西側での女性の収監者に対する暴力
現代世界における惨憺たる現実の1つは、人権擁護を主張する西側諸国が、刑務所に収監されている女性の権利を侵害しているという事実です。 今回は、この問題についてお話することにいたしましょう。
アメリカは常に人権侵害を理由に、地域諸国を槍玉に上げています。一方で、アメリカで刑務所に収監された女性が明らかにした数多くの報告は、惨憺たる現実を明らかにしています。近年、女性の受刑者に対するアメリカ当局の行動は、国連拷問禁止委員会が、次のように報告しているほど醜悪なものなのです。
「アメリカにおける収監者の女性に対する行動のあり方は改善されるべきだ。刑務所の職員による性的暴行や人種差別、鎖や枷の使用により、アメリカの刑務所は最も恐ろしい場所となっている」
通常はアメリカの刑務所における性的暴行を黙認している、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルも、注意深く記された報告の中で、アメリカの刑務所の刑務官による、1000件以上の女性に対する性的暴行事件が起きていることを認めています。
ニューヨーク州の更正施設も、報告の中で、別の事実を明らかにしています。この報告の一部では、妊娠中の収監者に中絶を勧めるという、ある種の虐殺と考えられる事例が伝えられています。このため、妊娠中の女性の受刑者の9人中、4人が中絶しています。
もっとも、アメリカは貧しい女性や黒人女性の生殖能力を失わせてきたという暗い歴史があります。ニューヨーク州の更正施設の報告でも、2006年から2010年の間に、およそ150人の有色人種の受刑者の女性が生殖能力を奪われているとされています。
ある人権機関は最近の報告の中で、アメリカ政府が収監中の女性の状況に注意を払っていないことを批判しました。この報告の中では、アメリカの女性収監者の数が目覚しく増えているにもかかわらず、刑務所の構造が男性の特徴に合わせたものであるため、女性たちにとって多くの問題が生じている、とされています。
イギリスの国際刑務所研究センターの統計によりますと、アメリカは常に、女性の収監者の数で世界1位です。この数は1980年から、700%増加しており、男性の収監者数に比べて大幅に伸びています。
また、この報告によりますと、アメリカの女性収監者数の割合は全世界の3分の1にあたり、彼女らの多くは黒人か、ネイティブアメリカンとされています。また、アメリカの女性収監者の3分の2は母親であり、彼女らの多くは18歳以下の子供を持ち、また、このことは、これらの女性の家族に多くの問題をもたらしています。
アメリカの収監中の女性が直面しているひとつの問題は、家族が住む場所から数百キロ離れた場所に収監されているということで、このため、彼女らは長い間家族に会うことができません。この問題は、妊娠中の女性の問題を倍増させています。
アメリカの新聞ハフィントンポストは衝撃的な記事の中で、アメリカの各州における妊娠中の収監者の状況について報じており、彼女たちが出産の際にも手錠をはずされないことを明らかにしました。また、マサチューセッツ州やそのほかの州では、女性の受刑者は妊娠中、そして、産褥中も手錠をはずされないと伝えています。
マサチューセッツ州の更正施設に入っているミシェルという女性は、手錠をかけられたまま出産のために病院に搬送されたと語りました。彼女は暴力を伴わない罪により刑を受けていましたが、警備員2人が彼女に同行し、そのうちの1人は武器を持っていました。彼女は分娩中、18時間も鎖で体をベッドに縛り付けられていました。この女性は、次のように語っています。
「出産後、私を風呂場に移送されるため、すぐに手足を拘束した」
ミシェルという女性の話は、このような事柄の一例でしかないのです。
それではここで、女性問題の専門家であるアーホンダーン博士のお話をお届けしましょう。
「人権擁護を担当する国際機関や一部の西側諸国は、常に自身を世界における人権の擁護者だとしているが、残念ながら、彼らは人権に関してダブルスタンダードや人種差別的な立場を取っており、矛盾した行動により、暗い過去となる事件を起こしている。この20年間、西側の女性を擁護する組織の努力にもかかわらず、莫大な件数の女性に対する暴力や性的暴行が起こっている」
興味深いのは、アメリカでは世界の5%の女性のみが生活していますが、アメリカには世界の女性収監者のおよそ30%が存在し、その数は中国の2倍、ロシアの4倍となっているという点です。アーホンダーン博士はまた、次のように語っています。
「アメリカの女性収監者に対する暴行事件の98%では、加害者は刑務所の関係者の男性となっている。アメリカの女性の収監者は、刑務所の関係者の男性から暴行を受けているだけでなく、ほかの収監者からも暴行を受けている統計も、付加されるべきだろう。女子刑務所の男性の関係者が、麻薬やそのほかのものを利用できるよう整える代わりに、あるいは受刑者の素行の悪さに関する偽りの報告をしるして、独房へと移し、家族との面会も許可しないと脅して、被害者に性的暴行を加えるという報告は、数千件にも上る。多くの被害者はこれを訴えようとしなかったり、あるいは抗議する機会を見出せない状態にある」
2014年3月13日と14日、国連人権理事会は、アメリカで行われていることが市民的及び政治的権利に関する国際規約に一致しているかどうかを検討し、アメリカは女子刑務所においてその7条と10条に違反していることが明らかになりました。妊娠中における女性に手錠をかけることは、国連の拷問等禁止条約に反しているとともに、連邦裁判所の法令により、アメリカ合衆国憲法8条への違反にも相当します。
イギリスの女性収監者の状況も、人権機関による批判を受けており、イギリスの人権の遵守の主張は、深刻な形で疑問視されています。少し前にイギリスの法務省が発表した統計によりますと、イギリスではおよそ4500人の女性が収監されていますが、このうち28%が少数派の民族だということです。
また、少数派の女性やそのほかの収監者は、不適切な場所に拘留されており、これらの女性のうち78%が精神的な問題を抱え、そのうちの30%が自傷行為に及んでいるということです。イギリス法務次官はあるメディアとのインタビューで、女性収監者は、自傷行為や自殺だけでなく、ほかの収監者から嫌がらせを受けることもあるとしています。また、、政府や刑務所の責任者がこの問題に注目していないことを批判しました。
これは、現在、西側の女性が向き合っている過酷な現実の一端でしかありません。西側諸国は、現在も常に人権を遵守しているとしていますが、いまだに多くの女性、特に収監中の女性は人権を奪われた状態にあるのです。