イラン外務省報道官、「ウィーン協議の妥結に向けたイラン側の見解をEU調整官に送付」
キャンアーニー・イラン外務省報道官が、オーストリア・ウィーンで進行中の制裁解除も目指す協議で提案された合意文書の草案本文に対するアメリカの返答に関して、イラン側の見解を送付したことを明らかにし、「わが国が送付した見解には、この協議の最終妥結を目指す建設的なアプローチが盛り込まれている」と語りました。
先月4日から8日にわたり開催された、アメリカによる圧政的・一方的な各種制裁の解除を主軸とするウィーン協議の新ラウンドでは、この協議の調整役であるエンリケ・モラ欧州対外行動庁事務次長が、一連の提案を提示していました。
イランは先月15日、核合意の完全実施再開への道筋を示したヨーロッパ側の提案文書に対する自らの返答を伝え、「アメリカが現実的かつ柔軟になれば、合意は成るだろう」と表明していました。
国際通信イランプレスによりますと、キャンアーニー報道官は2日金曜未明、「アメリカ側の回答を受け取った後、イランの専門家チームはそれを慎重に検討し、その回答を1日木曜夜にモラ調整官に渡した」と発表しています。
また、「我が国が提出した文書には、協議の最終妥結を目的とした建設的なアプローチが盛り込まれている」としました。
米国務省のパテル副報道官は、イランがモラ調整官に返答を送付した数時間後、イラン側のコートにボールを投げ返そうとして「イラン側の返答は建設的なものではなかった」と主張しました。
一方で、ウィーン協議でイラン代表団の顧問を務めるマランディー氏はツイッターで、「今こそ、バイデン米政権側のチームが重大な決定を下す時である。アメリカにとっての『建設的』とは、アメリカの出す条件を相手側が受け入れることを意味する。イランにとって(『建設的』の意味)は、バランスがとれた保証のある合意への到達である」と述べています。
そして、「米国が正しい決定を下せば、すぐに合意に到達できる」としています。
また、この協議でロシア代表を務める在ウィーン国際機関ロシア常駐代表のウリヤノフ氏もツイッターのメッセージで、「イランの提案は限度を過ぎた高望みではない。ウィーン協議の妥結に必要な政策の提示があれば、それは受け入れられる可能性がある」と語りました。
さらに、中国外務省報道官の1人も「イラン側の対応は、関連問題をめぐる恒久的な立場を超えたものではない」と述べています。
同報道官は3日土曜未明、「中国はアメリカに対するイランの核合意関連の返答を精査中だ」とし、「すべての関係当事者国が、イランの正当な懸念に積極的に解消し、合意の早期締結に向けて取り組むよう希望する」としました。
マクロン仏大統領は今月1日、世論からイランへの圧力を強め、関係国からの有効な保証がないままでのウィーン協議での合意受諾を迫ろうという西側諸国の工作を続けるながら、「制裁解除と核合意復活をめぐる対イラン合意が数日中に成立するよう希望する」としています。
アメリカは2018年5月、国連安保理決議 2231号に反して、一方的に対イラン核合意から離脱し、イラン国民に対する制裁を再開しました。