西側の思想家が考える預言者ムハンマド(26)
昨日の番組で、フランスの哲学者、作家、詩人であった、ヴォルテールこと、フランソワ・マリー・アルエの見解をご紹介しました。
ヴォルテールは最初、イスラムの預言者に強い憎しみを抱き、イスラムとその預言者を批判する文章を記していました。しかし、研究者というものは、真理を探究しようとします。このフランスの作家も、深い研究を重ねた結果、イスラムの預言者に関して誤った見解を持っていたことに気づきました。
ヴォルテールによれば、ローマ帝国崩壊後の暗黒時代において、キリスト教徒は天文学、化学、医学、数学といった多くの事柄をイスラム教徒から学び、そのときから、それらの習得に勤しむようになりました。ヴォルテールは、“なぜイスラムの征服と彼らの精神的、科学的発展に沈黙するのか”と、キリスト教徒の歴史家を強く非難し、「歴史的な事実を逆に伝え、多くの誹謗中傷を預言者ムハンマドに浴びせてきた歴史家やキリスト教徒の愚かな狂信性に強い嫌悪を感じる」と述べていま す。
ヴォルテールは、長年、宗教の真理を見出すために努力し、書籍を読み、多くの研究を行いました。懸命に探究することで、預言者の真の人物像を 再認識しようとしました。彼は、この作業にあまりに熱中したため、社会的な義務の一部を怠るほどでした。ヴォルテールは自らに向けられた批判に対して、「私の親愛なるムハンマドは、書簡を書く機会すら持てないほど、私を夢中にさせてしまった」と皮肉を述べています。
1763年はヴォルテールの思想史における転換点と見なされています。その年、ついに預言者ムハンマドとその信者たちの新たな姿が彼の頭の中に描かれました。常に批判の対象となってきたイスラムの預言者の人格に対するヴォルテールの見方は変化しました。彼は50年の文学と歴史研究を経て、真理をつかん だそのとき、預言者ムハンマドに関して次のように述べています。「ムハンマドは間違いなく、非常に偉大な人物であり、また偉大な人々を育てた。彼は聡明な立法者、有能で公正な指導者、禁欲的な預言者であり、地球上で最大の革命を起こした」