シーア派追悼行事アルバイン;団結と行動のメッセージを伝えるイスラム世界にとっての壮大な威信
イラン西部ロレスターン大学の学長が、「シーア派3代目イマーム・ホサインの殉教40日忌・アルバインで行われるこのイマームの追悼行事は、イスラム世界の団結が集約されたものである」と語りました。
ロレスターン大学のアリー・ナザリー学長は、アルバインについて「イスラム共同体における最大の精神的具現の一つである」との考えを示しています。パールストゥデイによりますと、ナザリー学長はイスナー通信とのインタビューで、神的・人間的なこの大規模な行事のいくつかの側面について説明しています。ここでは、その内容を抜粋してお伝えします。
このインタビューの中で、ナザリー学長はイマーム・ホサインを慕う人々によるイラク聖地カルバラーへの旅に言及し、次のように述べました;
アルバインは心の足により始まる旅であり、巡礼者はイマーム・ホサインへの深い情愛を持って一歩一歩を踏み出してゆく。
また、巡礼者らによるこの壮大な行列がイスラム世界の誇りの源であることを強調し、次のように述べました;
この精神性あふれる行事に諸国民が参加していることで、敵は恐怖感に陥っている。彼らはこの大群衆の存在を軽視しようとしているが、敵の目にはっきりと映っているのは、カルバラーへ向かう巡礼者の大群衆である。
そして、次のようにも語りました;
アルバインの巡礼者らの群集の前進では、これまでのどの時代にも増してパレスチナとガザの被抑圧民への支援が示されている。巡礼者たちは、抵抗戦線の殉教者の肖像画とパレスチナの国旗を掲げて、世界の抑圧された人々への支援のメッセージを伝えている。
続けて、次のように述べました;
アルバインでのイマーム・ホサインの意思を伝える行動は、イスラム世界の団結が集約したものと言える。世界中の諸国民がイマーム・ホサインの唱えた基軸の周りに集まり、団結の軸がこの偉大なる殉教者であることが示されている。
同学長はさらに、イスラム教の敵との闘争におけるこの精神性あふれる行事の役割に触れ、次のように語っています;
イマーム・ホサインの清らかな血は、外気の暑さというこの旅の困難に耐えることをも平易にするのに十分な熱分を有している。この旅は、イマーム・ホサイの足跡をたどる兵士たちの訓練であるだけでなく、敵に対する一種の共同戦争ともみなされる。
ナザリー学長はさらに、「この一大行事で形成される世界的な団結は、カルバラーの80kmもの遠路に団結という美しい光景を生み出すだろう」と述べました。
そして、次のように続けました;
この行事は、受け入れ側として巡礼者に自らの全財産を差し出すイラクのシーア派国民の自己献身・犠牲の表れでもある。
そして最後に、同学長は次のように結びました:「イマーム・ホサインを慕うアルバイン行進のあまりの偉大さに、敵は憤激した。神は、イスラム教徒は敵を怒らせる道を歩むべきだと仰ったが、アルバインはイスラム世界の敵対力を示す明確な事例である」
シーア派3代目イマーム殉教40日忌の追悼行事アルバイン
アルバイン(al-Arbaeen、アラビア語で数字の40の意)は文字通り40日目を意味し、イスラム用語では、イマーム・ホサインが殉教したイスラム暦モハッラム月10日のアーシュラー(アラビア語で数字の10の意)の日から40日後に当たる、イスラム暦サファル月の20日にカルバラーで行われるイスラムの宗教儀式です。この聖地で殉教したイマーム・ホサインはイスラム教預言者モハンマドの孫にあたり、シーア派初代イマームのアリーと預言者の娘ファーティマ・ザフラの間の息子として、この世に生を受けました。
この日、預言者一門を慕う人々はカルバラーにあるイマーム・ホサインの霊廟に詣でます。
イマーム・ホサインとその教友ら72人は、イスラム暦61年に当たる西暦680年にカルバラーの戦いにおいて、当時のウマイヤ朝の暴君ヤズィードの軍隊により殉教させられました。アルバインを間近に控えた現在、預言者一門を信じる多数の人々は世界最大規模の徒歩による一大儀式の一員として、徒歩でカルバラーに向かっています。その参加者の数は、年によっては 2,000 万人以上とされています。