4月 26, 2017 14:19 Asia/Tokyo
  • イスラム体制下のイランの選挙

第12期イラン大統領選挙が、第5期市町村議会選挙とともに、5月19日に開催されます。

今年は、イランの選挙の年となりました。イランのイスラム体制下の選挙は、宗教的民主主義思想に基づいています。選挙、特に大統領選挙は、イランの人々が最も積極的に参加する選挙のひとつです。

イランのいずれの選挙でも、悪意あるメディアが選挙に対して偽りの吹込みを始めます。BBCのペルシャ語放送を聴けば、イランの選挙を混乱させるため、どのように努力しているのかがわかるでしょう。

「選挙の不正行為は4年前、そして8年前に限ったものではありません。この出来事は繰り返されるような気がします」

一方、ラジオ・イスラエルは、次のように語っています。

「多くのイラン関連の有識者は、投票率はたいしたことがなく、体制も投票率の統計を偽り、偽の統計を発表するしか方法がないと予想していました。」

悪意あるメディアは選挙の前後においても、イランの一般の人々の信頼に対抗しています。BBCペルシャ語放送は次のように語っています。

「数回にわたり、生放送の中で、特に、開票結果の発表が遅いことについて大変怪しいと考えられるとお話してきました、実際の得票率が人々に発表されないということが、再度繰り返されるしるしがあると言われています。これについて、どのようにお考えでしょうか。

その一部の疑念は、現在も続いています。なぜなら、現在これらの票は彼らの手中にあるからです。統計が段階的に発表されていっても、おそらく裏で不正行為が行われているのではという疑念は残るでしょう」

しかし、このような吹き込みすべてによっても、毎回、イランの誇り高い国民は試練を乗り越えています。クウェートの新聞の政治部のアナリスト、メイサム・ムハンマド氏は、これに関して次のように記しています。

「イランに対するアラブ諸国のメディアの大規模な攻撃は、レバノンのシーア派組織ヒズボッラーがイスラエルに勝利した2006年から始まった。一方でこれらのメディアはアラブ諸国の体制批判を忘れ、明らかにイランに対する内政干渉を行っており、その攻撃は2009年の大統領選挙で頂点に達した。イランのイスラム民主主義はアラブ諸国の民主主義とは比べものにならない。イランの人々は自由に、そして問題なく体制責任者を批判することができる。しかし、アラブ諸国の人々は、残念ながら、歯科医の前だけで口を開くことができ、体制への批判や抗議を行うことはできない。」

しかし、イランでの選挙は、どのような分野で行われ、どのような特性を持っているのでしょうか。

民主主義社会では、投票により、特定の地位に就くのに必要な資格を持っているとされる人物を選び、そのポストに就任させることが出来るのは、投票者です。イランにおける投票権は、体制の基本的なポストすべてにおいて実施されており、政治、法律面での公的な機能を有しています。そのひとつが、大統領選挙なのです。

大統領制では、大統領は閣僚の長を意味し、行政の執行における責任を持っています。この体制では権力は分立しており、行政権は立法権から独立しています。政治問題の専門家、エスキャンダリー氏は次のように語っています。

「大統領選挙の最も重要な特徴のひとつは、この選挙が国家レベルで実施されることだ。我々の国では、大統領は国民の直接選挙によって選ばれ、国のNo.2として行政権を掌握し、大変に高い権力を持っている。この選挙のもうひとつの特徴は、参加者の動機である。投票者は、政治的、経済的な、そして一部の人々は社会的、文化的な動機を持っている。基本的に、投票者はこの動機に従い、この選挙を実施しようと努力する」

法律学や政治学の有識者は、大統領制が最良の政治体制だとしています。イスラム革命の最も大きく、重要な成果とは、イスラム体制の実現であり、その中で、「民主体制」、「共和制」という理念は、「イスラム性」といった理念に調和し、人材だけでなく、イスラム法も尊重されています。

イランでは、大統領、議会、最高指導者を選出する責務を持つ専門家会議、市町村議会などの選挙が開催されます。エスキャンダリー氏は次のように語っています。

「イランの市町村議会選挙の特徴のひとつは、この選挙が地方選挙として行われることだ。地方的な運営のあり方は、我々の町を代表する。実際、この選挙では、連邦制的な模範を示しており、町やコミュニティの運営に関する業務において、直接的に人々の手にゆだねることになる。こういった議会選挙のもう一つの特性は、投票人の動機だ。

大統領選では、主に責任あるアプローチと権利に基づいた政治的な動機や、経済的な動機により、有権者が投票することになる。一方、市町村議会選挙は、主に社会的な動機によるものであり、人々は政治的な動機を離れて、町の問題を管理する専門家を求め、地方的な運営により、日常的な事柄を追求するために選挙に参加する」

イスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、2013年3月、選挙はイラン国民が自身の今後を選ぶ中での、自由と参加の顕現だと強調し、次のように語りました。

「あなた方は大統領を選ぶとき、国の行政の将来すべてを、あなた方の意志で、あなた方が選んだ、得票率の高い誰かにゆだねる。立法や行政の監視をも、あなた方が認知し、選んだ人物にゆだねている。つまり、選ぶのはあなた方なのだ。これは国を運営する中で、国の将来を決める中での人々の力を意味する。これは小さなことではない、これは我々にとって、すべてなのだ」

言い換えれば、いずれの選挙においても、合法性と法的、政治的措置は人々の票によって実現することになります。このため、ハーメネイー師は選挙に目を向ける中で、常に人々の賢明な投票を強調しているのです。