ペルシャ語ことわざ散歩(119)「アメリカオニアザミを食べて錨を下ろした」
皆様こんにちは。このシリーズでは、イランで実際に使われているペルシャ語の生きたことわざや慣用句、言い回しなどを毎回1つずつご紹介してまいります。
今回ご紹介するのは、「アメリカオニアザミを食べて錨を下ろした」です。
ペルシャ語での読み方は、Kangar khorde langar andaaakhteとなります。
すでに皆様もお気づきかと思われますが、このことわざは音声面でもうまく脚韻を踏んでおり、Kangarはアメリカオニアザミという野生の植物、Langarとは船舶を留め置く錨を意味しています。また、khordeとは「食べた」、anndaakhteとは「何かを投げてそれを地面に下ろした」ことを意味しています。
このことわざの最初に出てくるアメリカオニアザミとは、別名セイヨウオニアザミとよばれるアザミ属の多年草です。この植物は、棘のある葉を持ち、茎はセロリににて太く、特にこの茎の部分はスープや煮物に使われるほか、生のままサラダにして食される場合もあります。
特に古代のエジプトやギリシャでは、食物の消化を助ける野菜として知られ、16世紀のヨーロッパでは有名な野菜の1つとして、主に貴族階級の間で多く食されていたということです。
この野菜を使ったメニューは非常においしく、つい満腹して動けなくなるまで食べてしまうと言われています。このことから、この表現は「食事会やパーティーなどに招かれた先でたくさん食べ過ぎて動けなくなる、家に帰る気がなくなること」、「ある場所に居座ったまま動こうとしないこと」、「お呼ばれに行った先で必要以上に長居して、相手に迷惑をかけること」といった意味を表すようになりました。
お呼ばれやパーティーに出かけて楽しく過ごすことは大変結構なことですが、あまり羽目をはずしすぎないよう、マナーや節度はきちんと守りたいものですね。それではまた。