May 10, 2017 15:38 Asia/Tokyo
  • イランと西側の国民の参政に関する比較

1979年のイスラム革命勝利後、イランにおける政治への参加は、真の意味を見出すようになり、国民はさまざまな選挙に参加することで、しかるべき役割を果たし、地位を得るようになりました。

選挙は、民主主義の根本として、政治への参加を象徴するものですが、この参加は、イランの宗教に基づく民主主義体制と西側の自由民主主義において異なるものとなっています。

 

イランにおける参政のレベル

1979年のイスラム革命の勝利とイスラム共和制の誕生は、宗教に基づく民主主義の新たな経験における転換点となっています。体制の構造が共和制であること、さまざまなポストが選挙によって選ばれることが、イランの宗教民主主義の特徴となっています。

 

憲法により、イランのイスラム体制では、国家は国民の票をもとに運営されることとされています。憲法では、大統領、国会議員、専門家会議の議員、市町村議会の議員が選挙や国民投票によって選出されることが定められています。

 

イランのイスラム体制では、王制の独裁政権とは異なり、選挙によって政治の将来を決定するために各政党やグループ、市民が大規模な政治参加を行う自由の土台が整えられました。イスラムに基づくイランの民主主義のモデルは、国民を手段として見るのではなく、政治や社会生活のあらゆる段階において、国民に宗教的、人間的な価値を置いています。これに基づき、イランにおける宗教的な民主主義のモデルでは、国民は政治やイスラム体制への支持において、選挙への参加により、完全に自由であり、決定権を有しています。

 

イランにおける宗教民主主義に基づく体制が、国民や各政党に置いている価値や敬意により、イスラム体制と国民の間には常に結びつきが存在しています。この重要な事柄は、過去34回の選挙の際に、平均65%という投票率により、常に実現されてきました。この間に何より重要だったのは、国民が常に、イスラム体制の関係者とさまざまな形でつながりを持ってきたことです。

 

言い換えれば、イランの宗教民主主義のモデルは、ヒューマニズムに基づき、個人の物質主義のみに注目する西側の自由民主主義の対極にあります。この西側のモデルでは、国民は国内外の政治において何の役割も果たしておらず、西側の政治家は、国民の見解を重視していません。なぜなら、彼らにとって重要なのは、富と権力のみだからです。

政治問題の専門家であるダーヴ―ディ氏のお話しです。

「西側にはアメリカとヨーロッパがある。彼らがメディアや宣伝を排除すれば、国民の政治参加は減少する。それはなぜだろうか?それは基本的に、西側の政治体制が、政党に基づいたものであるためであり、政党は社会の全ての階層を代表するものではないためである。例えば、アメリカ、イギリス、あるいは最近のフランスを見れば分かる。西側の政治体制に存在する見方には、選挙へのすべての国民の参加に対して、自分たちの政治体制への支持を作り出すための努力が見られない。これは欧米の最大の弱点である。一方でイランを見てみると、そのような形ではない。ヨーロッパでは主に、すべての国民が、政治体制が自分たちに属するものだとは考えていない。実際、西側から富とメディアを奪えば、現在の政治への参加は大幅に減少するだろう。一方、イランの状況はそれとは大きく異なっている」

 

アメリカにおける政治参加のレベル

自由民主主義、資本主義体制は、最も進んだ文明であり、政治、社会体制であると定義されています。この民主主義のモデルは、発展を、ヒューマニズムや資本主義、官僚主義による支配、環境に対する人類の技術の支配、覇権の拡大と物質的な豊かさに基づいたものと見なしています。

 

アメリカ、フランス、イギリスをはじめとする西側諸国は、自分たちこそ民主主義の提唱者であると考えていますが、自由民主主義における物質主義や経済的な指標の重視が国民に不満を抱かせ、この統治体制に対する大きな批判を生んでいます。例えば、アメリカの選挙では、富とロビーが重要な役割を果たしています。アメリカの国民の政治参加は、この2つの要素に関係しており、政治体制において責任のある存在として個人が役割を果たすことはありません。

 

現在のさまざまな報告から、自由民主主義体制における国民の不満は明らかです。西側社会では国民と政治体制の間に距離が生じ、階層格差が広がっています。アメリカの2大政党や候補者の企業とのつながりが彼らを選挙での勝利へと導き、国民は実際、何の役割も果たすことはありません。

 

アメリカの過去の何回かの選挙を見れば、国民が政治体制において好ましい地位になく、富とロビーが決定的な役割を果たしていることが明らかです。2016年の大統領選挙の参加率は、過去20年で最低のレベルでした。この選挙では、多くの有権者が投票に参加せず、トランプ大統領は、有権者の4分の1ほどの得票率によって選出されました。その年の選挙の投票率はおよそ55%でした。

 

選挙への国民の参加は、アメリカをはじめとする西側の民主主義の問題のひとつとなっています。その理由にはいくつかありますが、西側諸国における国民の政治への失望、現状への不満による政治問題への無関心、政治家や政党のパフォーマンスに対する嫌悪などが挙げられます。これらの問題は皆、西側の自由民主主義における個人の物質主義に根差しています。政治問題の専門家であるマランディ博士は次のように語っています。

 

「1971年から、スイスでは女性の参政権が認められた。つまり、イランのイスラム革命勝利の7年前である。スイスでは、それまで女性の参政権は認められていなかった。イランでは、37年から38年の間、国会の選挙が行われてきた。つまり、この選挙によって、体制を強く批判する人物も国会の議員になることができたが、なぜヨーロッパではそのようなことが起こらないのか?彼らの体制は民主主義だと言われているが、イランの大統領選挙と同じような選挙によって、新たなプロセスを提起し、それまでのプロセスを脇に追いやり、野党のような立場をとる人間は現れない。なぜそれがフランスやアメリカで起こらないのか。実際、もしアメリカのトランプ大統領のような人物が現れたとしても、イスラエルとの同盟やイランへの反対といったアメリカの政策の根本的な枠組みは変わらない。それまでの大統領と何の違いもなく、異なるのは経済政策だけである」

 

イギリスやフランスでも、国民はそれほど大きな役割を果たしていません。基本的に、西側社会において、国民は政治に積極的に参加しようとしていません。このことは、自由民主主義の理論が完全ではないことに起因しています。ヨーロッパの政治家は、政治的な戦略を作り出す上で、国民の見解に注目することがありません。

 

イギリスの研究所が2016年に行った世論調査によれば、フランス人の51%、アメリカ人の41%、西ヨーロッパの人々の57%、東ヨーロッパの人々の60%が、一般の人々は外交政策の決定において何の役割も果たすことができないと考えています。この調査は、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、ブルガリア、ハンガリー、チェコ、オランダで実施されました。

 

ヒューマニズムに基づいた自由民主主義のモデルでは、国民と政治体制の間に同調が存在せず、それにより西側社会の多くの人々が、自国の外交政策に同調しておらず、戦争に反対しています。例えば、西側のテロに関する政策はダブルスタンダードに基づいており、それが西側の社会に情勢不安をもたらし、国民の政治家に対する不信につながっているのです。

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