イランの芸術
北部ギーラーン州の街頭劇
本日は、イラン北部ギーラーン州のある小さな集落に来ていまして、これからこの村での伝統的な観光儀礼としての街頭劇を、皆様にも間近にご覧いただきたいと思います。
今回は、この街頭演劇をアースターニーさんが上演し、皆様にその一部をご覧いただきます。それではどうぞ、最後までご一緒ください。
ギーラーン州は、非常に古い歴史を持つ地域で、この街頭演劇もギーラーン州の古い文化を由来としています。
ギーラーンの人々は常に、その古代文化と現代文化の両方において、イランの文化と文明の保存と実践の先駆者であり続けてきました。
実際には演劇芸術の一部である街頭劇は、これらの文化的な起源に遡ります。
このような見世物劇を行う理由は、ギーラーンの人々が文化を愛好することにあると思います。
この地域の人々は国際レベルでも街頭劇を披露し、実際にその文化の保存に努めており、ギーラーンの文化を生かし、イランや世界の他の国々の人々に自分たちの地域の文化を紹介しようとしています。
私たちが演じているこうした慣習的な街頭劇の一つは、「収穫祭」です。
この祝祭劇は昔、水田のそばで行われていました。
季節としてはいつ頃行われていましたか?
米を収穫する夏の終り頃ですね。
稲穂が広がるギーラーンの平原では昔、人々がこの州の主要産品である米の収穫を祝っていました。
私たちはこの収穫祭を象徴的な方法で開催することを試みました。
この祭事では、田植えから稲刈りまでを演じます。
実際、私たちは稲刈り祭を現代的な視点、つまり現代の人々の文化や生活に合わせて行っています。
雨ごいの儀式も街頭劇の一種です。
雨乞いの儀式は、農地に恵みが与えられ、雨降りを願うために行われる宗教的な慣行儀礼の一つです。
地元民がこれらの慣行儀礼や祝祭を今でも忘れないようにするために、どのような措置が行われてきたのでしょうか?
「忘れる」という表現に代わって、別の言葉を使いましょう。
事実上、これは忘れられておらず、断片的な折のみに実施されています。
たとえば、過去の多くの儀式は、今日の結婚式では行われていません。
街頭劇団が古代の儀式を現代の世代向けに再構築しています。
たとえば、古い時代の婚礼の儀式を現代的な方法で実行し、現在の21世紀の観客にとって理解しやすく、今日の美学の理解の範囲にマッチしたものにします。
実際、私たちは過去の文化の再構築に努めました。
伝統的な結婚式では、実際には昔のギーラーンの州の婚礼方式を再現してみました。
昔の婚礼のしきたりでは、花嫁の父が赤いショールを新郎の腰に巻くことになっていました。
あるいは、例えば、新郎新婦が井戸や水辺に行き、これからの生活に幸あれと願い、井戸にコインを投げます。
もっとも、慣行儀礼は非常に多岐にわたり、私達が演じるのはそのごく一部に過ぎません。
イランの春の新年・ノウルーズの期間中に行われる最も有名な街頭劇の1つに、グーレ(悪魔、巨人)婚礼と呼ばれる儀式があります。
この儀礼は、春を迎えるために家々を訪ね回るというもので、イランの年末に当たる3月中旬に行われていました。
この儀礼では、花嫁約は実は春の象徴であり、巨人は冬を象徴しています。
この儀礼に登場する、ピールバーバーと呼ばれる老翁は、花嫁の守護者でもあります。
花嫁劇・グーレは、事実上古代のギーラーンの人々による農業儀式の名残といえるでしょう。