アラブ諸国の対立の新たな波
中東情勢の新たな変化として、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、エジプト、リビア、モルディブが、カタールとの関係を断絶しました。これらの国によるこうした措置の理由は、カタールがテロを支援し、アラブ諸国の内政に干渉し、国家安全保障を脅かし、テロリストをかくまっていることだとされています。
アメリカのトランプ大統領がサウジアラビアを訪問し、両国が武器の売却で合意したこと、またリヤドの会議でトランプ大統領が対立を生み出すような利己的な発言を行ったことで、カタールとサウジアラビアや他のアラブ諸国の対立が表面化しました。
サウジアラビアとカタールの関係は、カタールのタミム首長が、サウジアラビアはイランとアラブ諸国の対立を煽っていると批判したために悪化しました。タミム首長はまた、サウジアラビアによる莫大な武器の購入を強く批判しました。この中で、アメリカのゴーサインによるカタールの権力移譲のシナリオも明らかにされました。このことは、カタール当局が、サウジアラビアの政策に不満を抱く原因となりました。それは、サウジアラビア政府とカタールの敵対の歴史により、カタール政府に強い懸念を抱かせています。このため、タミム首長は、リヤドの会議から戻った後、即座に軍の式典で、この会議の立場に対して不満を表明し、パレスチナ・イスラム抵抗運動のハマスとレバノンのシーア派組織ヒズボッラーは、敵と戦う抵抗勢力であり、イランは地域のイスラムの大国と見なされ、全ての地域諸国がその可能性を利用すべきだと語りました。これは、カタールの政治や外交面でのサウジアラビアへの対抗を物語っています。
カタールとサウジアラビアは、常に対立を抱えてきました。こうした対立の一部の根源は、部族的なものとなっています。この他、彼らがさまざまな思想を支持し、アラブ世界においてライバル関係にあることにも起因しています。サウジアラビアは、ワッハーブ派のイデオロギーを持ち、ワッハーブ派の拡大に資金を投じることで、イスラム世界で立場を確立しています。カタールもそれに対抗し、ムスリム同胞団に近づき、多くのイスラム諸国に影響力を持つこのグループの可能性を、自分たちの影響力として利用しようとしています。
現在、起こっている事柄は、新たな危機の兆しです。そしてその裏には、アメリカとサウジアラビアがいます。いずれにせよ、アラブ諸国のカタールとの断交はさておき、サウジアラビアが、アメリカ大統領の訪問と、イランがテロを支援し、中東の情勢不安の元凶になっているという非難に対して特別な期待を抱いていた、という事実を見逃すことはできません。こうした中、カタール政府高官によるイランとの緊密な関係に関する発言や、イラン恐怖症というサウジアラビアや一部のアラブ諸国の政策への批判は、サウジアラビアの主張が、アラブ・イスラム諸国のリヤドでの会議の影響を受けていることを物語っています。
また、ペルシャ湾岸のアラブ諸国の対立について熟考に値するもうひとつの点は、ペルシャ湾岸協力会議の各加盟国の政治体制が互いに似通っているにも拘わらず、これらの国の政治的な方針は異なっているということです。このような方向性の違いにより、ペルシャ湾岸協力会議の加盟国、さらに広く言えばアラブ連盟の加盟国は、地域情勢について、彼らの連帯を強化するような共通の政策を取ることができていません。このような流れは、サウジアラビアによる自分たちの浅はかな政策を押し付けるための利己的な行動と共に、アラブ諸国の間の同調を崩すことにつながっているのです。