西側諸国がジョージアに内政干渉する目的とは?
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ジョージア首都トビリシで西側寄りの市民らが抗議デモ
ジョージアのイラクリ・コバヒゼ首相(Irakli KOBAKHIDZE)首相が、同国とEU欧州連合間の緊張が高まったことを受けて、ジョージア駐在のEU大使が国内の抗議活動家を支援していると非難しました。しかし、欧州側はこれを否定しています。
コバヒゼ首相は、ジョージア首都トビリシ駐在のEU大使が同国内の抗議活動家を支持し、最近の国内騒乱の責任は同大使にあると非難しましたが、EUは声明でこの非難を断固として否定し、ジョージアの政治情勢について懸念を表明しました。
【ParsToday国際】カヤ・カラスEU外務・安全保障政策上級代表および、マルタ・コス(Marta Kos)欧州拡大担当委員がジョージア地方選挙に関して最近発表した声明により、同国とEU間の政治的緊張が再び注目の焦点となっています。声明の中でEUは、ジョージア地方選挙における政治情勢について懸念を表明し、野党への弾圧、市民社会機関への制約、そして物議を醸す選挙法改正を指摘し、これらの要因が自由で競争的な選挙の実施に対する深刻な脅威であるとの見解を示しています。
欧州当局者によれば、与党「ジョージアの夢」に対する一部の反対派のボイコットと低い投票率は、同国の民主的プロセスに対する国民の信頼が低下していることの兆候だということです。
EUはまた、ジョージアの騒乱にEUが関与しているとする非難を否定し、EU大使に対するジョージアの口頭での攻撃を非難しました。
EUの今回の姿勢は、イラクリ・コバヒゼ首相率いるジョージア政府がこれらの批判に対し強硬な姿勢を示し、「内政干渉」を理由にEU非難したことを受けてのものです。コバヒゼ氏は「抗議活動参加者は政府打倒を企てており、その行動は憲法への侵害に当たる。また、EU大使は集会を支持し、世論を煽動している」として非難しています。
この公然とした対立は、近年ジョージアとEUの間に生じた深い亀裂を反映しています。実際、街頭での抗議活動や政治的対立を伴うジョージアでの最近の騒乱は、同国がより深刻で複雑な危機に直面していることを物語っています。この騒乱の原因は、国内問題だけでなく、地政学的な対立やEUからの外的圧力など、様々なレベルで考察が可能です。
ジョージア国内における現在の混乱の主な原因の一つは、経済状況と汚職です。多くの抗議者、特に若者や市民社会活動家は、現政権の汚職と経済状況に大きな不満を抱いています。失業、汚職、そして経済公約の不履行への政府の対応不足から生じたジョージアの経済問題により、社会の緊張はさらに高まっています。ジョージアは現在、開発と雇用の分野で多くの課題に直面しており、インフラ問題と外国援助への依存により、国民の大部分は現在の政治経済体制では国民の状況を改善できないと感じています。
また経済問題に加え、「選挙工作」とされる行為により抗議行動が激化しています。野党や反対派は、特に最近の地方議会選挙において、不正や選挙結果への介入があったと訴えています。こうした抗議行動は、特に首都トビリシで広範囲にわたる反政府抗議活動に発展し、腐敗と不正行政に対する抗議運動として広く認識されています。
しかし、外的な側面から見ても、ジョージアの状況は外国からの介入および、西側諸国とロシアの対立により複雑化しており、ジョージアは両者の競争の舞台と化しています。ロシアと国境を接する南コーカサス地域という戦略的な位置にあることから、ジョージアはロシアと西側諸国の双方にとって極めて重要な国なのです。ロシアは、ジョージアをはじめとする旧ソビエト連邦諸国における西側諸国の影響力拡大を常に懸念し、自国の安全保障上の脅威とみなすとともに、ジョージアのEU加盟に反対しています。その一方で西側諸国は、ジョージアを南コーカサス地域に影響を与え、この地域におけるロシアの影響力拡大に対抗するための戦略拠点として利用しているのです。
この点に関して、EUは特に近年においてジョージアが国内政情不安にある時期に、現親ロシア政権への反対派を支援してきました。EUはジョージア政府が反対派を弾圧し、自らの目的に沿って選挙法を改正したと非難しています。コバヒゼ・ジョージア首相は「欧州が抗議活動者に肩入れしている」と公式に表明しました。同首相によれば、トビリシ駐在のEU大使は、今回の騒乱に対して「特別な責任」を負っているということです。
このような状況下で、現在経済・政治改革の圧力にさらされているジョージア政府は、いずれの大国にも支配されたくないと考えており、それを理由に西側諸国やロシアから絶えず批判されています。
こうした中で、ジョージアはロシアと西側諸国の競争の渦中にあるものの、移行期の国としてロシアと西側諸国の間のバランスをとることにより民主主義と改革を強化しようとしています。