今回はイランで二番目に大きな大学、シーラーズ大学です。

イランの歴史ある大学の多くは、毎年国際レベルでのランキングに入っています。ライデンランキングは、オランダのライデン大学の研究機関が出している世界の大学ランキングです。ライデンは、2011年から毎年世界の大学のランキングを発表しています。2016年の最新のランキングでは、イランの14大学がランキング入りし、シーラーズ大学も入っています。この大学は2014年と2015年にも、このランキングに入っています。

シーラーズ大学はイラン南部の都市シーラーズにあります。

シーラーズはイランの大都市のひとつで、ファールス州の重要な州都です。この町の起源はサーサーン朝時代に遡ります。シーラーズはイランの最も重要な観光地と見なされ、多くの歴史的見所により、国内外の観光客に知られています。

シーラーズは一時期、イランの首都でした。このためこの町やその周辺には数々の史跡が残っています。ペルセポリス、13世紀から14世紀の詩人サアディやハーフェズの廟、歴史的な城砦、ゾロアスター教寺院、歴史的な庭園や邸宅、ハンマームと呼ばれる浴場、バザール、モスク、宗教学校などがシーラーズの観光名所となっています。

シーラーズは、詩と文学の町として知られています。この町で生まれたり、人生の多くの時間をこの町で過ごしたイランの著名な詩人の中で、サアディ、ハーフェズ、オウハディ・マラーゲ、バーバーターヘルの名を挙げることができます。

シーラーズの町は、多くの自然の魅力を有しています。山岳、滝、国立公園、庭園、泉、湖、川、村などで、近郊にある天然の鉱泉の存在は観光客をひきつける上で特に重要となっています。

数多くの博物館もシーラーズの町の中にあります。アケメネス朝博物館、サーサーン朝博物館、ガージャール朝博物館などがその時代の品々を展示しています。自然史博物館は、動植物および地質学関係の品々を展示しています。さらにパールス博物館では紀元前数千年期からガージャール朝時代までの品々、アフィーフアーバード博物館ではサファヴィー朝からパフラヴィー朝までの様々な武器が見られます。

シーラーズの町には、シャーチェラーグ聖廟といった宗教的な見所もあります。この町には数多くのホテル、宿泊所もあり、毎年5月4日のシーラーズの日には、特別な催しが行われています。

イラン国内外の学問に関心がある人々にとってのシーラーズの見所のひとつに、シーラーズ大学があります。この大学の最初の基盤は、1946年、医療学校の設立により築かれました。この学校では4年間の教育課程において医療が教えられていました。1949年、この学校は医科大学となり、1953年には准看護士学校が併設されました。

1954年、シーラーズ大学に、工学部と畜産学部が設置され、その後、随時、1955年に農学部、芸術学部が、1970年に歯学部と電子学部が、1971年に法学部と教育学部が加えられました。

シーラーズ大学は、50年以上の歴史を有し、イランで最も大きな重要な大学の一つで、南部の研究の中心と言われています。この大学には80分野の学士、183分野の修士、102分野の博士前期、1分野の博士後期課程があります。

現在、シーラーズ大学には16の学部と高等教育センターがあり、さらにいくつかの学部も加わる予定です。シーラーズ大学は母体大学として、ホルモズガーン、ブーシェフル、ヤースージなど、南部の大学や高等教育機関を開設しました。現在この高等教育機関はすべて独立して運営されています。さらにシーラーズ大学はファールス州の166の高等教育機関や大学の管理と評価を行っています。

2015年から2016年、シーラーズ大学には1万6731人の学生が在籍し、理学部には2127人、電子教育学部には2013人、農学部には1762人が在籍していました。

工学系の5大学の一つとされるシーラーズ大学のキャンパスは、ニューヨークの世界貿易センターを設計した日系アメリカ人の建築家ミノル・ヤマサキが設計し、イランで二番名に広いキャンパスとなっています。この大学はイランで初めて理事会を発足させた大学、さらにノーベル受賞者が講演を行った初めての大学です。

シーラーズ大学の卒業者、あるいは教授陣には著名な人物がいます。アメリカ・ミネソタ大学の歴史学の教授、イーラージ・バシーリー氏、国会議員や科学技術大臣を務めたモスタファー・モイン氏、元国会議員のハッダード・アーデル氏などです。

シーラーズ大学は2015年、世界のトップ大学の上位1%に入り、この大学の8人の研究者が世界で最も論文引用回数の多い研究者の1%に選ばれました。さらにこの大学の教授の一人が、世界学術アカデミーの若手研究者に選ばれています。

シーラーズ大学は外国人留学生も受け入れています。この大学では150人の留学生が学んでいます。出身国は、レバノン、シリア、イラク、アフガニスタン、イエメン、マリ、パレスチナなどとなっています。石油工学、農学、経済学、社会学、ペルシャ語・ペルシャ文学が留学生の数が最も多い学部です。

ゴラーブ・シャーアマーニーさんはシーラーズ大学の社会学の博士課程で学んでいる留学生です。彼はかつてアフガニスタンの大学で教鞭をとっており、イランで修士課程と博士課程に進みました。彼はイランで学ぶことを決めた理由は多くあるとし、イランとアフガニスタンの文化、宗教、歴史の共通性、またイランがアフガニスタンに支援を行っていることなどを挙げています。

シャーアマーニーさんはこの他の理由として、地域におけるイランの高等教育システムのレベルの高さ、さらに、イスラム期以降の学術の向上におけるイランの突出した役割、文化的、歴史的背景を挙げています。また政府間の留学生派遣の合意も理由に挙げています。彼は大学の設備を良好なものとし、大学寮も設備が整っているとしています。さらにこの大学の学術レベルを非常に高く評価し、シーラーズ大学は国際的なランキングでも上位についているとしています。