2月 22, 2018 23:15 Asia/Tokyo
  • ナノテクノロジー
    ナノテクノロジー

この時間は、イランの科学的な発展と知識の生産の分野のひとつである、ナノテクノロジーについて見ていくことにいたしましょう。

前回の番組では、イランにおけるサイエンスパークや科学技術機関お話ししました。2000年に入ってから、イランのサイエンスパークの数は、1か所から23か所に、また科学技術機関の数も、1か所から131か所に増加しました。さらにこの間、サイエンスパークにある企業の数は、600社からおよそ3000社に増加しています。

 

ナノとは、10億分の1を表す単位で、肉眼ではもちろん、光学顕微鏡でも見ることができません。現在、ナノサイエンスとは、このサイズで物質をコントロールする技術のことを指します。

ナノテクノロジー

 

研究により、ナノメートルの物質は、それよりも大きな粒子とは異なる特徴を持っていることが分かっています。ナノの世界は、原子や細胞の世界であり、ナノテクノロジーは、原子や細胞のレベルで新たなシステムや物質を作り出す能力として定義され、ナノの単位で現れる特徴を利用して、新たな製品を生産します。

 

研究者の努力により、ナノテクノロジーを利用して、物質のもともとの特徴を変えることなく、さまざまな分野で一部の製品を作ることに成功しています。色や透明性、反応といった変化は、ナノメートルまで粒子を小さくすることで起こる変化であり、それは、世界のナノテクノロジーに大きな変革を生みました。

 

さらに、ナノは、多くの技術的な分野において応用されるため、世界の研究者たちの注目を集めてきました。それにより、この数十年、ナノテクノロジーは、多くの国に広がっています。

 

世界の国々がナノテクノロジーに注目するようになったのは、1989年のことです。それ以前は、一部の研究所や大学、それも一部において、ナノテクノロジーに関する研究が行われていただけでした。しかし、次第に、この技術の重要性や将来の技術や経済に及ぼす役割が知られるようになり、大国は、世界をリードするためにこの技術を利用しようと競争を始めました。現在、ナノテクノロジーは、第4次産業革命とされ、急速に発展しています。

 

イランでも、ナノテクノロジーを手にするための努力が、2000年から始められました。この中で、科学技術を担当する副大統領の管理のもと、特別本部が設置され、この技術の発展計画を作成するための専門的な努力が行われてきました。こうした専門家による会合の最初の結果が、10か年計画です。これによりイランは2014年までに、ナノテクノロジーの分野で世界15位になる目標が設定されました。この計画は、イランの20か年計画とともに採択されました。イランの20か年計画では、2025年までに、開発途上国から、地域で1位の経済、科学技術大国になることが定められています。

 

イランのナノテクノロジーに関する状況は、10か年計画が設定された2005年には、それほど好ましいものではありませんでした。この頃、ナノテクノロジーの分野でイラン人学者が記した論文の数は9つであり、イランは世界60位でした。また、地域の中でも、イランの状況は好ましいものではありませんでした。なぜなら、トルコ、サウジアラビア、エジプト、ウズベキスタン、アルメニアの5か国に遅れをとっていたからです。

 

10か年計画により、イランはナノテクノロジーの分野でもてる可能性を発揮し、科学技術と市場に関して、世界における順位を60位から15位に引き上げることが定められました。そのために、この年、ナノテクノロジー特別本部は、支援計画を実施し、イランの大学の研究者に、ナノテクノロジーの分野の研究活動を奨励しました。その結果、この分野のイラン人研究者の論文数が増加し、3年後には、813本の論文の発表により、世界19位になりました。

 

2007年、イランの研究者らは、ヨーロッパの発明品登録機関のランキングで22位を獲得することができました。この統計は、イランがナノテクノロジーや知識の生産の分野で、大きな歩みを遂げたことを示しています。

 

ナノテクノロジー開発の当初の10か年計画では、2005年から2014年までの間に、イランがこの分野で世界15位になることが定められていましたが、この計画が始まってから6年目に、すでにイラン人の学者は、その目標を達成することができました。

 

2015年には、第二次10か年計画が採択されました。この計画では、ナノテクノロジーの分野のイランの発展が、それまで以上に急速に続けられるような目標が掲げられました。この計画では、3つの大きな目標が定められています。

 

一つ目は、国民の生活の質の向上におけるナノテクノロジーの影響を高めること。二つ目は、この分野で、イランが世界においてふさわしい地位を獲得すること。そして三つ目は、ナノテクノロジーの国際市場において、しかるべきシェアを占めることです。

 

イランは、ナノテクノロジーを利用して国民の生活の質を向上させるとともに、科学的な発展を経済の発展に変え、国際市場への扉を開くことを目標にしています。この計画の採択と実施の開始により、ナノテクノロジーの分野の発展は速度を増し、2015年、イラン人学者は、学術データベースのウェブオブサイエンスにナノに関する6690本の論文を登録しました。

 

この年、イラン人学者は、驚くべき努力により、ナノに関して発表された世界の論文のうち、およそ5%を占め、イランの地位を世界6位に上昇させました。この成功は、200年のイランの世界ランキングが57位、地域のランキングが6位だった中で、得られたものです。

 

この15年の間に、イラン人学者が発表したナノテクノロジーに関する論文の数は、年間およそ10本から、一日に18本にまで増加しました。これは、10年の間に、年間平均でおよそ51%成長したことを意味します。

 

2015年、ナノに関する論文の人口に対する割合について、イランの世界ランキングは24位でした。また、GDPに対する論文の数の点では4位でした。さらに、論文の質の点でも、イランの世界的な地位は向上しています。

 

様々な統計によれば、イランはこの数年、ナノテクノロジーの分野で大きな発展を経験しており、年間100%以上の成長率により、日本を追い抜いています。

 

とはいえ、ナノテクノロジーに関するイランの発展は、科学分野に限られず、経済の分野にも広がっています。第二次10か年計画が、ナノ製品による国内の生産の増加とこの技術による経済の成長や市場の拡大を強調していることから、イランは、ナノテクノロジーによる経済を拡大することができています。さまざまな統計は、イランのナノテクノロジーに基づく経済が20倍成長していることを示しています。

 

幸いにも、現在、国内の能力を基盤としたナノテクノロジーの分野の最先端の設備が生産され、イランの多くの大学や研究所で使用されています。また、イランは、ナノ製品を、韓国、オーストラリア、中国といった国々に輸出しています。

ナノテクノロジー

 

イラン人学者のナノテクノロジーの分野の努力により、2015年、イランの科学論文全体の25%が、この分野を占めました。この数字は世界的に見ても類を見ないものです。

 

世界におけるイランのナノ分野の成長により、イランはこの分野の中心国となっています。現在、ナノテクノロジーの点で、イランよりも上位にいるのは、ヨーロッパではドイツのみであり、他のヨーロッパ諸国は、イランに遅れをとっています。

 

イランは、繊維や衣料、家庭用品、医薬品や医療設備、都市開発や運輸、その他の多くの分野にナノテクノロジーを応用しています。特にナノ医薬品の開発に関しては目覚ましい発展を遂げ、承認を受けた後、世界の市場に提供できるような医薬品を開発することができています。

 

現在、ナノテクノロジーを製品に変えるために、イランでは、150社を超えるナレッジベース企業が活動を行っており、この技術による300種類以上の製品を生産する用意があります。イランは、ナノ経済の分野で、世界の上位10か国に入っています。

 

ここまでお話しした統計や数字は、イランにおける知識生産運動が実を結んでいること、今後の展望も明るいものであることを物語っています。

 

タグ