THAADシステムはイランのミサイルに敗北、米国の兵器備蓄は30%削減
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アメリカ陸軍が開発したTHAAD(終末高高度防衛)ミサイル
イラン国営衛星放送プレスTVのウェブサイトが「イランとシオニスト政権イスラエルによる12日間の戦争中に、米国のTHAADミサイル防衛システムの備蓄が減少した」と報じました。
【ParsToday国際】プレスTVはアメリカのメディア、防衛関連出版物、独立系アナリストの報道として「2025年6月のイスラエルによる12日間の対イラン侵攻により、イスラエルへの後方支援向けに配備されていたアメリカのTHAADミサイル迎撃ミサイルの備蓄が大幅に減少した」と報じています。
米週刊誌ニューズウィークは数日前、「米国がイスラエルを支援するために高度なミサイル防衛能力の大部分を地域に移転したものの、この措置の結果があまりぱっとしなかった一方、米国の戦略備蓄に甚大な影響を及ぼした」と報じました。
ロッキード・マーティン社製のTHAADシステムは、イスラエルの多層防空システムの主要構成要素であり、イランやイエメンから発射されるものを含む中距離弾道ミサイルの迎撃を目的に設計されています。
このシステムは「ヒット・トゥ・キル(hit to kill)」と呼ばれる手法で脅威を破壊し、爆発性弾頭を使用せずにミサイルの運動エネルギー(直接衝突)を利用して破壊します。プレスTVはこのシステムの限界として、本物の弾頭とデコイの区別が困難であること、大規模攻撃に対し脆弱であること、そして新型極超音速ミサイルに対する相対的な効果の低さを挙げています。
プレスTVによれば、12日間にわたるイランとの紛争中、THAADの性能ははるかに低かったということです。イランは370発から500発の弾道ミサイルを発射しましたが、これはTHAADの迎撃能力を上回るものでした。イランは開戦当初、敵の防空網を疲弊させるべく、意図的に旧式の液体燃料弾道ミサイルを使用していました。
より高性能で機動性の高いミサイルが配備されたのは、イスラエルの迎撃ミサイル備蓄が大幅に枯渇した後のことでした。イスラエルの新聞ハアレツは、今回の紛争中にアメリカとイスラエルが発射した迎撃ミサイルは合計200発、総額約15億ドルに上ると推定しています。
一方でプレスTVは「全ての情報源は、THAAD迎撃ミサイルの備蓄が大幅に減少したという点で一致している」と報じています。この戦闘中には、少なくともTHAAD砲台1基の全搭載量に相当する48発の迎撃ミサイルが消費されたということです。イスラエル占領地域に2基のTHAAD砲台が配備されていること、そしてイエメンからの過去のミサイル攻撃を理由とした作戦の激化を考慮すると、使用されたミサイルの数は96発近くになる可能性が高いとされています。
この量は、米国のTHAAD総備蓄量の約30%減に相当します。アナリストらはまた、米国が過去3年間に発注したTHAAD迎撃ミサイルが、輸出顧客向けのミサイルを含めわずか41基に過ぎないことを指摘しています。この低い生産率は、高度なミサイル防衛システムが持続的かつ大量のミサイル攻撃に対して脆弱であることを物語っています。