韓国原子力専門家、「福島原発視察は説明聞きに行くのではない」
韓国の原子力安全規制を担う独立機関、原子力安全委員会の劉国熙(ユ・グクヒ)委員長が記者会見で、東京電力福島第1原発の処理済み汚染水に関する視察団派遣について「単に日本側の説明だけを聞きに行くのではない」と述べました。
韓国のヨンハプ通信によりますと、日韓両国は、東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出を巡る韓国視察団の現地派遣を4日間の日程で実施することで合意しました。
韓国政府は視察団の訪日について、海洋放出全般の安全性を検討するとし、政府内の原子力専門家20人前後で視察団を構成するとしていますが、韓国の専門家たちが望む視察施設計画にはなっていないと見られ、詳細の調整は依然として続いています。
日本側はこの視察について、あくまで韓国側の理解を深めてもらうためのものであり、IAEA国際原子力機関のように安全性を評価・確認するものではないという立場を取っています。
原子力安全委員会の劉委員長は、この派遣について「単に日本側の説明だけを聞きに行くのではない」と述べた上で、視察団にはKINS韓国原子力安全技術院の専門家も参加して日本側に直接、疑問点を確認すると説明し、さらに視察対象と範囲も重要だとしました。
日本の放出は20年以上かかる予定ですが、IAEAは放射線の側面で検証を行っているため、長期間利用される施設への検証は疎かになる可能性があるため、その安全性を維持できるかどうかが重要になるというのが、その理由に挙げられています。
原子力安全委員会傘下機関であるKINSは、日本政府が2021年4月に処理済み汚染水の海洋放出計画を発表した後の同年8月、専門家による作業部会を立ち上げ、関連情報を分析、検討してきました。