イマーム・マハディの生誕日に寄せて
何世紀もの間、人類は救世主が現れ、世界に公正な統治体制が打ち立てられることを待ち望んできました。 この中で、シーア派イスラム教徒は、救世主である12代目イマーム、マハディの出現を待っています。
イスラム暦255年のシャアバーン月15日、アッバース朝の統治時代に、人類世界の救世主で、イスラムの預言者の子孫であるマハディが、現在のイラクの首都バグダッドの北にあるサマラに生まれました。
マハディは、5歳の時まで、父親であるイマームハサン・アスギャリーのもとで育てられました。父親が殉教した後、マハディはイマームの地位に就き、神の命によって人々の前から隠れることになりました。イマームマハディは、およそ69年間、代表者を通じて人々と関係を持ち、彼らを導いていました。
一定の期間が過ぎた後、イスラム暦329年に、イマームマハディは、神の命によって、長期間身を隠すことになりました。神が正しいと考えた時に現れ、神の公正が広がる統治を実現するためです。シーア派イスラム教徒は、毎週金曜とシャアバーン月の15日に、マハディの出現への希望を胸に、再び彼への忠誠を誓い、その出現を待つのです。
イマームマハディは、預言者アーダムのような神の統治者であり、預言者ヌーフのように、人々を救済の船に乗せます。また、預言者ムーサ―と同じように、その誕生は隠され、預言者イブラヒームと同じように、出現することが前から伝えられています。預言者イスマイールのように天使たちに助けられ、預言者ヤアグーブのように待ち望み、ユーソフのように最も美しい創造物です。スライマーンのように、その統治は世界的なものであり、アイユーブのように忍耐強く、イーサーのようにゆりかごの中で言葉を話しました。彼は救世主です。
イマームマハディの統治の優れた特徴のひとつは、公正と正義の実現です。彼の公正の範囲は非常に広く、人々の奪われた権利を回復し、圧制や差別、不公正を地上から排除します。そのため、イマームマハディの存在と蜂起は、圧制と戦い、イマームマハディの出現の土台を整える人々にとって大きな希望、支えになっています。神は、コーラン第28章アル・ゲサス章物語の第5節で、このような僕たちに吉報を伝えています。
「我々は、地上の弱者や被抑圧者を大地の後継者、支援者となるようにした」
世界における公正の確立と差別や不公正の撤廃は、イマームマハディの統治の主な目的のひとつです。この重要な成果は、預言者一門の多くの伝承の中でも伝えられており、その中では、公正の実現と同じように、多神教や不信心との戦いと唯一神信仰への導きが強調されています。シーア派8代目イマーム、レザーは次のように語っています。
「至高なる神は、イマームマハディを通じて、地上からあらゆる圧制を排除し、人々が他人に圧制を行う勇気がもてないようにする」
フランスの歴史家、ギュスターヴ・ル・ボンは、「人類世界の最大の奉仕者とは、人類に希望を与えることのできた人々だ」と語っています。
イマームマハディの出現に対する希望と期待は、未来への道を切り開くと同時に、原動力にもなります。人々に忍耐力を与え、その力を蓄積させ、次の世代へと伝えることで、圧制や堕落を防ぐことができるのです。
イマームマハディは、神の公正、力、慈悲を具現化した存在です。イマームマハディを信じることは、屈服することを防ぎ、信仰を持つ人々は、その存在に希望を抱き、イスラムの偉大さと栄光のために戦います。
人々の平穏と福祉も、イマームマハディの統治によってもたらされるものです。人類の歴史の中で、それを実現するために多大な努力が行われ、時には多くの権利が踏みにじられてきました。しかし、真の平穏を手にすることはできていません。福祉は、人々の思想的、精神的な成長の土台となります。イスラムの預言者ムハンマドは、このことに触れ、次のように語っています。
「私の共同体の中でマハディが立ち上がるとき、彼の時代に、人々はそれまで手にしたことのなかった恩恵を手にする。天からは雨が降り、大地はその恵みをあらわす」
今日、技術や知識は、驚くべき速さで進んでいます。イマームマハディの出現によって実現するもうひとつの事柄は、知識の拡大です。現在の知識をはじめとするさまざまな分野の発展は、彼の統治時代に実現する学問の発展に比べれば、取るに足らないものです。
イマームマハディの世界統治が確立されたとき、イマームの指導により、美徳が開花し、道徳的な卑しさが社会から取り除かれます。シーア派初代イマーム、アリーは、イマームマハディが立ち上がるとき、人々の心からは憎しみや敵意が取り除かれ、彼らは仲のよい兄弟のように、完全な平穏と安全の中で共に生活するようになると語っています。
概して、イマームの出現により、幾つかの基盤に上に理想的な社会が確立されます。まず、政治、経済、文化的な圧制が全く存在しない、友好と平和に溢れた安全な世界が実現されます。第二に、人間の学術的思想やイスラム的な思想のレベルが最高潮に達します。
コーラン第24章アン・ヌール章み光り、第55節で、神ははっきりと、信仰を寄せ、よい行いをした人々は、間違いなく、地上の統治者になり、彼らの宗教は地上にしっかりと確立されると述べています。コーラン解釈者は、この節を、イマームマハディの統治を指したものだとしており、その統治は世界の東西に広がり、全ての場所に神の宗教が築かれ、戦争や恐怖、情勢不安が地上からなくなるとしています。また、イスラムの預言者ムハンマドは次のように語っています。
「世界があと一日になったとき、神はその日を非常に長いものとし、私の共同体の中から一人の人物が現れ、地上に公正と正義を溢れさせる」
こうしたことから、イマームマハディの生誕日は、世界の弱者の日 とされています。
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