3月 14, 2017 15:24 Asia/Tokyo
  • 結婚の効果

今回は、結婚の効果についてお話することにいたしましょう。

コーランは、精神疾患の治療やうつ病の解消方法として、結婚により家庭を築くことを挙げています。精神疾患の治療に当たる医師の多くも、精神面での健康を維持する上での結婚の重要性に注目しています。

WHO・世界保健機関は毎年、世界保健デーにより、その年のテーマを提示します。現在、機械化された生活がもたらす問題や、生活上のストレスや緊張が拡大していることに注目し、WHOは今年をうつ病の年に制定しました。

WHOはまた、今年のスローガンを「うつ病について話そう」に定めています。

 

うつ病は、孤独、悲しみなどと直接関係しています。うつ病を抱える人々の重要な特徴の1つは、他人との対話を避け、話そうとしないことです。このことは、精神的な不安の原因になるとともに、日常のごく簡単な雑事をこなす能力にも影響します。また、時にはこれにより家族関係が崩壊し、生活にも支障をきたします。そして、最悪のケースでは、うつ病が自殺にも発展する可能性があり、現在15歳から29歳までの年齢層の第2の死亡要因となっています。

同時に、うつ病は他の多くの病気と同様に、治療や予防が可能です。このことには、他人との関係作りや他人と言葉を交わすこと、喜びを感じることなどに向けた賢明な決断が必要です。そして、これらを達成することは、1つの技術といえます。

 

一部の心理学者や社会病理学者は、うつ病を解消し、喜びに満ちた精神を持たせる要素の1つに、家族を挙げています。社会問題を専門とするイランのマジード・アブハリー教授は、次のように述べています。

「うつ病は、生活様式や職業の状態、生活状況と直線関係している。誤った生活様式や孤独、独身であること、家族がばらばらであることから、うつ病に陥る可能性がある」

ストレスやそれによる問題に対処する最も基本的な方法の1つとして、結婚が挙げられます。結婚して家庭を築くことは、問題や困難を克服する主要な要素とされています。

イスラムの聖典コーラン第7章、アル・アアラーフ章、「高壁」第189節では、次のように呼びかけています。

”彼こそは、1つの魂からあなた方を創造し、安らぎを得るために配偶者を置かれたお方であられる”

コーランのこの節は、安らぎの要因が配偶者を選ぶことだとしています。このことはさらに、コーラン第30章、ルーム章「ローマ」第21節にも、次のように述べられています。

"また、神があなたがた自身から、あなたがたのために配偶者を創られたのは、神の印の一つである。あなた方は、彼女らによって安らぎを得、あなたがたの間に愛と情けの念を芽生えさせた。誠に、この印の中にこそ、考え深い者のための印がある”

実際、自然な喜びの要素は、コーランでも注目されるべきテーマであり、神はそれを喜びの源と見なしています。それは、彼らの信仰心が高まり、喜びが湧き上がり、才能が開花し、精神性が示されるからです。

 

人間の内面に変化を起こし、人間関係を作り、うつ病から解放される最も強い要因は、家庭を築くこと、そして夫婦の絆です。結婚して家庭を持つことにより、利己主義や倫理に反する言動の拡大を防ぐことが可能です。それは、自分の配偶者に対する責任を負ったときには、倫理に反する行いを控えようと努力するからです。イランの社会学者ガラーイーモガッダム博士は次のように述べています。

「独身者の数が多い社会では、抑制のなさや中毒患者、当てもなく街中をうろつく人々が多く見られる。これに対し、結婚生活が円満であれば、精神的な安らぎを得られる。このため、うつ病は独身主義によるもう1つの弊害と言うべきだろう」

また、もう1人のイランの社会学者、サイード・モイードファル博士も、次のように述べています。

「独身生活は、次第に社会から遠ざかる原因となる。このため、集団と共にあること、共存、他人を受け入れ折り合うといったことが少なくなる。こうした状況は、社会にとっても危険の要因となる。なぜなら、社会とは人々が相互間の交流の中に存在し、共存することを学び、社会的な責任を受け入れているプロセスだからだ。この状態の結果が、国家の発展となる」

 

家庭が果たすプラスの役割は、この組織が愛情に基づく重要なものであること、そして精神的なストレスへの免疫と、心の健康を維持する上で効果があることにあります。これまでに行われた調査によれば、他人と密接な関係のない人は、人付き合いの多い人と比べて、死亡率が2倍から3倍も高いことが分かっています。このため、より強い親密さや親近感に基づいて成り立っている家庭は、家族に強い免疫をもたらすのです。

アメリカ・ハーバード大学の心理学者、ダニエル・ギルバート教授は、次のように述べています。

「私たちは、家庭があるとき、友達が存在するときに喜びを感じる。私たちを喜ばせてくれると考えているほかの全てのものは、より多くの友人やより大きな家庭を得るための手段でしかない」

結婚により得られる安らぎは、心と体の点から、そして個人的、社会的な側面からも認められます。それは、結婚せずに本能的な欲求としての性欲が満たされず、人間として重要なバランスが崩れた状態は、数々の伝承でも述べられているように、惨めで醜悪な結末を招きます。しかし、人間は結婚することで、社会人となり、より真剣な責任を感じ、自信がつきます。即ち、結婚により新たな人格を見出し、自分の持つ全ての能力を活かすとともに、配偶者や親族の助けやイニシアチブにより、生活上の問題をも克服するのです。

今日、若者の多くが結婚による責任から逃れるため、経済力が十分でないことを理由にしています。しかし、コーランは日々の糧やその恩恵は結婚に存在するとし、第24章、アン・ヌール章、「み光り」第32節において次のように述べています。

アナ1;

”配偶者のいない男女は、結婚させなさい。また、配偶者のいない行いの正しい奴隷や召使も同様である。彼らがもし貧しければ、神が自らの恩恵により、彼らを裕福にされよう。誠に、神は全知全能であられる”