May 30, 2017 15:39 Asia/Tokyo
  • ペルシャ語教育国際センター
    ペルシャ語教育国際センター

今回は、ロガトナーメ・デホダー研究所、ペルシャ語教育国際センターをご紹介いたします。

イランで話されているペルシャ語は、常にイラン人の最良の文化的資本、民族的アイデンティティの一部と見なされてきました。貴重な遺産として、人から人、世代から世代へと継承されてきました。ペルシャ語という力強い美しい言語は世界の幅広い地域を精神的な支配化に置き、各国の国民に、文化、宗教、知識をもたらしてきました。ペルシャ語やペルシャ文学の他国の文学への影響は長い歴史を有しています。

ペルシャ語

 

ペルシャ語の豊かさは常に、その学習者の関心を集めてきました。イランでは、様々な大学で外国人がペルシャ語やペルシャ文学を習得する機会が整えられていますが、これに関して専門的に活動している機関のひとつが、ロガトナーメ・デホダー研究所、そしてその傘下にあるペルシャ語教育国際センターです。今回はこの機関についてお話しすることにいたしましょう。

 

ロガトナーメ・デホダー研究所は、ペルシャ語辞典の編集のために設立された機関です。この機関の活動は1945年、アッラーメ・デホダーがペルシャ語辞典を編集したおよそ30年後に、当時の国会に当たる国民評議会の承認により、テヘラン中心部の彼の自宅で開始されました。この中で、ペルシャ語辞典の監修全てを引き受けたのが、デホダーでした。その後、国民評議会の決定により、同年、この場所は現在の国会、イスラム評議会の場所に移されました。1957年、国会の承認により、ロガトナーメ研究所はテヘラン大学にゆだねられました。

アッラーメ・デホダー

 

現在、ロガトナーメ・デホダー研究所は辞典を編集するロガトナーメ研究所とペルシャ語を教える国際研究所の2つの部門に分かれ、ペルシャ語とペルシャ文学の普及に努めています。共通の学術的目的、また一箇所にまとまってあったことにより、2008年からこの二つの部門は統合され、大学の文学・人文学部から独立しました。

 

ロガトナーメ・デホダー研究所の理事会は、1955年にデホダーが亡くなると、彼の遺言により、モイン博士を所長、シャヒーディ博士を副所長に選出しました。1968年にモイン博士が亡くなると、シャヒーディ博士が所長に就任しました。そして2008年にシャヒーディ氏が亡くなると、アフハミー博士が所長となりました。現在、この機関の所長は、ダルズィー博士がつとめています。

シャヒーディ博士

 

ペルシャ語教育国際センターは、1989年、シャヒーディ博士とソトゥーデ博士の提唱により、設立されました。このセンターは、ペルシャ語とペルシャ文学を広める目的で設立された最初の大学機関であり、毎年各国から多くの学生を受け入れています。このセンターは1989年、学生1名によって活動を開始し、2014年までに、世界50か国以上からの1万5千人の外国人の学生にペルシャ語を教えてきました。学生たちはセンターの教育課程を終えた後、ペルシャ語の読み書き、また会話ができるようになります。それに加えてこのセンターでは、ドイツ、イギリス、アメリカ、フランス、イタリア、ポーランド、韓国、その他の国の多くの学生がイラン学や中東学を専門とする修士、博士課程で学んでいます。

ペルシャ語

 

ペルシャ語のクラスは、初級から上級まで6つの段階に分かれています。さらにこれらの課程を終えると、文学の上級クラスに参加し、ペルシャの古い文学に親しむことができます。

 

ペルシャ語教育国際センターの学生たちの中には、自国でペルシャ語やイラン学、東洋学、政治学、国際関係学を学んだ学生がおり、彼らは短期ビザでイランに入国し、ペルシャ語やイランの文化を学んでいます。この他に就労ビザでイランに入国した人、イラン人と結婚したことでイラン国籍を取得した人、また大使館関係者、外国で生まれたり、長期間ペルシャ語の環境から離れたイラン人移民の2世、3世がいます。

ペルシャ語教育国際センター

 

ロガトナーメ・デホダー研究所とペルシャ語教育国際センターでは、ペルシャ語大辞典の編纂、言葉の情報バンクの創設、ペルシャ語の教育課程の開設、各課程の言語教育に関する書籍の編集、言語習得者のための音声および映像教材制作、特別教育講座の開設、セミナーの開催など様々な活動を行っています。

 

ロガトナーメ・デホダー研究所は言語実験所と2つの図書館を有しています。この2つの図書館の書籍の主要なものは、デホダーから寄付されたものです。デホダーの写本も別途保管されています。研究所の索引カード、個人の持ち物、写真、手書きの文字なども保管されています。言語実験所では、リスニングや会話を強化するために教育ビデオや映画などを見ることができます。

ロガトナーメ・デホダー研究所

 

ロガトナーメ・デホダー研究所ではこれまで1万5千人の学生がペルシャ語を学んだということをお話ししました。これらの学生は各国からペルシャ語を学びにイランにやってきました。

 

ドイツのフランクフルト出身の58歳のピーターさんは、ロガトナーメ・デホダーの学生です。彼は少し前にペルシャ語を学びにイランにやってきました。彼の妻はイラン人です。この研究所を選んだのは、フランクフルトのペルシャ語の教授の推薦があったからだとしています。ピーターさんはフランクフルトの大手銀行に勤めており、会社に休暇を申請して6週間イランに滞在し、ペルシャ語を習得しようとしています。彼はイランが非常に興味深く美しい国であり、料理もおいしく、人々は非常に親切だとしています。イランの文化を非常に興味深いとし、「フェルドウスィーやハーフェズ、サアディといった詩人の存在により、世界はこれまで以上にペルシャの豊かな文学や知識を活用すべきだ」としています。彼は、「多くのドイツ人がペルシャ語を学ぶようになってほしい」とし、「将来ペルシャ語は他の国の人々にとって多くの魅力を持つものとなるだろう」としています。

ペルシャ語を学んでいる学生

 

日本人の学生もこの研究所でペルシャ語を学んでいます。土井ひかりさんは、3年間、日本の大学でペルシャ語を学びました。イスラム教に関心があり、それをよく知りたいという土井さんは、日本の大学の教授の勧めで、デホダー研究所にやってきました。彼女は「イランの生活はたいへん楽しく、人々は親切だ。イランの果物や野菜もとてもおいしい」と述べています。土井さんは、サッガーハーネと呼ばれるイランの公共の水飲み場に関する研究を日本の大学の卒業論文のテーマに選びました。彼女は、「イランの人々がサッガーハーネを利用し、礼拝を行っていることにたいへん関心がある」と述べています。彼女はイスラム教に敬意を払い、イスラム教の教義を詳しく知りたいとしています。

 

 

 

タグ