2月 10, 2022 14:30 Asia/Tokyo

皆様こんにちは。このシリーズでは、イランで実際に使われているペルシャ語の生きたことわざや慣用句、言い回しなどを毎回1つずつご紹介してまいります。

今回ご紹介するのは、「誰かの手をヘナの中に入れる」です。

ペルシャ語での読み方は、Dast-e kasii raa tuuye henaa gozaashtanとなります。

ヘナというのは、皆様もご存知かもしれませんが、植物を素材とした天然のヘアマニキュアで、頭髪を染めるほかに、頭痛を抑えたり、体を清める目的でも使われ、特に現在のイラン南部では、女性が手や腕などにおしゃれや装飾のためにヘナで細かい幾何学模様を描いたりする、ということが行われています。

この表現は、何かの物事の途中に誰かを放り出したままにして動けなくする、という意味で使われており、昔の公共浴場での習慣が元になっていると言われています。

昔の公共浴場はトルコ風呂とも呼ばれ、トルコの慣習方式で運営され、そこでは利用客が湯船につかった後に、湯船から離れた場所に座り、そこに浴場の使用人がやってきて利用客の頭髪やひげをヘナで染めたり、また手足をヘナの中につけさせるというパターンが定着していました。使用人は、利用客にヘナの処置を施した後は数時間にわたり、ヘナが利用客の頭髪や体に染まるまでそのまま放置しておき、ほかの使用人とのおしゃべりにふけっていたということです。つまり、その間は利用客はまったく身動きが取れないままということになります。

このことから、誰かの手足をヘナの中に入れる、という表現が次第に、誰かを何かの物事の途中に放置し、動けなくするという意味に使われるようになりました。

冒頭でもご紹介しましたように、ヘナは頭髪やひげを染めたり、また手足の装飾用に使われるほか、頭痛を抑える効果もあるということです。このような慣用句にも、イランの伝統的な習慣が如実に現れているのではないでしょうか。それではまた。

 


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