5月22日国際生物多様性の日
(last modified Sat, 20 May 2017 07:58:44 GMT )
May 20, 2017 16:58 Asia/Tokyo
  • 5月22日国際生物多様性の日

これまでの知識によれば、天体系の中で、地球は、人間やその他の生物が暮らしている唯一の惑星です。生物の多様性は、地球の重要な資源であり、この惑星が何百万年をかけて生み出してきた最も重要な産物です。

 今日、世界の学者たちは、自然科学者たちと声を揃え、一種類が消滅すれば、実際は、何百万年分もの産物が失われるという結論に達しました。そのため、生物の多様性は、地球の生命の基盤となるのです。

 

生物の多様性の重要性に注目し、国連は、5月22日を国際生物多様性の日と名づけました。これにより、地球や人間の存続にとって、生物の多様性がどれだけ重要であるかを世界の人々に知ってもらうためです。

 

生物の多様性とは、生物全体と、ひとつのシステムにおけるそれらの相互関係を指しており、非常に複雑な関係を持っています。その生物のシステムは、植物や動物で構成され、さまざまな人種、動物、植物、単細胞の生物も含みます。

 

生物の多様性は、遺伝子、種類、エコシステムの3つのレベルで提起されます。科学者たちによれば、生物の多様性は、さまざまな種類の機能や能力を高め、環境への対応力が増します。言い換えれば、それぞれのエコシステムにおける大小さまざまな生物のすべてが、それぞれに非常に重要な役割を担っており、それぞれの働きが組み合わさって、それぞれのエコシステムの能力や、あらゆる損害に対する抵抗力を拡大しているのです。そのため、生物の多様性は、特に人間にとって非常に重要です。

 

生物の多様性は、エコシステムが持つ役割を支えています。その役割には、大気の質、気候、水の浄化、土壌の侵食の防止などがあります。今日、生物の多様性の価値は、農業、人間の健康、貿易、産業、文化において知られるようになっています。

 

例えば、今日、学者たちは、生物の多様性が減少することにより、食品の安全が脅かされるという結論に達しています。なぜなら、生物の多様性の減少により、農業がダメージを蒙るからです。生物の多様性は農業において、安定した食品や医薬品などの生産を可能にしています。

専門家によれば、野生の植物の多様性は、より経済的で健全かつ耐久性の高い植物の生産を助けます。

 

人間の健康に生物の多様性が及ぼす役割について、多くの研究が行われてきました。それらは、食品の種類が多くなれば、人間の体がより多くのビタミンを吸収し、その結果、免疫力が高まります。生物の多様性はまた、多くの産業においても重要な役割を果たしています。なぜなら、産業の原料になるのは天然資源であるからです。石油・天然ガス産業は、海に存在する何千種類ものプランクトンの分解によって生まれたものです。

 

残念ながら、この数十年、人間の行動によって生物の多様性が圧迫されています。生息地の破壊、元々の住処の構造の変化、気候変動、汚染、闇雲な資源の利用が、生物の多様性の消滅や減少につながっています。動植物の多くの種の絶滅は、こうした人間の行動の結果です。

 

例えば、世界中の3000人の学者の協力によって行われた調査の結果、現在、鳥類の12%、哺乳類の4分の1、両生類の3分の1が、絶滅の危機に瀕していることが分かりました。また、同様の別の研究は、1時間に3種類の生物が消滅していることを示しています。

 

これらの調査の結果、生物の多様性の絶滅は、自然な流れの100倍から1000倍で進んでいることがわかっています。そして現在の状況が続けば、一部の学者の予想によれば、20年後までに、これらの絶滅の速度は、自然の速度の1万倍に達します。これをとめるために必要な対策が行われなければ、絶滅の速度はさらに増すでしょう。一部の学者は、1992年に存在していた種類の半分が、2050年までに永遠に滅びるだろうとしています。

 

研究者によれば、人間の経済、社会活動は、生物の多様性を脅かす要素のひとつです。現在、懸念を招いている分野のひとつは、観光産業です。観光産業は、世界の多くの国の全面的な発展において重要な要素になっています。特にこの産業は現在、開発途上国で成長しており、これらの国の経済活動において、大きな重要性を帯び、GDPにおいても大きなウェイトを占めています。

 

こうしたことから、観光産業は、ひとつの機会であると同時に、ひとつの脅威であると言えるでしょう。経済の繁栄をもたらす一方で、生物の多様性や環境を脅かします。そのため、現在、経済開発計画と環境保護を同時に実現するための努力が、最も重要な目標になっています。このことに注目し、2017年の国際生物多様性の日のスローガンには、「持続可能な観光と生物の多様性」が選ばれました。これにより、観光産業における生物の多様性の保護が、これまで以上に注目されようとしています。

 

あらゆる分野において持続可能な開発を実現するための努力の結果、持続可能な観光という概念が、1992年のリオデジャネイロの地球サミット後に提起されるようになりました。その後、1995年にマドリードで開催された持続可能な観光に関する国際会議で、そのことが強調されました。

 

持続可能な観光には、各国政府は開発へと向かう中で、環境への影響を最小限に抑えるべきだ、という意味が含まれています。持続可能な観光の真の目的は、人材や天然資源の合理的な利用方法を提示し、その非科学的な利用を防ぐことにあります。

 

持続可能な開発において、観光は、社会の文化遺産と、資源や環境の保護という2つの側面を持っています。そのため、観光産業においてこのようなアプローチを考慮すれば、地域の経済活動の多くを支援することができるとともに、環境の価値も重視されます。

 

持続可能な観光開発の原則では、観光は、沿岸の汚染や美しい自然の景観を破壊したりする原因になってはならず、貴重な天然資源や生物の多様性が、観光客によって損なわれてはなりません。各国の政府もまた、法や規定を定めることで、観光地の天然資源を保護する責務を負っています。このような枠組みにより、観光は、開発目標の手段を整えるものとなるのです。

 

これらのアプローチに注目すると、現在、国際社会は、神から与えられた恩恵を保護するために行動すべきだということが分かるでしょう。そうしなければ、人間をはじめとする地球上の全ての生物の生命は危険に晒されます。国際生物多様性の日は、再び、この問題の重要性を訴える機会となっているのです。