May 08, 2017 14:25 Asia/Tokyo
  • 地域諸国における選挙

第12期イラン大統領選挙と第5期市町村議会選挙が、5月19日に実施されます。

イランにおける選挙は、これまで輝かしい栄光となっています。イランの大統領選はこの40年、宗教的民主主義と政治的発展の最も重要な指標のひとつとして、多くのアナリストの注目を集めて来ました。選挙は人々が政治に参加する制度のひとつとされています。投票率が高く、候補者や政党の選挙戦の下地が整っていればいるほど、政治的な点から、社会は適した水準で発展します。イランやトルコ、インド、パキスタンなどの一部の国では、選挙制度は長い歴史を有しており、このため、ほかの地域よりも優れた状況を享受しています。政治問題の専門家のダーヴーディー氏は、次のように語りました。

「イランにおける政治文化の最も重要な基準のひとつは、人々による投票だ。それはイランの人々が、これまでの34回の選挙において、可能な限り最もよい方法で具現した、国民の連帯を示した。実際、イランの人々が選挙に参加することで提示される運営とは、国民の力を示す上でのもっとも崇高で複雑、重要な政治的手段の一つとみなされている」

この数十年間の地域や世界に生み出された情勢変化の中で、中東地域の低級な民主主義として、一部のモデルが提示されています。この中で、選挙は多くの国で行われている一方、民主化は実現していません。権力の分立や司法の独立も、ほとんどの地域諸国では見られません。このため、中東諸国の政治的構造は民主主義、あるいは民主化のプロセスとは大きくかけ離れているのです。

今日、新たな民主主義の波が到来し、西アジア地域もその影響を受けています。変化の兆しは新たな社会的な組織の出現から伺えます。こうした中で、一部の政府は選挙により、独裁を目指しています。たとえば、トルコでは改革の目的は民主化のプロセスの中に非民主主義体制を築くことにあります。

一部の地域の政権、特にペルシャ湾岸のアラブ諸国の政権は国民の参加の欠如により、実質的な合法性がかけており、その結果、政権の基盤は弱くなっています。政治専門家、マランディー氏は次のように語っています。

「イランのイスラム体制は、合法性や民主主義の段階を急速に経ていった。つまり、1979年2月にイスラム革命が勝利してからわずか50日後に、イスラム体制の承認の是非を問う国民投票を行った。また、その2ヵ月後、専門家会議の選挙を実施し、憲法の起草後、この会議によって、その年の秋ごろに憲法を承認する国民投票が行われた。」

マランディー氏によれば、リビアでは、およそ45年前、カダフィ大佐がクーデターを起こしてから、人々による投票が行われたことはありませんでした。カダフィ大佐は自身を革命のリーダーだとしました。また、スーダンでも同じようなことが起こっています。サーディク・アルバフリが1988年にクーデターを起こしてから、国民による投票は長年行われませんでした。マランディー氏は次のように語っています。

「イランの近隣諸国では、パキスタンはクーデターによる政権交代が見られるものの、選挙もしばしば行われている。しかし、クーデターを起こした人物も選挙に参加し、良好でない環境の中で選挙が行われ、政権を掌握している。サウジアラビアでは、選挙はまったく行われない。そのほかのペルシャ湾岸の首長国でも選挙は行われていなかったり、もし行われていても、完全に統制されており、すべての候補者が登録資格をもっているわけではなく、また有権者も限られている。また、女性に参政権はない。バーレーンのような国では、国会議員の半数は国王によって任命され、残りの半数は人々により選出される。つまり、この国には正しい選挙制度がない。サッダームフセインの失脚後のイラクでは、民主主義体制が確立し、人々の投票による選挙が行われている。トルコでは、数度にわたりクーデターが行われた後、エルドアン大統領が反対派を一掃した中で選挙が行われた。ほとんどの地域諸国の政治体制では、イランで実現したほどの民主主義体制は見られない。」

この50年間、冷戦の終結により、地域諸国レベルでの変化も生じており、この変化により、各国の政府は、政治体制を守り、永続させる上で問題に直面しています。このことから、一部の地域諸国の政府は、経済改革や政治改革を実行しています。

ヨルダンやモロッコ、クウェートなど一部の地域諸国の王制は、議会の権限を強化しています。また、バーレーン、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦は、諮問評議会を創設し、選挙を行うことなく、議会制のような制度を設けています。こういった国の諮問評議会は、最大限で顧問としての役割を有しており、行政権をコントロールすることはなく、政権の指導者が彼らを直接任命しています。実際、政権担当者は、たいてい、この諮問評議会を名目にして、その政権の合法性を作り出しているのです。

このため、多くの地域諸国の人々は、政治参加を経験したことがありません。世界における民主主義の先駆者を自称する先進国も、長年選挙を行ってきたにもかかわらず、人々はそれほど政治に参加できていません。

政治的な発展の指標に基づき、イランのイスラム体制では、選挙は人々が盛んに参加することで行われます。イスラム体制下の選挙は、革命の勝利からわずか45日後に行われ、革命が実現してから、世界で最も早くに選挙が行われたとされています。

イランで行われた、各時期の選挙における国民の参加の度合いを見て、それを民主主義を主張する国と比較した場合、国の今後を決める上での参加にむけたイラン国民の熱意は、ほかの国よりも高いということが示されます。

イランの周辺諸国における政治体制を総括すると、国民の政治参加は限定されたものだということが伺えます。実際、政治的な発展の指標は存在せず、もしあったとしてもそれはわずかなものなのです。