ギーラーン州の風俗習慣(1)
今回は、イラン北部、カスピ海沿岸の緑豊かな地域ギーラーンの人々の風俗習慣についてお話しすることにいたしましょう。
イラン北部、カスピ海の南西に位置するギーラーン州には、心の温かい、快活で率直、素朴な人々が暮らしています。この地域の人々は親密で誠実、正直であることが自分たちの文化の本質にあると考えています。ギーラーンはイランで最も緑豊かで清々しい州の一つであり、歴史の中で、男性たちの勇気と自由の土地とされてきました。昔から、ギーラーンの美しい緑の森に覆われた山の麓や水量の多い河川のそばで、勇敢な人々が暮らしてきました。
ギーラーンについて調査を行ってきた多くの歴史学者が、ギーラーンの人々は勇敢で誇り高く、独立心旺盛な人々であり、外部の勢力に対して屈することはなかったことを認めています。これらの人々は特別な習慣や慣習を持っており、時代の経過と共に変化し、一部は今日まで続けられてきました。ギーラーンの人々の間に広まっている最も有名な伝統に、大衆演劇があります。
演劇は文化、場所、時代の状況や必要性に応じて異なっており、その古い形の中では、一つの芸術としてだけでなく、生活の一部、習慣の一部として、社会の文化の中に存在しています。今日、伝統的な大衆演劇と呼ばれているものについて、実際、その演劇の継続はその歴史の古さを意味しており、多少の違いはあれ、同様の役割と地位を有しています。
ギーラーンには、内容によって様々な形の伝統演劇が存在します。例えば、雨乞いや人形劇、綱渡りなどが挙げられます。
今述べてきた演劇の一部は今もギーラーンの多くの地域で行われています。この中で、ギーラーンの人々の間で人気のある伝統的な演劇の一つは、ラーファンドバーズィーと呼ばれる綱渡りです。綱渡りは他の地域の伝統と融合しており、イランの新年にあたるノウルーズ、結婚式などの祝祭、ギーラーンの週市場などで多くの見物客を集めています。綱渡りは、綱を実際に渡る人と、綱の下でその真似をする人によるアクロバット演劇です。アクロバットやスポーツの側面をもつと共に、綱渡りを助ける役者の芝居の点からも、注目に値する演劇となっています。
綱渡りのグループは、多くが地元の楽器の演奏家を2人伴っています。綱渡りをする人は一般に、綱の上で芝居を行い、ときに頭に物を置いたり、手に道具を持って、綱の上で動き回ります。綱渡りを行う人の服は軽く、動きを邪魔しないもので、多くが彼らの好みで装飾されています。綱渡りの補助役も、人々を単に笑わせるだけの存在ではなく、綱渡りが重要な段階を経ようとしている際に、芝居をしたり、物語を語ったり、面白い話をして人々の注目をひきつけ、綱渡りが安定して事を成し遂げることができるようにします。補助役は、見物客の前でウィットに富んだあたたかな芝居を披露します。芝居に加えて、人々と会話し、芝居と客を互いに結びつけるのです。
ギーラーンには多くの慣習があります。ギーラーンの村に伝わる人道的・友好的な慣習の一つに、生活の困難な状況における支援というのがあります。これは友人たちが隣人の助けに向かい、彼らの問題を解決しようという慈愛に溢れた行為です。稲作における支援の一つは、ビージャールサルというものです。ギーラーン州では多くの土地が稲田にあてられ、女性たちは稲作において重要な役割を果たしています。稲作において、女性たちは互いに助け合い、作業をしている土地の所有者によって昼食や軽食に招かれます。作業が終わると、別の所有者の稲田に行き、他の人の田植えを手伝い、友好的な雰囲気の中で、困難な作業を終わらせます。収穫の際も、男性たちは互いに助け合い、作業が終われば次の稲田に向かい、最終日には、喜びに溢れる雰囲気の中、地元の格闘技など様々な行事を催します。
この他、家畜が病気になったり事故に遭ったりして、それらを失った際に行われる支援もあります。この中で、その村の家畜所有者は、その豊かさと健康に感謝し、できる範囲で牛や羊を分け与えたり、その家族が生活を持ち直すまで貸したりします。またギーラーンの村人たちの間では、この他多くの支援が行われています。これについては次回の番組でお話しすることにいたしましょう。
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