視点
危機の中のエネルギー市場;国際原油価格の上昇
ロシア・ウクライナ間紛争の勃発により、国際エネルギー市場は値上げの危機に瀕しています。原油価格は2日水曜、取引開始とともに再び記録を更新し、1バレル110ドルを超えました。
この値上がりは、一方ではウクライナでのロシア軍の進軍および、一部の西側諸国による対ロシア制裁の行使によるものです。同時に他方では、制裁解除やイランの国際石油市場復帰を目指すオーストリア・ウィーン協議の長期化も、原油の値上がりに大きく影響しています。
このような記録的価格がつけられる中、OPECプラスのメンバー国は2日、減産合意をどのように続けていくかを議論する会合を開催します。
OPECプラス諸国の石油相やエネルギー相は、8月から1ヶ月ごとに原油生産を日量40万バレル増加させていくことで合意していましたが、オンライン形式で開催される今回の第26回閣僚級会合では、4月の増産量について決定が下されることになります。
こうした中、この会合では石油の減産方針に変化が生じることはないと見られ、このことが原油の値上がりを引き起こすだろうとされています。
石油市場は一般的に、様々な要因の影響を受けます。こうした要因のうちで最も重要なものは、需要と供給のレベルであり、ロシア・ウクライナ紛争前にも、原油輸出と制裁をめぐる緊張が供給の減少を引き起こしていました。しかし、ウクライナ紛争の勃発により、この事態にさらに拍車がかかり、現在では原油価格は1バレル110ドルを突破しています。この値上がりに世界では懸念が高まり、IEA国際エネルギー機関の加盟国は、自らの石油備蓄のうち6000万バレルを緊急に放出することを決断しました。さらに、バイデン米大統領は同国南部テキサス州およびルイジアナ州沿岸の地下塩洞窟に保管されている政府の備蓄のうち、3000万バレル分を供給・放出するよう命じています。
しかし、こうした努力にもかかわらず、戦争による情勢不安やエネルギー市場の先行き不透明により、これまで以上に懸念が高まっています。世界第2位の原油輸出国であるロシアは、世界の原油全体の10%、さらにはEUの原油の4分の1をまかなっています。このことから、ウクライナ紛争への対抗措置としての西側諸国の経済制裁は多くの人々の間で、ロシアが自らのエネルギー源を制限または遮断することで同様の報復措置に出る、あるいは制裁が輸入国を震え上がらせるのでは、という懸念を巻き起こしています。もっとも、西側の制裁は、ヨーロッパ企業にはロシアからのエネルギー輸入継続が許されるように仕組まれています。
アメリカと西側諸国は、政治の舞台におけるメディアのあらゆるプロパガンダにもかかわらず、特にエネルギーをはじめとする経済問題においては別途の政策を踏襲しています。それは、ロシアの石油に対抗する措置はすべて、事実上欧米諸国にとって自縄自縛となるからです。エネルギー市場を分析すると、ロシアの石油輸出に対抗する措置のすべて、さらには世界市場に対するロシア石油供給のかく乱は、世界市場での原油のさらなる値上がりにつながることが分かります。現在すでに、アメリカで原油やガソリンが値上がりしているように、この問題はバイデン現政権や米与党・民主党にとって、今後に控えている議会選挙での大きな悲劇となる可能性があります。
IEAチーフエコノミストのファーテフ・ビロル氏は、「エネルギー市場における現状はきわめて深刻であり、世界のエネルギーの安全保障が脅威に瀕している。またそれは、もろく崩れやすい回復途上にある世界経済を危機に陥れるものだ」と語りました。
どうやら、ロシアに対抗するウクライナへの西側の支援の度合いは、彼らの利益が特に経済面において維持される程度においてのようです。このため、エネルギー市場での値上がりにもかかわらず、西側とロシアは石油と天然ガスの交換や売却をめぐる賭けに出る気はなく、このことは世界経済にとって深刻な脅威をもたらしています。

