本日のトピック トルコでのクーデター未遂の新たな側面
(last modified Sun, 24 Jul 2016 09:36:22 GMT )
7月 24, 2016 18:36 Asia/Tokyo
  • 本日のトピック トルコでのクーデター未遂の新たな側面

トルコのユルドゥルム首相が、大統領府の警備隊の解散と治安部隊の構造改革に関する政府の決定を明らかにしました。

モンファレド解説員

23日土曜、トルコの大統領府の警備隊300人に逮捕令状が出されたと発表されました。トルコ政府に近い筋は、これらの人物がクーデター未遂に関与した可能性があるとしていますが、現在、この警備隊の解散の問題が浮上していると言われています。

クーデターの後、非常事態宣言が発令され、多数の逮捕者が出ており、トルコ社会では、いつ何が起きてもおかしくありません。トルコ軍の大規模な逮捕、司法機関の粛清、ヒズメット運動に属するトルコの法人・教育機関の活動禁止、その他、警官や兵士、司法機関、大学教授、民間人など、クーデターを首謀したとされるギュレン師に近い人々の逮捕が、これまでに行われた事柄です。

社会情勢をコントロールし、クーデターやギュレン師に関係する勢力を厳しく取り締まろうとするトルコ政府の努力と平行して、反体制派の宗教指導者、ギュレン師の身柄引き渡しに関するアメリカとの協議が開始されています。そのために、トルコのチャブシオール外務大臣がワシントンに向かい、ヒズメット運動の指導者であるギュレン師の関与の証拠をアメリカ側に提示し、その身柄の引渡しを呼びかけようとしている、ということです。

23日土曜、チャブシオール外相のアメリカ出発が伝えられる中、一部の情報筋は、イラク北部で、PKKクルド労働者党の拠点が爆撃を受けたことを明らかにしました。トルコ空軍の戦闘機によるPKKの拠点への攻撃は、クーデター未遂後初めてのトルコ軍によるPKKへの攻撃でした。この攻撃の目的は、PKK弾圧の継続はさておき、トルコ政府による力の誇示であり、政府が、クーデター未遂後、国内の状況をコントロールしていることを示していると言われています。

このような状況の中で、ロシアのラブロフ外務大臣は、トルコがテロリストによるこの国の領土の利用を停止させるよう望んでいるとしました。ラブロフ外相は、トルコとロシアの関係拡大は、シリア問題の解決方法に大きく関係していると述べ、トルコ政府が、テロリストによる領土の利用を阻止するよう期待しているとしています。ラブロフ外相は、テロリストは今も、戦闘員を勧誘するためにトルコ領土を利用していると語っています。

このようなラブロフ外相の発言は、国内の問題に巻き込まれている中で、シリアで活動するISISなどのテロ組織への軍備の移送やテロリストの往来を黙認しないようにとするトルコ政府への警告とも捉えられます。特に、トルコ政府が国内情勢やクーデター未遂の関係者への対応に追われる中で、シリアの反体制派テログループへの軍備の移送や戦闘員が、トルコ領土を経由する可能性が整ってしまっている、という見方が強まっています。

概して、トルコ政府は書類の上だけで、さまざまな対応を行っていますが、実際は、同国の社会の懸念が高まっています。それは、経済、社会、治安、教育、福祉といったさまざまな問題に対する懸念であり、一言で言えば、社会的な安定への懸念を増大させています。

 

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