May 11, 2022 17:51 Asia/Tokyo
  • バモー国立公園でのガゼル
    バモー国立公園でのガゼル

イラン南部にあるファールス州は、全体的に山岳地帯になっています。

ファールス州にある高い山々は、イランの北西から南に連なるザグロス山脈から続いています。ファールス州では、ザグロス山脈が少しずつ高度を抑え、低くて広がりのある山々へとつながっていきます。標高が低くなり、降雨量が減少するのに従って気候も異なりを見せ、その結果、ファールス州では、様々な種類の動物や植物が見られます。この多様性により、ファールス州には、バモーという名の美しい国立公園が誕生しました。この公園は、地域の自然やエコツーリズムの魅力という観点から重要性を有しています。ここからは、バモー自然公園についてご紹介しましょう。

 

バモー国立公園

 

バムー国立公園は、ファールス州の北部の州都シーラーズの北東部に位置しています。この公園は、シーラーズとイスファハーンを結ぶ街道により、東と西の2つの部分に分けられており、シーラーズまでは5キロ離れています。バモー国立公園は、1962年当初、10万ヘクタール以上が禁止区域に指定されました。しかしシーラーズの人口の増加と町の拡張と共に、その面積が次第に縮小され、1967年、自然保護区に名前が変更されると、その数年後には、国立公園となりました。現在、この公園の面積は4万ヘクタール、東から西へと広がる3つの山脈を含んでいます。公園の中で最も標高の高い地点は、バモー山の2700メートルで、シーラーズの町からよく見ることができます。

 

バモー国立公園

 

これまで実施された調査により、バモー国立公園では、32種類の哺乳類、91種類の鳥類、19種類の爬虫類、3種類の両生類が確認されており、これらはこの公園に住む動物の多様性を物語っています。また、この公園では、保護鳥18種類、絶滅の危機にある鳥6種類、保護動物4種類が安全に暮らしています。

 

バモー国立公園での鹿

 

植物の点でも、バモー国立公園は、適切な降雨量と気候により、多種多様な植物が生育しています。この公園にいち早く春が訪れると、一帯はシーラーズの美しいヒナゲシ、チューリップ、サクラソウで覆われ、色とりどりの花畑による美しい光景が生まれます。これまでに、バモー国立公園では300種類以上の植物が確認されており、それらは家畜の飼料や薬草として高い価値を有しています。バモー国立公園の多様な植物の存在により、ここには、カモシカやヒツジ、ヤギ、その他の草食動物が数多く集まっています。また、ヒョウ、オオカミ、ハイエナ、野生のネコ、ジャッカル、キツネも生息しています。なぜなら、この地域の草食動物をえさにすることができるからです。さらに、シャコなどの鳥も数多く見られ、泉のそばでいつも大きな群れを作っています。

 

バモー国立公園でのヒョウ

 

バモー国立公園は、野生動物を間近に観察することができるイランでも限られた場所のひとつです。様々な種類の動植物の存在は、美しい自然の景観と共に、自然散策やエコツーリズムの点での、この公園の魅力となっています。また、豊かな自然が存在すること、学術センターに近いことから、この公園は植物学や動物学に関する研究調査の点でも、特別な地位を有しています。休日になると、この公園には、余暇を過ごそうとする多くの家族がやって来て、美しい自然と爽やかな空気を満喫しています。

 

バモー国立公園

 

この他、ファールス州にあるイランの類まれなる自然の一つに、バフテガーンと呼ばれる湖があります。この湖は、バフテガーン国立公園の中にあります。バフテガーン地区は、その生態学の重要性から、1968年に保護区とされ、その後の95年に国立公園に指定されました。この国立公園は、11万7000ヘクタールを超える面積を有し、ファールス州に位置しています。標高は1560メートルから2480メートルで、年間降雨量は330ミリメートル、年間平均気温は15度となっています。こうした気候条件により、バフテガーン国立公園は、穏やかな砂漠性の乾燥地帯となっています。

バフテガーン国立公園

 

バフテガーン国立公園は、バフテガーン湖と山岳地帯になっている部分、その北側の丘を含み、野生動物の生息地となっています。湖の水は、周囲は淡水になっていますが、中央の部分は塩水です。バフテガーン湖の深さは3メートルで、降雨量の多い年には、近くにあるタシャク湖と合わさって、大きな湖になります。バフテガーン湖には、様々な種類の水草が生えています。またバフテガーン国立公園では、タイム、ギョリュウ、アーモンドも見られます。バフテガーン湖に浮かぶ島々は、渡り鳥や土着の鳥の生息地や繁殖地となっています。そのため、バフテガーン国立公園は、鳥類の保護に関する国際機関から重要な生息地に指定されています。

 

バフテガーン国立公園

 

バフテガーン国立公園に生息する主な動物や魚には、野生のヤギやヒツジ、ヒョウ、フラミンゴ、カモ、ペリカン、ハゲタカ、カメ、コイがいます。この湖の水には多くの植物や生物が存在するため、エビの一種であるアルテミアが多く見られます。美しい自然の魅力と多様な生物の存在により、バフテガーンの国立公園と湖は、観光や研究活動の土台が整っています。

 

バフテガーン国立公園

 

ファールス州の自然の魅力は、ここまでお話ししたことに限られません。次回の番組でも、引き続き、この州の自然の見所についてお話しする予定です。

 


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