米カリフォルニア州、山火事消火活動条件に囚人を釈放・刑期短縮へ
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米カリフォルニア州、山火事消火活動条件に囚人を釈放・刑期短縮へ
アメリカの複数メディアが、同国カリフォルニア州ロサンゼルスの大規模な山火事の制御のため、国内の囚人900人以上が釈放されたと報じました。しかし、消火活動はリスクの高いにもかかわらず低賃金であることから、非難の槍玉にあげられています。
【ParsToday国際】カリフォルニア州ロサンゼルスで7日に発生した大規模な山火事では、これまでに少なくとも24人が死亡したほか、数万人が自宅からの避難を余儀なくされました。火災はいまだに鎮火しておらず、民家はもとよりハリウッド俳優の豪邸や高級車の焼失、財産の略奪に至るまで、莫大な経済的損害を引き起こしました。
米紙ニューヨーク・タイムズはカリフォルニア州矯正更生局の話として「山火事が急速に拡大する中、州は鎮火のために刑務所に収監されている受刑者を投入せざるを得なくなった」と報じました。
ニューヨーク・タイムズは、消火活動に囚人を動員する計画について「囚人の処遇改善を訴える活動家の多くがこの計画に反対している。彼らは、囚人がカリフォルニア州で定められた1日当たりのフルタイムでの最低時給よりも低い賃金しか支払われないことが多く、しかも多くの受刑者は犯罪歴があるため釈放後に消防士の仕事を得られることはない」としました。
アメリカ自由人権協会および米シカゴ大学ロースクールが2022年に出した報告書によると、アメリカでは2017年からの5年間で囚人の消防作業員4人が職務中に死亡し、1000人以上が負傷したことが明らかになっています。
ロス山火事対処のために囚人に支払われる賃金
ニューヨーク・タイムズ紙は「釈放された囚人は、矯正局、カリフォルニア州森林火災保護局、ロサンゼルス消防局が運営するカリフォルニア保安キャンププログラムのメンバーである」と報じています。伝えられるところによると、彼らは1日あたり最大でも10.24ドルの賃金しか得られず、緊急時でも1時間あたり1ドルが追加されるのみだということです。
こうした劣悪な条件に、囚人を搾取しているという非難の声が上がっています。
ニューヨーク・タイムズはさらに、「囚人消防士の賃金はカリフォルニア州の最低賃金である時給16.5ドルを下回っており、月給4600ドル以上を稼ぐことができる同州の季節労働者の消防士よりもはるかに低い。ロサンゼルス市の消防士の給料は年間8万5000ドルから始まっている」と指摘しています。
今回の囚人動員計画では、消火活動に携わった日1日ごとに刑期が2日短縮されます。
ニューヨーク・タイムズは続けて、「囚人消防士は特徴的なオレンジ色の消防服を着用しているが、消火にホースや水は使用せず手工具を使って消火活動を行い、さらに他の緊急機関の作業員のサポート要員として勤務している」と伝えています。