 

集団礼拝

 

それでは、北東部マシュハドのゴウハルシャード・モスクについてお話しましょう。

ゴウハルシャード・モスク

 

ゴウハルシャード・モスクはシーア派8代目イマーム・レザーの聖廟の敷地の南側にあります。このモスクは、建築学的な特徴や、タイルや装飾文字による装飾のため、イランの歴史的建造物の中で最も優れたものとされています。前回の番組でお話しましたように、このモスクはゴウハルシャード・アーガーという女性と、ガヴァーモッディーン・シーラーズィーという建築家により、1418年に建てられました。

ティムール朝時代の建造物の最高傑作であるこのモスクの美しさは、やはり色彩によるものが大きいと思われます。ゴウハルシャード・モスクのドームには、ターコイズブルーのタイルが使われ、そこには、「アッラーのほかに神はなし」という文言が記されています。これは、青く広い空を表現しています。

この空を表現したドームの下で神との語らいを行うことで、礼拝を行う人々と天の間の距離が縮まることになります。礼拝所、マクスーレ・ドームの天井、上の装飾文字の基調に白い色が使われていることは、このモスクの神聖さや清らかさ、穏やかさを示しています。

ゴウハルシャード・モスクのマクスーレ・アーチ

 

 

ゴウハルシャード・モスクに紺色やターコイズブルーなどのさまざまな青が使われていることは、永遠の価値あるものの象徴として、最高の環境を作り出しています。ゴウハルシャード・モスクの装飾文字は、紺色の地に白い文字で描かれています。中庭を取り囲む4つのアーチ型建造物は、ベルトのようにひとつづきになっています。

黄色は、光をあらわす最も明るい色で、知識と理解と象徴的な形で関係しており、礼拝を行う人々の英知を示しています。ゴウハルシャード・モスクでは、タイルに加えて、複雑な形で描かれている草花模様や幾何学模様において、また、クーフィー書体の文字においても、黄色が見られます。

ゴウハルシャード・モスクでは、緑色も、希望や安らぎを示す色となっており、タイルの草花模様に見られるだけでなく、ムカルナスという鍾乳石形の天井の装飾においても見られます。

また、黒は、しばしば石による装飾文字や、タイル装飾などにも見られます。黒を使うことで、他の色が強調されることになります。

 

ゴウハルシャード・モスクの2つの尖塔

 

 

ゴウハルシャード・モスクは1つの中庭、1つのドーム、そして2つの尖塔、4つのアーチ型建造物、7つの礼拝場による複合施設です。もっとも大きなアーチ型建造物は、マクスーレのアーチと呼ばれ、これは前回の番組でも紹介しました。

サファヴィー朝時代以前、尖塔の資材には主にレンガが使われていました。しかし、この時代以降、ターコイズブルーのタイルが使われ、土台部分に黄色で創造主や預言者ムハンマド、シーア派初代イマーム・アリーの名が記されるようになりました。

ゴウハルシャード・モスクの2番目のアーチは北側のアーチで、ここは簡素なアーチとされ、礼拝の方角、キブラのあるマクスーレのアーチと向かい合っています。アーチの前には、モアッラグ体という書体による装飾文字が、サファヴィー朝のアッバース1世時代に入れられました。

ゴウハルシャード・モスクのマクスーレ・アーチ

 

また、北側のアーチの内部全体は、さまざまな色による装飾タイルで飾られています。

 

3番目のアーチは、東側のアーチで、このアーチの北側と南側の上部には、入れ子型のアーチが存在します。

 

最後に西側のアーチは、以前はマシュハドの大バザールにつながっていました。アーチ内部には、東側のアーチと同じように、小さな入れ子型のアーチがあります。