3月 13, 2017 20:38 Asia/Tokyo
  • 地域情勢におけるイランの役割

昨年3月20日から始まった、イラン暦1395年が終わりを迎えようとしています。

イランの政府関係者と国民の見地からは、パレスチナ問題はイスラム世界の最も重要な問題です。イランは昨年から今年にかけても、パレスチナの国民の権利を擁護し、パレスチナ・インティファーダ支援国際会議を開催しました。この国際会合には、80以上の代表団や700人の外国人ゲストが参加しました。

イランは中東の公正、かつ包括的な平和の確立のために、様々な方向から実質的な解決法を提示してきました。つまり、パレスチナに対する占領の停止、自分たちの今後を決める権利など、パレスチナ国民の権利の完全な実現、すべての難民の祖国への帰還、ベイトルモガッダス・エルサレムを首都とし、イスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒全員参加の国民投票によるパレスチナ挙国一致政府の樹立などがそれにあたります。

パレスチナの国民は長年、自分たちの権利を守るため多くの困難や障害に抵抗してきましたが、インティファーダ、つまり抵抗運動が彼らに残された唯一の道です。現在のパレスチナの将来は実際、圧制や抑圧、国際法の無視、抑圧を受けている国民の将来に関する、国際機関の無力さに影響を受けています。

パレスチナ人は抵抗と固い意志により、パレスチナを併呑しようとするシオニスト政権イスラエルの思惑を混乱させています。パレスチナの人々は、決して自分たちの国や神聖に関する権利を忘れることはありません。なぜなら、この権利は、取引したり、無視したりすることはできないからです。

イラン・イスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、パレスチナ・インティファーダ支援国際会議の開幕式で、このように語りました。

「地域のイスラムの危機により、パレスチナ問題への支持や聖地解放の理念が薄れている。シオニスト政権イスラエルをこの地域に誕生させ、長期に渡る衝突を押し付けることによって、地域の発展と安定を妨げようとする人々が、今、陰謀の裏にいる。パレスチナ・インティファーダ支援国際会議の成果の一つは、イスラム世界と世界の自由を求める人々の優先事項、つまりのパレスチナ問題の提起であり、パレスチナの人々と、彼らの公正と権利を求める闘争を支持する高い目標の実現に向けた、団結の雰囲気を作り上げたことだった」

地域の現状は、イスラエルの挑発行為やパレスチナ人の土地の収奪、この地における歴史的・文明的なアイデンティティの改変が続くことは、世界平和を損なう結果をもたらすことを示しています。現在、シオニスト政権は、世界の人々にパレスチナ人はどこにも属していない難民であり、と信じさせようとしています。抵抗をテロリズムとして扱うことや、妥協のための長い期間にわたる努力は、この目的を達成することが理由です。

インティファーダはパレスチナ人が続けている抵抗ですが、大変重要な段階の目標を実現することができるほか、シオニスト政権の本質を暴くことも、その重要な効果です。今日見られるように、世界はシオニスト政権の違法な非人道的敵対行為に抵抗する傾向にありますが、いまだに国際社会や地域諸国はこの人道問題に対する責務を果たすことができません。政治アナリストのキャリミー氏は、次のように述べています。

「シオニスト政権はイスラム世界の最も重要な地域であるパレスチナを占領することで、イスラムとイスラム教徒に抵抗する軍事、政治的、安全保障的な拠点に変わっている。イスラエルがテロや治安の悪化の根源であり、地域や世界における脅威が生じている場所だという事実は、パレスチナ問題に注目を向けるべきもう一つの理由とされている。シオニズムはイギリスやアメリカの軍事的・経済的同盟国などの植民地主義者と協力することで、パレスチナの土地を奪い、勢力と覇権を世界に広めるための拠点としている」

キャリミー氏は地域の安全に対するシオニスト政権の危険性についても話しました。

イスラムの団結という原則の強調は、イランの外交におけるアプローチのひとつです。このため、イランは昨年12月に、イスラムの統一とタクフィール主義組織への対抗の必要性をスローガンとして、イスラム統一国際会議をテヘランで開催しました。この国際会議には、イラン国内外の賓客300人以上が参加しました。

イスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、軍の責任者、イスラム統一国際会議の賓客、イスラム諸国の大使などの人々と会談する中で、イスラム教徒の分裂と弱体化に向けた日増しの占領への努力に触れ、次のように語りました。

「今日のイスラム世界は多くの苦難に巻き込まれており、団結、共栄、協力、思想と宗教における対立の克服とイスラムの豊かな共通性に基づいた思想は、これらの問題の解決法である。イスラム政府と国民が統一すれば、アメリカやシオニストはイスラム教徒に対する要求の押し付けができなくなり、パレスチナを忘れさせる陰謀も失敗に終わる」

ハーメネイー師は、東南アジアのミャンマーから西アフリカのナイジェリアまでの範囲におけるイスラム教徒に対する襲撃と、西アジアの重要な地域におけるイスラム教徒の衝突は、分離主義者の陰謀によるものだとしました。

イランは、昨年から今年にかけて、地域における平和と安定の支援に関して、ロシア・モスクワの3者合意の1カ国として、カザフスタンのアスタナとスイスのジュネーブで行われたシリア人同士の和平協議の下地を整えました。イラン、ロシア、トルコの外相は、モスクワでの協議の声明で、複数の人種と宗教を含む、民主的なシリアの主権と独立、領土保全を支持すると表明しました。

イランのザリーフ外務大臣、ロシアのラブロフ外務大臣、トルコのチャヴシオール外務大臣は、モスクワの協議の終了声明で、3カ国は、シリアの紛争に軍事的な解決法は存在せず、この危機を解決する努力の中で、安保理決議254に基づき、国連の役割を認めているという見解で一致しているとしました。

イランは地域諸国の分割に反対しており、問題や対立の解決に際して、外交的手段を強調しています。現在、テロ組織が西アジア地域の半分の治安を深刻に脅かすようになってから、長年がたっています。この間、アメリカと、イギリスなどのその同盟国は、地域における治安確立への協調を困難なものにしているのです。イランは、建設的な協調により、テロなどの共通の脅威に対抗できると考えています。

残念ながら、テロと戦う連合国としている一部の国々は、テロリストと戦うのではなく、彼らを支援しています。明らかに、この戦略は防衛手段を持たない人々の殺害が続く以外の結果をもたらしません。

2013年の国連総会におけるイランのローハーニー大統領の決議案は、イランが世界の過激主義や戦争に反対していることを示しています。この提案は世界190カ国の賛成により可決されました。現在の地域情勢が示しているのは、もし協力や協調が行われず、地域の治安を乱している脅威を正しく理解しなければ、この脅威による被害は深刻になる、という現実です。

明らかに、現在の地域と国際舞台における複雑な状況において、地域諸国間の安全上の協力や協調をどのような形でも無視すれば、すべての国に深刻な被害が及ぶということです。地域の現状、特にシリア危機や、イラクやアフガニスタン、イエメンでの暴力は、安全保障に関するダブルスタンダードによる結果なのです。

国連のデミストゥラ・シリア特使は、繰り返しシリア危機における外交的な解決法を得るためのイランの努力を評価しています。イランはイエメンなどのそのほかの地域の危機に対しても、ミャンマーのイスラム教徒の問題解決への支援においても、国際的な会議の場で責任ある役割を果たしています。