12月 03, 2016 20:47 Asia/Tokyo
  • ろくろ細工
    ろくろ細工

今回は、ろくろ細工という木工工芸をご紹介することにいたしましょう。

 

ろくろ細工

 

ろくろ細工はイランの伝統工芸の一つで、通常、木材が多く手に入る地域で広まっています。ろくろ細工はろくろを回すことで、木材を削り、形を与えていく工芸です。かつてろくろ細工の道具は、木材から作られた手製の道具でしたが、現在は特別な金属製の機械の中に木材を入れて、木の旋盤と金属の棒を使用することで、削ったり凹面を作ったりします。

 

少量の湿気のある柔らかな木は、ろくろ細工に最適の木材であり、多くがクルミ、楡、柳、スズカケ、ナシの木などが使用されています。ろくろ細工の工房にとって木材の供給源は町の周辺の庭や地域の森林です。

ろくろ細工

 

シーラーズの南部にあるペルセポリスのダーリーユーシュ宮殿のレリーフの遺物は、王座や四足動物、お香をたく様子がろくろによって再現されていたことを示しています。フランスの旅行家シャルダンも、イランのろくろ職人の手腕に感激し、その旅行記で、イランのろくろ細工に美しさについて記しています。

ろくろ細工

 

ろくろ細工は装飾と応用の二つの形で作られています。装飾面では、彫像、写真や鏡の額縁、ベッドの足、揺りかご、コーランの書架、大き目の数珠だま、茶碗などに使用されています。応用面では、マッチ箱、ティッシュボックス、家具、杖、チェス版、小さな箱、花瓶、果物の器、お菓子入れ、木製スプーンなどにろくろ細工が施されています。

ろくろ細工

 

イラン北部のギーラーン州やマーザンダラーン州の町は、様々な種類の木が存在するという点で、ろくろ細工などの木工工芸の重要な中心地となっています。一方で、ろくろ細工は多くの都市で広まっている職業の一つといえるでしょう。これらの都市の一部には、イーランシャフル、ウルミエ、ブーカーン、サナンダジ、バーネ、ケルマーン、デズフール、ナタンズなどがあります。一部ではコウリーと呼ばれるイランのジプシーもろくろ細工を作り、自らの生産品を人々に提供しています。

ろくろ細工

 

ろくろ細工の道具には、やすり、カンナ、きり、なた、かなづちなどがあります。ろくろ細工はまず、木の種類を選び、それを切るところから始まります。その後職人たちによって制作の工程が進められます。ろくろ細工の生産工程は、たいてい3段階になっています。

ろくろ細工

 

まず初めに木を切って材木の形にする段階です、次にその円筒状の木材をろくろと職人の手で削り、全体的な形を作っていきます。そのあと数日間、外において日光に当てさせ、それから外形を整えます。もし穴を開ける必要があれば開け、その後最終的なデザインにしていきます。最終段階で、製品に色、模様をつけ、ニスを塗れば、完成です。