米中首脳会談:貿易戦争は終わるのか?
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米中首脳会談:貿易戦争は終わるのか?
6年ぶりとなった米中首脳会談で両首脳はいくつかの合意に達しました。しかし、トランプ氏のカナダに対する流動的な対応を見れば、米中間の合意がどれだけ守られるのかは未知数です。
【ParsToday国際】米中両首脳は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれている韓国で会談しました。会談は30日、釜山にある韓国空軍の基地内でおよそ100分にわたって行われました。
各種報道によると、この会談でトランプ氏側は合成麻薬「フェンタニル」の流入を理由に中国に課している20%の追加関税を10%に引き下げることに合意しました。これに対し中国は、レアアース輸出規制を1年間見送るほか、米国産大豆の輸入拡大を受け入れました。
トランプ大統領の対中関税は世界的なサプライチェーンを混乱させました。これに対し中国は、報復として米国産大豆やレアアースに関税を課し、その結果、米国ではインフレが激化したほか、半導体産業や電気自動車に必要なレアアースの確保に懸念が生じました。また、中国側も輸出関連業で雇用喪失が発生しました。今回の会談は両者の思惑が一致して実現した形です。
貿易戦争の緩和に向かうかと見られる今回の合意ですが、トランプ大統領のカナダに対する流動的な貿易政策は、中国にとって警鐘を鳴らすものです。トランプ大統領は、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)について第1次政権時には「史上最高の協定」と呼んでいましたが、2期目の今年に入ってからカナダとメキシコに対して35%の関税を課しました。また、最近ではカナダ・オンタリオ州がレーガン大統領の演説を引用して関税に反対するテレビCMを放送したことに反発し、カナダへの関税を10%引き上げると表明しました。
このようにトランプ氏は、前言を躊躇なく覆し、SNSの投稿によって貿易政策を180度変更します。したがって、米中首脳の緊張緩和や合意が長期間続くとは限らず、両国の政治的・経済的意向によって影響を受ける可能性が高いとみられます。特に、トランプ大統領が「アメリカ第一」のスローガンを実現するためにしばしば他国の利益を無視して行動している点を考慮すると、今回の米中合意も安泰とは言えません。

