アメリカによる心理テロリズムとは?
https://parstoday.ir/ja/news/world-i131078-アメリカによる心理テロリズムとは
アメリカの心理テロリズムは近年、特に中南米諸国やアジアの一部の国に対して使用されている概念です。
(last modified 2025-12-23T04:22:54+00:00 )
12月 23, 2025 13:20 Asia/Tokyo
  • ベネズエラ国旗を振るニコラス・マドゥロ大統領
    ベネズエラ国旗を振るニコラス・マドゥロ大統領

アメリカの心理テロリズムは近年、特に中南米諸国やアジアの一部の国に対して使用されている概念です。

【ParsToday国際】心理テロとは、アメリカの政策に反対する国家や政府に対し、恐怖心や精神的不安定、そして心理的圧力を与えることを目的とした米国の一連の行動を指します。これらの行動は軍事力のみにとどまらず、メディア戦争、直接的な脅迫、経済制裁、そして心理作戦を組み合わせたもので、こうした要素が一緒になって国家とその指導者の意志を挫く手段として機能しています。近年、アメリカは自らの覇権に反対する国々に対して、数多くの心理テロを実行しています。

心理テロの代表例となるのが、南米ベネズエラです。ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は今月21日、同国が過去25週間にわたって心理テロと海賊行為に立ち向かい、それを打ち破ってきたと述べました。マドゥロ大統領はまた、ベネズエラが心理テロから石油タンカーに対する海賊行為に至るまで、米国による多次元的な侵略に直面していることを繰り返し強調しています。

マドゥロ大統領は「アメリカは軍事的脅迫と石油タンカーの拿捕によってベネズエラの国民を威嚇し、政府に屈服を迫っている」と述べています。こうした行動のうち、カリブ海と太平洋で「サザン・シールド作戦」として実行された作戦では、数十隻の船舶が標的となり、多数の石油タンカーが拿捕されました。経済的損害に加え、こうした行動には明確な心理的メッセージが含まれています。つまり、アメリカは自らがいつでも他国の重要な資源を没収し、その国の国家安全保障に挑戦する能力があることを示そうとしているのです。

しかも、米国の心理テロは軍事的脅迫のみに留まりません。この一連の行動には、西側諸国のメディアやSNSも加担しているのです。こうした心理戦の一例として、脅迫的なニュースの拡散、政府の崩壊が差し迫っているとの噂、さらにはAI人工知能で作成された動画といった新技術を用いて国家指導者の失態や弱体化をほのめかす行為も挙げられます。実際にベネズエラでは、米軍による船舶の破壊を示す画像や動画が公開されたものの、後になって偽物であるとの主張がなされました。こうした行為の目的は、標的とする国の国民と軍隊の間に疑念を扇動し、政府への信頼を低下させ、政変の下地を作ることにあります。

アメリカの心理テロには、3つの主軸が存在しています。

第1の軸は制裁と資産凍結による経済的圧力、第2軸は軍事的脅迫および、一触即発の地域への米軍駐留、そして第3の軸は国民の士気の弱体化を狙ったメディア・プロパガンダ戦争です。

ベネズエラでは、石油制裁とタンカー拿捕が、同国の経済を圧迫すると共に、国民に対し将来的に食糧不足と危機が待ち受けているというメッセージを送ることにも繋がっています。さらに、ベネズエラ沿岸に配備されている米軍の艦艇や潜水艦は、ベネズエラの国家安全保障に対する明白な脅威となっています。そして最後に、マドゥロ大統領を失敗した指導者として報じる西側メディアのプロパガンダ蔓延も、まさに心理テロの一環と言えるものです。

しかし、過去の経験は、これらの政策が必ずしも奏功しないことを物語っています。ベネズエラでは、数百万人の労働者と農業関係者が降伏ではなく、地元集会に参集して、武器を手にアメリカの脅威に立ち向かう用意を表明しました。この反応は、心理テロが逆効果となり、国民の結束を弱めるどころか強化する可能性があることを示しています。マドゥロ大統領はまた「アメリカ帝国主義の目的は中南米諸国の再植民地化であるが、自由を愛する国々が再び植民地化されることは決してない」と繰り返し強調しています。

米国の心理テロは、国際的覇権の維持を目的とした同国の基本戦略の枠組みで分析可能

アメリカは直接的な戦争のコストが極めて高くつくことを熟知しているため、心理的かつ間接的な手段を用いて敵対国を屈服させようと画策しています。この政策は、イラン、キューバ、北朝鮮に対しても適用されており、アメリカはこれらの事例において軍事的脅迫、経済制裁、そしてメディア攻勢の組み合わせにより、各国の意志を挫こうと試みてきました。しかし現実には、植民地主義と支配に抵抗してきた歴史的経験を持つ国々は、こうした作戦に影響されていません。

ベネズエラのディオスダド・カベジョ(Diosdado Cabello)内務大臣は、「我々は4ヶ月間にわたり、国民に対する激しい脅迫と心理的テロに耐えてきた。しかし我が国民は、いかなる状況やいかなる瞬間においても一切の恐れや悲観も抱くことなく、我々が正しい道を歩んでおり、これらすべての脅迫、封鎖、制裁の終わりには、ベネズエラのみならず全ての人々にとっての新たなる大勝利が待っている、という確信を持って立ち上がった」と語りました。

同時に、アメリカの心理テロリズムは、軍事占領なしでの政府の行動変更を狙った一種のソフト戦争と捉えるべきものです。この戦争は、経済、軍事、そしてメディアといった手段を用いて、標的とする社会に恐怖、不信感、そして心理的崩壊を引き起こします。しかし、ベネズエラの例が示すように、民衆の抵抗と政治意識は、これらの政策を無効化することが可能です。したがって、アメリカの心理テロリズムは、アメリカの絶対的な権力の反映というよりも、直接的支配ができないことを補うための国家的な試みということになります。この事実は、抵抗と国民の結束の重要性を倍増させ、諸国民は集団的意志と政治意識を拠り所とすれば、世界最強の軍事力にさえ抵抗できるということを物語っているのです。

 

 


ラジオ日本語のソーシャルメディアもご覧ください。

Instagram Twitter