畜産・養鶏産業(2)
この時間は、イランの畜産・養鶏産業についてお話ししましょう。
人間の体に欠かせない栄養素のひとつはたんぱく質です。たんぱく質は、人間の体の構成成分の中で、水分の次に多くの割合を占めていて、体の健康を保つ上で欠かせません。たんぱく質は、体のすべての部分に存在し、すべての組織の成長に必要です。血液、筋肉、心臓、脳、皮膚、髪の毛、爪といった組織は、たんぱく質で作られています。
たんぱく質は、植物性、動物性のどちらの食品にも含まれています。動物性たんぱく質を含む食品のひとつは、肉です。様々な国で、畜産部門に多くの投資が行われています。この産業では、コレステロールの割合が低く、タンパク質の割合が高いことから、ウズラの飼育が特別な地位を有しています。
ウズラの肉は、他の家畜よりもたんぱく質の割合が5%から10%多くなっています。ウズラの肉には、アミノ酸が豊富に含まれています。そのため、栄養学の専門家は、ウズラの肉を食べることを、子供や高齢者、失われた細胞を修復する必要のある人々に勧めています。
ウズラの肉には、カルシウムや鉄分が含まれており、市場の生産、消費部門で重要な地位を得ています。
世界では、ウズラの飼育は、収益の多い産業として捉えられています。ウズラの飼育への投資が多い理由は、この鳥の成長が早いこと、卵の数が多いこと、質が高いことなどとなっています。
うずらの飼育を初めて行ったのは、日本です。その後、中国や朝鮮に広がりました。20世紀の初め、ヨーロッパでウズラの飼育が産業形態によって行われていました。その後まもなく、ウズラの飼育は北アメリカや中近東にも広がりました。
イランでウズラの飼育が産業として行われるようになったのは、20年以上前のことです。ウズラの肉の消費が増えたため、この産業への投資が増加し、近年では、大きく成長しています。
イランでは、さまざまな種類のウズラが飼育されています。統計によれば、この分野で活動するイランの飼育場や会社の数は300近くにのぼります。それぞれの養鶏場では平均6000トンから8000トンの製品が生産され、余剰分が地域諸国に輸出されています。
イランでウズラの飼育が盛んなのは、ケルマーン、ヤズド、ロレスターンといった中部の地域です。この地域はイランのウズラの飼育の中心地となっていて、この他にも、ケルマーンシャー、テヘラン、西アーザルバイジャーン、ザンジャーンといった地域で、ウズラの飼育が行われています。
ウズラの卵は栄養価の高い食品です。ニワトリの卵と比べ、ウズラの卵はミネラルが多く、脂質は低くなっています。ウズラの卵は楕円形で、重さは8グラムから15グラム、色は白くて、茶色や黒の斑点があります。
一部の人は、うずらの卵や肉を食べることで、若さや健康を保つことができると考えています。ウズラの飼育が行われた最初の目的は、その卵を生産することでした。ウズラの卵は、ふつうのニワトリの卵の5分の1ほどの重さですが、鉄分やビタミンB1、B2が豊富に含まれ、ビタミンCを除くすべてのビタミンも摂取できます。そのため、ウズラの卵はビタミンの爆弾と呼ばれています。
イランの畜産部門は、ウズラの卵を含む家畜の肉1200トン以上を輸出する可能性を有しています。ヤマウズラの肉や卵は、他の鳥類よりも値段が高くなっています。
この他、イランで産業として飼育されているのは、ダチョウです。ダチョウの飼育は、収益の高い経済部門のひとつです。イランでは、20年以上前から、ダチョウの飼育が行われてきました。当初は、ひなや卵が海外から輸入され、イランで飼育された後、成長のさまざまな段階で売られていました。しかし現在は、国内で卵やひなが育てられています。
イランでダチョウの飼育が盛んに行われているのは、テヘラン、イスファハーン、マルキャズィー、ゴレスターンの各州です。イランはダチョウの数の点で、世界3位です。イランには10万頭のダチョウがおり、そのうち9000頭が、繁殖のために使われています。
ダチョウの革は、最も価値のある加工品です。ダチョウの革は、世界にある皮の中でも最も耐久性が高く、質のよいものとなっています。その耐久性は、牛の革の6倍です。この特徴は、ダチョウの革の価値を高めています。
ダチョウの革で作られるものには、鞄、靴、ブーツ、コートなどがあります。現在、イランで生産されたダチョウの皮革製品は、主に韓国、トルクメニスタン、トルコ、中国、ロシアに輸出されています。イランのダチョウ皮革製品の輸出先の中で、ヨーロッパは、世界で最も、ダチョウの皮革製品の消費率が高くなっています。
この他、イランの畜産業で注目されているのは、ガチョウの飼育です。イランのガチョウの飼育は、最新の設備や機械を使って行われています。ガチョウの飼育の特徴は、この鳥の行動様式により、管理がしやすいことにあります。
ガチョウは、成長が早く、さまざまな病気への免疫が高くなっています。また、飼育にかかる費用も安価です。
また、イランではシチメンチョウの飼育もおこなわれています。イランでシチメンチョウの肉が消費されるようになったのは、およそ500年ほど前のことでした。イランのホラーサーン、ギーラーン、マーザンダラーン、西・東アーザルバイジャーン、マルキャズィー、ファールス、イスファハーン、ケルマーンで、シチメンチョウの伝統的な形での飼育が行われています。
この他、産業としてのシチメンチョウの飼育もおこなわれており、高たんぱく質、低コレステロールのシチメンチョウの肉が生産されています。このような形態の飼育は、イスファハーン、テヘラン、ガズヴィーンで行われています。