米・イスラエルによる覇権を拒否する欧州の大学生
欧州各地の大学で起きている学生らによるパレスチナ支持運動とその弾圧は、欧州議会議員選挙が近づく中、前例のない地域情勢をもたらしています。それは将来の欧州の政治体制にも影響を及ぼし得るものです。
EU高官は、欧州議会選挙の投開票が迫る中、民主主義の象徴であるこの選挙に若者たちが参加するよう全力を傾けています。しかし、その一方でパレスチナ支持運動を行う若者たちを警察が弾圧し、EU各国政府が軒並みそれを容認していることは、各国の国民の間に大きな疑問をもたらしています。
シオニスト・ロビーは、欧州各国で保守・リベラル双方の勢力と結びつき、治安機関などに対して学生らを弾圧するよう指示を出し、その過程を観察しています。
欧州各国の当局が反シオニズムを反ユダヤ主義と同一視していることで、反シオニズムをタブーとすることは不文律となり、そのような主張を掲げる政治・社会活動や政党の存在は事実上不可能になっています。
西側諸国で極右ポピュリズムが台頭し出した頃、一部の人々は、こうした極右の指導者らがシオニズムとの対決姿勢を強めると想像しました。
しかし、ガザ戦争ではフランス国民連合のルペン氏やハンガリーのオルバン首相などの極右とされる指導者が、マクロン仏大統領やショルツ独首相のような主流派と同じようにイスラエルを支持したのです。
ハンガリーに至っては、パレスチナ国家の承認をめぐる国連総会決議の採決で、アメリカと並んで反対票を投じました。
欧州の大学生の間では、パレスチナ支持運動に直接参加していない学生ですら、シオニズムが聖域であるだけでなく、西側の政治体制において特別な地位を有するまでになっていると認めています。
欧州の指導者らは、イスラエルへの支持を自らの安全保障と同一視しています。それゆえ、ガザでの虐殺を非難する市民がいれば、それを弾圧するのです。
欧州の若者たちにとって重要なのは、統治機構のこうした変化です。若者たちによるパレスチナ支持運動は、アメリカだけでなく欧州にとっても、統治機構の構造そのものの変革を迫るものです。
このとどまるところを知らない学生運動こそが、欧州の伝統的統治体制の支持者らを混乱させているのです。
彼らがこの学生運動を単なる一時的な熱狂とみているのなら、少なくとも表面上は抑制的な対応に努めたでしょう。しかし、現実は圧倒的な弾圧であり、そのことが彼らがこの学生運動をこれまでのものとは違うものと認識していることを示しています。この認識が、現在の統治体制の崩壊への恐れを引き起こしているのです。そして、その崩壊までに残された時間は決して多くはありません。
出典:ナヴィード・モウメン「西側の統治機構に学生たちが与えた一撃」ヴァタネ・エムルーズ紙