6月 23, 2018 23:02 Asia/Tokyo
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今回は、コーラン第87章アル・アアラー章至高者についてお話しましょう。

慈悲深く、慈愛あまねき、神の御名において

 

アル・アアラー章はメッカで下され、全部で19節あります。この章で述べられているのは、神とその7つの性質の賞賛、創造世界における導きとバランス、秩序の掟、心の浄化と自己形成、預言者イブラヒームとムーサーの啓典の教えといった事柄です。

 

この章は初めに、神とその類まれなる性質を賞賛するよう呼びかけるとともに、神の名を偶像と同等に配してはならない、としています。また、神の清らかな性質は、創造物のあらゆる欠点や欠陥、性質を免れたものだと考えるべきだとされています。コーランの節によれば、神は、私たちが考えるあらゆる人やもの、そして私たちが同等にすえる目に見えるものや見えないもののよりも優れています。神は世界を創造し、それに秩序を与え、全ての人を向上へと導きました。

 

神の導きには、創造に関するものと宗教に関するものの2種類があります。母親に強い母性愛が与えられ、乳児を育てるために胸と乳が用意されると共に、乳児にも、母乳を求める気持ちが与えられるとき、目的を達成する上での、このような双方の求め合いは、創造面での導きと呼ばれ、すべての生き物に存在します。

 

生き物の中でも、人間に関しては、こうした創造面での導き以外に、別の導きの形も存在します。それは啓示や神の預言者を通して行われ、「宗教面での導き」と呼ばれます。この導きは、あらゆる面で、創造面の導きを補完するものです。

 

アル・アアラー章は、神が、大地や草原の中から生やした家畜のえさや植物に触れ、人間に、神の高い地位について詳しく説明しています。また、神の一部の恩恵を挙げ、感謝の気持ちを抱かせようとしています。

 

世界の正確な秩序と計算、すべての生き物の導きは、時代が過ぎ、人類の知識が高まれば高まるほど、さらに多くの真理が明らかになる問題です。これについて、多くの本が記され、その中で、宇宙の神秘の一部が明らかにされています。

 

アメリカの化学者、アブラハム・クレッシーモリソンは、“人間の創造の秘密”という本の中で、動物やさまざまな種類の生き物の導きの例を挙げています。

 

「渡り鳥は、一年のうち、時に数千キロも、海や森林、砂漠の上空を飛び続けるが、決して自分の巣の場所を忘れることはなく、自分の住みかに帰る。また、蜂も、巣からどれほど遠ざかり、風によってあちこちに運ばれたとしても、自分の巣に帰る。しかし人間は、自分の家に帰るのに、正確な住所や案内が必要である。小さな魚は、何年もの間、海で生活し、その後、産卵のために生まれた川へと戻っていく。このとき、魚は流れに逆らって進み、長年が経ったにも拘わらず、卵をかえすのに適した元々の住みかを見つける」

 

アル・アアラー章の第14節と15節を見てみましょう。

 

「明らかに、自らの心を浄化し、主の名を唱え、礼拝を行う人は救われる」

 

心の浄化には広い意味があります。多神教信仰や卑しい性質から心を清め、行いを改め、施しをして財産を清めることなどが含まれます。施しによって魂が清められます。これについて、人間は、自分の欲望を抑え、礼拝や神の名を唱えることによって、現世への執着を心の中から追い払わなければなりません。現世への執着は、あらゆる罪の源です。財産や地位、欲望などの現世への執着は、もし節度を超えてしまった場合、人間の精神の嵐を起こし、自分の持てるすべてのものを台無しにしてしまいます。時には、判断力すらも失わせます。その結果、人間は現世の生活を来世のそれよりも優先にしてしまいます。しかし、来世の永遠の住みかを、はかない現世のために台無しにするのは、決して賢いことではありません。

 

アル・アアラー章の最後の節は、この教えは永遠に不変の真理であり、イブラヒームやムーサーといった他の預言者の書物にも出てくる、としています。

 

すべての預言者たちの基本的な教えにおいて、人間は、神に近づき、神を賞賛するようにとされています。それでもなお、人間は多くの場合、それを無視し、欲望に支配され、様々な罪を犯します。そのため、罪の根源を絶つための唯一の方法は、自己改革に取り組み、現世を来世のための通過点や橋、畑と見なすことです。現世に植えたものは皆、来世で実ることになるでしょう。

 

 

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