なぜプーチン氏はトランプ大統領の最後通牒を意に介しないのか?
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ロシアのプーチン大統領は、8日に期限切れとなるトランプ米大統領からのウクライナ戦争停戦要求の最後通牒に対し、今なお応じる構えを見せていません。
(last modified 2025-08-06T12:12:53+00:00 )
8月 06, 2025 20:58 Asia/Tokyo
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    なぜプーチン氏はトランプ大統領の最後通牒を意に介しないのか?

ロシアのプーチン大統領は、8日に期限切れとなるトランプ米大統領からのウクライナ戦争停戦要求の最後通牒に対し、今なお応じる構えを見せていません。

【ParsToday国際】ロシア大統領府に近い筋は、プーチン大統領がウクライナ戦争停戦に関するトランプ米大統領の最後通牒を受け入れるつもりはないと述べています。トランプ氏は、合意に至らない場合はロシアに新たな制裁を課し、ロシア産原油を購入する国(中国とインドを含む)に100%の関税を課すと警告しています。

トランプ大統領は3週間前に「プーチン大統領は約束を守る人物だと思っていた」と述べてプーチン氏を批判するとともに、彼に失望していると強調しました。しかし、プーチン大統領はウクライナ戦争中、自身の条件を満たす合意のみを受け入れ、そうでなければ戦争を継続するというメッセージを繰り返してきています。トランプ米大統領がロシアに和平合意を迫るために提示した制裁や最後通牒といった脅迫的な口調は、ロシアの立場に変化をもたらす上で全く効力を発揮していないのです。

西側メディアは「プーチン大統領は依然としてドネツク、ルハンシク、ザポリージャ、ヘルソンのウクライナ東部4州を完全に掌握することを目指しており、それから和平交渉に応じるだろう」とみています。プーチン大統領は、ロシアがウクライナで進軍し、新たな制裁はほとんど効果がないと考えているため、トランプ大統領による対ロシア追加制裁をちらつかせた脅しなど全く気にしていません。プーチン大統領はトランプ大統領を怒らせたくないと考えており、米国との関係改善を望んではいるものの、自身の目的を達成するまでウクライナでの戦争を継続することを最優先事項としています。

このような主張が提起されたのは、トランプ政権が欧州諸国から資金を受け取り、ロシアと戦うためにウクライナに武器を提供する予定だという報道が最近相次ぎ、オランダが欧州諸国として初めてウクライナ向けに米国から武器の購入を正式に開始したという状況下でのことです。過去3ヶ月間で、ロシアは2025年中最大の領土拡大・進軍を記録しており、軍司令官らはプーチン大統領に対し、ウクライナ戦線は今後2~3ヶ月で崩壊すると告げています。

同時に、トランプ大統領はウクライナによるロシア拠点への激しい攻撃には言及せず、ロシアの爆撃を厳しい口調で批判するとともに、NATO北大西洋条約機構への武器売却や、ロシア産原油を購入する国への厳しい制裁行使の警告といった措置を議題に挙げています。この点に関して、トランプ大統領は5日火曜、インドに対しロシアからの原油購入に対する関税引き上げと制裁を改めて警告し、ウクライナ戦争については「エネルギー価格が下がればプーチン大統領は戦闘と人殺しをやめる」と主張しました。トランプ大統領はウクライナとロシアの戦争を即時終結させるという選挙公約をこれまで果たせず、ロシアへの圧力行使を目的に対インド制裁措置を模索する中、インドに対する非難を繰り返し、インドへの関税を大幅に引き上げると付け加えました。インドに対するトランプ大統領の脅迫は、ウクライナ停戦合意の失敗をめぐり対ロシア関係がますます緊迫化していることを受けてのものです。トランプ氏はさらに「進展が見られない場合、新たな経済制裁を課す」とまで警告しています。

トランプ大統領が「ウクライナ停戦が不成立の場合はロシアに新たな制裁を課す」と警告する中、スティーブン・ウィトコフ西アジア担当米大統領特使は6日水曜にロシア首都モスクワ入りし、ロシア当局者と会談しました。ウィトコフ特使にとって、ロシアへの訪問は今年に入ってこれで2回目となります。同特使は去る4月11日と25日の2回にわたりロシアを訪問してプーチン大統領と会談しています。今回の訪問は、ウクライナ紛争の重大な局面、つまりトランプ大統領が8日金曜に対ウクライナ和平合意を求める最後通牒をロシアに突きつける時期が迫っている中での訪問となりました。

今のところ、トランプ大統領は一連の約束と脅迫によってロシア大統領府の立場を変えさせることはできず、外交は膠着状態が続いています。同時に、ウクライナは戦争の最前線で領土をさらに失っています。トランプ大統領は今月8日を合意期限と定めていますが、この期限が事態の進展・打開につながるのか、それとも対立を深めるのかは未知数です。ウクライナ・ロシアの紛争の行方は、今後数日間で決まると見られています。

トランプ大統領は制裁は不可避だと述べているものの、今年1月以降プーチン大統領と複数回会談しているウィトコフ氏の派遣は、最後通牒発動を目前にロシア大統領府に圧力をかけるための工作の一環とみられます。しかし、マルコ・ルビオ米国務長官は、その可能性は極めて低いとの見方を示しています。

米国の圧力行使、特に対ロシア制裁の分野における圧力の強まりに注目しても、数々の証拠はロシアが米国の要求に屈する意図がないことを示唆しています。この点に関して、ロシアの情報筋は「たとえ経済圧力が強まったとしても、わが国の大統領府は制裁回避能力があると信じている」と強調しました。

ロシアにこうした自信を与えているのは、これまで3年半にわたる戦争の経験、そして北朝鮮と中国からの支援です。この情報筋によれば、トランプ大統領は以前「完全停戦が実現すれば制裁を解除し、クリミア半島およびロシア制圧下の地域に対するロシアの実効支配を認めるべきだ」と提案していたものの、プーチン大統領はこれを拒否しました。この情報筋はさらに「戦争を始めるのは簡単だが、終わらせるのは想像以上に難しい」と付け加えています。

 


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