視点
英米での人権侵害に関するイラン外務省の年次報告書
-
イラン外務省
米国と英国における人権侵害に関するイラン外務省の年次報告書が,4日金曜に発表されました。
イラン外務省の声明では、「過去数十年間、米英の政府は、物議を醸している国内問題および国際紛争の多くに大きく関与したにもかかわらず、常に人権の基盤と原則の擁護を主張している。これに基づいて、これらの政府は常に、他国の人権状況に関して干渉的な立場や行動を起こしてきた」とされています。
アメリカだけでなく、イラン、イラク、シリア、イエメン、アフガニスタンを含む地域諸国の政治・社会的発展と出来事を見てみると、明白な人権侵害の代表的な事例が主にアメリカ自身によって引き起こされていることが分かります。
国内の人権侵害
人々に対する暴力行使におけるアメリカ警察のこれまでの経歴は国際機関や人権機関の深刻な懸念の1つであり、この暴力により多くの人々が生存権を奪われてきました。アメリカの警察と司法制度による黒人に的を絞った差別や、市民による抗議行動の抑圧は、同国での人権侵害、特に少数派や有色人種の権利の侵害を物語っています。
非政府組織「Monitoring Police Violence」の報告によりますと、米国の警察官は2022年初頭から現在までに722件以上の殺人事件を引き起こしており、今年末までにさらに442人が警察によって殺害されると推定されています。こうした中、警察による殺人事件の3件に1件が暴力犯罪として発生しており、残りの3分の2は非暴力犯罪によるものとなっています。
アメリカでは広範な抗議が起きているにもかかわらず、警察による、特に黒人をはじめとした市民の殺害が継続する傾向にあります。 黒人は、米国の総人口の約13%に過ぎませんが、同国で警察によって殺された人々の25-27%は黒人が占めています。このことから、アメリカでは黒人は警察により殺害される可能性が白人より9.2 倍高いということになります。
難民や移民の権利の侵害は、人権の分野における米国の最も重要な課題の1 つであり、これは人権団体や各国から毎年批判されています。難民認定希望者に対する暴力的な扱い、投獄、非人道的な扱いは、米国による難民や移民の権利侵害の氷山の一角にすぎません。
これまでに発表された複数の報告によれば、バイデン現大統領の就任以来、彼の移民政策はその主張に反して非常に弱く、米国の移民の状況を改善する見込みはない、とされています。人権団体「ヒューマン・ライツ・ファースト」は報告書において、「バイデン政権は、国際法および米国内法に違反して数千人の難民を投獄している。数万人もの人々も、家族や保護者と一緒に暮らすことを許されず、収容所に収監されている」と表明しました。
世界規模での人権侵害
各国に対する米の広範な一方的制裁の行使による影響は、生存、健康、教育に対する権利および開発の権利におよんでいます。この行動の明確な例は、イランに対する米国の最大規模の制裁です。1979年のイスラム革命の勝利後、米国はイランに経済制裁を課し、しかも近年その経済制裁は強化されており、医療や医薬品へのアクセス不能により多くの患者が命を落としています。また国連の報告者によって、アメリカのこの人権蹂躙行為を示す複数の報告も公開されています。
シリア、イエメン、イラク、アフガニスタンなど、そして地域の他の国への軍事駐留や介入は、アメリカが多くの場合、これらの国で人権侵害を犯したことも示しています。たとえば、シリア中央銀行に対する米国の制限措置は、食料、医薬品、医療機器などの必需品の供給網に混乱を引き起こし、またエネルギー供給の問題を引き起こしています。
また、アメリカはイエメンへの攻撃におけるサウジアラビア政権の主な支援国として知られており、数千人ものイエメン人の殺害と同国のインフラの破壊に責任があります。
2003 年のアメリカ軍のイラク攻撃も、同国に大きな損害を与え、大量のイラク人の犠牲者や難民を生み出しました。英国の研究所(オピニオン・リサーチ・ビジネス)によりますと、2007年まで、つまりアメリカの対イラク軍事攻撃が始まってからの4年間に120万人のイラク人が殺害され、これらの死亡者の約40%が女性や子どもだったということです。
また米国は20年間のアフガニスタン占領の後、戦争で荒廃したこの国から撤退しましたが、この占領の結果である政治・社会的危機によりアフガンの抱える問題が増加しました。国連の統計では、この20年間にアフガン紛争で 3万6,000人以上の民間人が殺害されています。
したがって、米国の国内外での実績からは同国が世界最大の人権侵害国の1つであることが分かります。にもかかわらず、アメリカは他の独立国や非同盟国に対し圧力をかけるために、自国の外交政策において人権をひとつの手段として利用しているのです。


