アメリカの核ミサイル全廃条約破棄検討に反発するロシア
アメリカのトランプ大統領の最も顕著な政策の一つは、地域・国際条約や合意に対する否定的なアプローチです。
トランプ大統領はこれまで、パリ協定やイラン核合意など、多くの国際合意から離脱してきました。こうした中、このトランプ大統領のアプローチは現在、非常に危険な段階に入っています。
トランプ政権は現在、中距離核ミサイル全廃条約を標的にし、この条約を破棄しようとしています。トランプ大統領は20日土曜夜、「アメリカは、INF中距離核ミサイル全廃条約を破棄する」と表明しました。
ロシア外務省は、21日日曜、即座に声明を発表し、「アメリカはこの決定により、一極支配の夢を膨らませている」としました。その後、ロシアはさらに明白な反応を示しました。
ロシアのリャブコフ外務次官は、21日、アメリカの中距離核ミサイル全廃条約の破棄検討に対し、「このアメリカの行動は非常に危険な歩みだ」と述べました。リャブコフ次官は次のように語っています。
「アメリカがさまざまな合意からの一方的な離脱を続ければ、ロシアは報復措置を講じる。それには軍事的な措置も含まれる」
アメリカの一部の政府関係者も、中距離核ミサイル全廃条約の破棄というトランプ大統領の決定は非建設的であり、ヨーロッパの多くの同盟国が損害を蒙ることになると強調しました。
とはいえ、イギリスはこのトランプ大統領の決定を支持する意向を表明しています。イギリスのウィリアムソン国防大臣は、ロシアはこの条約に違反していると非難し、「イギリスは、今回のアメリカの決定を支持する」と語りました。
アメリカのボルトン国家安全保障担当大統領補佐官は、この問題に関して決定的な役割を担っていることから、多くの批判を浴びています。アメリカのランド・ポール上院議員は、「今回の行動は、ボルトン補佐官が、アメリカの外交政策に干渉すべきではないということを証明している」と語りました。
INF中距離核ミサイル全廃条約は、中距離地上発射型の弾道・巡航ミサイルを全廃するというアメリカとロシアの2国間条約で、1988年に発効しました。
アメリカによるこの条約の破棄は、アメリカとロシアや中国といった核のライバル国との競争に関する新たな時代の始まりを意味することになるでしょう。核科学者のリスベス・グロンランドは、このように語っています。
「トランプ大統領は、向こう見ずな道を進んでいる。この道は、アメリカの安全保障のレベルを、現在も、そして長期的にも危険に晒すだろう」
このように、アメリカとロシアの短距離・中距離核兵器には今後、制限がなくなり、特にアメリカは、新たな核戦略により、東ヨーロッパとアジアという2つの戦略的な地域に新たに大量の核兵器やミサイルを配備する可能性があります。
このような行動は、ロシアと中国の反応を招き、核大国が新たな核兵器競争へと突入することにつながるのです。
ラジオ日本語のフェイスブックやユーチューブなどのソーシャルメディアもご覧ください。
https://www.facebook.com/ParsTodayJapanese