視点
ウクライナ戦争から2年、米を戦争継続に掻き立てる要因
ウクライナ戦争が先月24日、開戦2年を迎えました。数日で終わるかと思われたこの戦争は、今では消耗戦と化しています。
多くの国際問題評論家は、ウクライナでの緊張激化を求める勢力の筆頭をアメリカと見なしています。実際、この一大勢力は戦場への武器投入により先の見通しの立たない将来まで緊張状態を持ちこたえさせようとしています。
2022年2月22日にウクライナ戦争が勃発して以来、米当局者らは停戦が議論されるたびに、「戦争が長引く可能性があり、世界は何年も続く可能性のある戦争に備える必要がある」と提起してきました。
第1の理由および、米政府がこの道において追求する利益は、ロシアの弱体化を狙った工作です。米ホワイトハウスは、「この戦争の継続は、ロシア政府がウクライナにおける軍事的脅威の排除、また戦後の欧州の安全保障構造における均衡確立という政治的目標のために多大な人的・物的資源を割り当てなければならないことを意味するだろう」と考えています。
第2の理由としては、米国がエネルギー分野におけるロシア・欧州間の協力遮断に関心があることが指摘できます。この政策は冷戦以来数十年にわたって進展しており、米ジャーナリストのシーモア・ハーシュ氏が暴露したところによれば、ロシアから欧州に天然ガスを移送するノルドストリーム・ガス・パイプラインの妨害行為はCIA・米中央情報局が計画し、米政府が実行したものであって、これに関してはロシア・ヨーロッパ主要経済国間の広範な関係の遮断、というアメリカの長期的戦略と見なすことができます。
実際、アメリカの最終目標は、ロシアに代わるヨーロッパ向けエネルギー供給、さらにはヨーロッパ産業を厳しい状況に追い込んで、米製品とヨーロッパ諸国との競争減少により米が自国内生産を強化できるようにすることにあります。
昨夏の初めに、米メディアは、欧州国民が過去数十年で最高水準のインフレに苦しむ一方で、米国の石油会社の一部が巨額の利益を上げていると報じました。
たとえば、エクソンモービルは、ウクライナ戦争勃発後の最初の数カ月である2022年第1四半期に55億ドルだった利益が、第2四半期には179億ドルにまで膨れ上がりました。
これをうけて、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、主にアメリカ企業に対し、「戦争を悪用し顧客への弊害となるようなやり方で利益を得ることは適切でない 」と述べました。
アメリカの第3の目的は、ヨーロッパの軍事産業の活性化と再軍事化を奨励することにあります。
米国は、長期的な軍事競争が米軍のみにより行われることは不可能だと認識している上、中国の脅威が増大していること、そして近い将来、その人的・物的資源が太平洋をまたいだ対立へと発展するであろうことを理解しています。
このことから、米政府はヨーロッパという舞台において、EUの軍産複合体を活動させる方法を模索しています。
そして、ウクライナ戦争を長期化させるアメリカ政府の第4の目的は、ロシア、中国、イランを含む反米国家との対峙を狙ったヨーロッパの同盟国の連携化です。
しかし、アメリカは自らが直面する課題により、自らが始めた戦争で最終的にロシアに敗北し、もはやアメリカの覇権に基づかない新たな国際体制に遭遇する可能性もあるのです。