8月 18, 2018 15:43 Asia/Tokyo

コーラン第28章 アル・ゲサス章 物語り 第18節~第21節

慈悲深く、慈愛あまねき、アッラーの御名において

第18節

「[その後、ムーサーは]町で不安と恐怖を抱くようになった。すると突然、昨日、彼に助けを求めた人物が、大きな声で叫びながら彼に助けを求めるのを見た。ムーサーは彼に言った。『本当にあなたは明らかに迷っている』」 (28 : 18)

حَتَّى إِذَا أَتَوْا عَلَى وَادِ النَّمْلِ قَالَتْ نَمْلَةٌ يَا أَيُّهَا النَّمْلُ ادْخُلُوا مَسَاكِنَكُمْ لَا يَحْطِمَنَّكُمْ سُلَيْمَانُ وَجُنُودُهُ وَهُمْ لَا يَشْعُرُونَ (18)

 

第19節

「その後、ムーサーが彼ら2人の敵であった人物に厳しく応対しようとしたとき、その人物は言った。『あなたは昨日、一人の人間を殺したように、私も殺そうとするのか? あなたはこの地で暴力を振るうだけで、改革者の一人になろうとはしないのか?』」 (28 : 19)

فَتَبَسَّمَ ضَاحِكًا مِنْ قَوْلِهَا وَقَالَ رَبِّ أَوْزِعْنِي أَنْ أَشْكُرَ نِعْمَتَكَ الَّتِي أَنْعَمْتَ عَلَيَّ وَعَلَى وَالِدَيَّ وَأَنْ أَعْمَلَ صَالِحًا تَرْضَاهُ وَأَدْخِلْنِي بِرَحْمَتِكَ فِي عِبَادِكَ الصَّالِحِينَ (19)

 

前回の番組でお話したように、預言者ムーサーは、青年期に達するとフィルアウンの宮殿を出て人々の間で暮らすようになりました。その当時、イスラエルの民はコプト人と、フィルアウンによる厳しい圧制のもとに置かれていました。彼は町の中で、コプト人がイスラエルの民と争っているのを目にし、コプト人を殴りました。ムーサーは虐げられた人物を助けようとしてコプト人を殴り、彼を殺してしまったのです。

 

この2つの節は次のように語っています。「この出来事の後、ムーサーが再び宮殿に戻ることはなく、こっそりと町に留まった。彼はフィルアウンの役人に捕らわれてしまわないかと、不安と恐怖に襲われていた。しかしその翌日、前日のイスラエルの民が、また別の人物と争い、ムーサーに助けを求めてきた。ムーサーは初め、彼に言った。『あなたは、毎日、何らかの理由でコプト人と争い、自分や他人の命を危険に晒す、無知でおろかな人物です。このようなあなたの行いは無意味であるばかりか、イスラエルの民にさまざまな問題をもたらします』 しかし、いずれにせよ、彼は虐げられていて、圧制を受けていた。そのためムーサーは彼を助け、彼を見捨てることはしなかった。とはいえ、今回はこぶしを振るう代わりに、コプト人がその虐げられた人物を殴るのを防ぐため、全力でそのコプト人のことを抑えるにとどめた」

 

第18節 ~ 第19節の教え

•             敵との闘争に無計画に臨み、何の結果も得ることなく、自分や他人に問題を作り出すべべきではありません。

•             友人が過ちや違反を侵した場合には批判しましょう。それと同時に、彼らが圧制的な敵に対抗するのを傍観していてはなりません。

•             敵に対しては力強く立ち向かい、全力で対抗すべきです。

 

 

第20節

「また[その時、]町のはずれから一人の人物が走ってやって来た。彼は言った。『ムーサーよ、民の長老たちがあなたについて相談し、あなたを殺そうとしています。だから[すぐに町から]出て行きなさい。私はあなたの善を求めています』」 (28 : 20)

وَتَفَقَّدَ الطَّيْرَ فَقَالَ مَا لِيَ لَا أَرَى الْهُدْهُدَ أَمْ كَانَ مِنَ الْغَائِبِينَ (20) 

 

第21節

「それでムーサーは、不安と恐怖に駆られ、[いつ何が起こるだろうかと、町を離れ、言った。『主よ、この圧制的な民の手から私をお救いください』」(28 :21)

لَأُعَذِّبَنَّهُ عَذَابًا شَدِيدًا أَوْ لَأَذْبَحَنَّهُ أَوْ لَيَأْتِيَنِّي بِسُلْطَانٍ مُبِينٍ (21)

 

町で起こった出来事、つまり、奴隷であったイスラエルの民と2人のコプト人との争い、それが2日続けて起こり、いずれの時にも、ムーサーがイスラエルの民を助けた、という知らせは、フィルアウンの宮廷にも届いていました。この知らせは、宮廷の人間たちにとって耐えられないことでした。そのため彼らは、それ以上、誰もコプト人に対抗する勇気を持たないようにするため、ムーサーを殺害することにしました。

 

フィルアウンの役人たちが行動を起こす前に、フィルアウンに近い人物の一人がそれに気づき、すぐに町にやって来て、ムーサーに伝えました。「あなたに関してこのような決定が下された。だからすぐに町を離れなさい」 歴史的な言い伝えによれば、この人物の名は、ヘズギールと言いました。彼はムーサーが預言者となった後、彼に信仰を寄せ、フィルアウンの一族の敬虔な人物として知られていました。彼はフィルアウンの妻と同じように宮廷に暮らしてはいましたが、フィルアウンの統治体制を受け入れておらず、彼に対する蜂起を待っていました。彼はムーサーの行いを見たとき、彼こそ、フィルアウンに対して蜂起するための勇気と力を持っている人物だと直感しました。そのため、ムーサーの命を助けようと町にやって来て、彼を危険から救ったのです。

 

いずれにせよ、ムーサーはこの人物の情報を真剣に受け止め、警戒しながら町を離れました。彼はいつ何が起きてもおかしくないと思っていました。ですから、無事にエジプトを離れ、圧制者の手を逃れることができるよう、神に助けを求めたのです。 

 

第20節 ~第21節の教え

•             圧制者を助けることは禁じられていますが、虐げられた人々を助け、さらなる圧制を防ぐために圧制者の組織に身をおくことは、好ましい行為と見なされます。

•             私たちが神のために何かをすれば、神は、私たちが危険に陥った際に私たちを助け、守ってくださいます。

•             しかるべきときに迅速に知らせが届くことが、時に一国の国民の運命を変えることがあります。ムーサーを支持する人物が、すばやくムーサーに知らせを届けていなければ、ムーサーは町に留まり、フィルアウンの役人に殺されていたことでしょう。

•             宮廷に住む人物の中にも、真理を求める人がいる可能性があります。また、貧しい人々の中にも偽りに従う人が存在する可能性があります。どちらの場合も、基準は真理と偽りにあり、その人が住んでいる場所は関係がありません。